事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「たみおのしあわせ」(2008 スタイルジャム)

2010-02-16 | 邦画

Tamionoshiawase02_2  脚本、監督:岩松了

出演:オダギリジョー、原田芳雄、麻生久美子、大竹しのぶ、小林薫忌野清志郎石田えり

オダギリジョーのフィルモグラフィを見ると、彼が意図的に“変な映画”を選択していることがわかる。メジャーな作品で消費されていくことを避けている、というより、作り手の才能だけを信用しているようなのだ。だから必然的に低予算で、味わいとしてアメリカンニューシネマっぽい映画の出演が続くし、自らもそんなイメージに規定されたがっているようだ。

「たみおのしあわせ」もまさしくそんな作品。麻生久美子と岩松了という「時効警察」メンツにかこまれながら、気弱で、何かを常に怖れている青年をオダギリは達者に演じている。

で、例によって岩松演出のこともあって変な作品になっている。妻の死以来、男手一つで息子を育ててきた父親(原田芳雄)の願いは息子の幸せな結婚。その願いがかなう結婚式の日、親子はとんでもない行動に出る……

不親切な演出なので、特定のシーンを見逃すとわけがわからなくなる。父親が麻生久美子にもらったネクタイを急いで隠す場面とか。

キーになるのは亡くなった母親で、オダギリが麻生に欲情を感じるのは母親の浴衣を着せたときだけだし、某アメリカンニューシネマの有名なシーンを模したラストで、父子は母親のあとをついていく。あの畑が象徴するものを考えれば、彼らの行く先は死でしかないのだが……

嫉妬深くて尻が軽い、つまりどうしようもないヤクルトおばさんを大竹しのぶがリアルに演じていてこわい。父子が現実から逃避したくなる背景をどっしりと演じておみごと。

コメント (2)
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