事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

わたし怒ってます~その2 タバコ1000円

2008-07-09 | ニュース

051217_maehara1 原油高関係はこちら

 タバコの税金を一気に増額し、一箱1000円まで値上げしようという案がまことしやかに語られるようになっている。ほう。素晴らしい案だ。もし実現すれば

・国民の健康は保たれ
・医療費は削減され
・未成年者の喫煙を物理的に抑制し
・タバコのポイ捨てや火災などの社会的リスクは減少し
・喫煙者にとってもタバコが“高級な趣味”となることでおしゃれだと評価され
・消費税を上げなくても税収は確保され
・老齢者に篤く手当をすることができる

……いいことばっかりではないか!次の国会でさっそく決めたらどうだ?なんてな。

わたしが喫煙者であることを割り引いても、この論理が破綻していることはすぐに指摘できる。

 まず、タバコ税を増やすことによって大幅な税収増を見込むあたりがすでに怪しい。近年、数度にわたる増税が行われてきたけれど、それで税収はほとんど増えなかったというのに、一気に1000円まで引き上げて喫煙人口が3600万人→3000万人と、600万人しか減らないという仮定が泣かせるではないか。この数字は“日本学術会議”なる団体が提示したものだが、絶妙のタイミングで出てくるあたり、御用学者というのはいつどこにでもいるんだなぁ。

 肺ガンなどの減少によって医療費が圧縮される?これには森永卓郎が捨て身の反論をかましていた。医療費が増大するのは、日本人の長命化が最大の背景で(だから後期高齢者医療制度が必要になったのだ)、喫煙者が減少すれば、むしろ医療費は増大する、と。なるほど、喫煙者という名の“緩慢な自殺者”がいてこれだけ長寿な国民が、なお長生きすればどうなるんだ(笑)。説得力あるなー。さみしい論理だけど。

Stt0712082024002p1  まず、この増税を推進している連中を見るとどれだけ筋の悪い話かがわかる。中川秀直(自民)、前原誠司(民主)など、日ごろから痛い連中だなあと思っている議員たちが「たばこと健康を考える議員連盟」なる団体を結成するに及んでわたしは結論づけた。こんなまぬけな話はないと。何が“健康を考える”だよ。安易で小手先の手法でしか税制をとらえられない奴らが徒党を組んだだけじゃないか。

もしも増税するというなら、愛国者である高額納税喫煙者を、これからそれなりに遇してくれるわけだな?タバコ税は文字通り税金であって罰金じゃないんだから。

それからもうひとつ、1000円になった途端、タバコはすぐにアンダーグラウンド化してやくざの収入源に変貌し、治安は悪化するぞ。その覚悟はあるんだろうな。あ、中川はそっち系ともつきあいが……これも利権だったのかー。

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「ザ・マジックアワー」('08 東宝=フジテレビ)

2008-07-09 | 邦画

Magichour  三谷幸喜が、この映画のキャンペーンで露出した媒体は150にも及ぶという。封切り二週間前あたりから、印象ではどんな番組にも彼は出演し、例によっておびえたような瞳で、しかしあざとく宣伝だけはきっちりかましていた。顔にパイを投げつけられ、鼻で縦笛を吹く芸を披露までして(実はできもしないのでギャグなのだが)「ザ・マジックアワー」を観てくださいよと全身で強調していた。

 前にもふれたように、三谷幸喜の才能は脚本や舞台の演出、そして映画監督よりも“舞台あいさつ”にある。コメント芸というか。テレビ出演にしても「ぼくは実はこんなことはしたくないんです。出たがりじゃないんです」と強調しながらも、客はそれが建前であることを百も承知。三谷が出演した番組が、いつもよりも高視聴率だったのはそのためだ。まちがいなく、各番組を活性化させていたではないか。

 批判も多い。要するに映画の宣伝のために自社媒体を(今回はフジテレビだけでなく他局にも積極的に露出したが)利用するのは下品なことではないかと。もっともだ。テレビが結局のところ宣伝のためにあるのだとしても、おのずから節度というものは必要だし、今回の三谷の行動は明らかに逸脱している。

 しかし、だ。

 徹底した大キャンペーンは、「ザ・マジックアワー」という作品にとって必要な作業だったのだと思う。一種のダメ押し。こんなに大騒ぎをするぐらいに楽しくて面白い作品なのだと刷りこまなければ、映画館で観客はとまどってしまうだろうから。

 それほどに、実は地味で前衛的な作品なのだ。

 街をギャングが牛耳り、波止場では密輸が行われ、映画館では往時の暗黒映画が上映されている。レストランの支配人はボスの愛人を寝取り、生き残るために売れない俳優を伝説の殺し屋に仕立て上げる……およそ現実感のない設定。そのために何度も登場人物たちに「まるで映画みたいな街ね」とつぶやかせる。三谷は最初、背景は書き割りで十分だと考えていたそうだから、そんな舞台中継的前衛作品に仕上がる可能性さえあったわけ。

 そこを、フジテレビと東宝は一大娯楽大作に仕立ててみせるために東宝撮影所最大のステージを用意し、豪華キャストをそろえ、大キャンペーンを組んだわけだ。

佐藤浩市や深津絵里は、夢の国(映画)の住人というにはシリアスに過ぎ、その反面「港町純情シネマ」(TBS)で既に夢想する男を好演していた西田敏行は、水を得た魚のように生き生きしている。ビリー・ワイルダーのファンである三谷幸喜は、露骨なオマージュを「完璧な人間はいない」という有名なセリフを某人物に言わせて表現。でももうちょっとひねったやり方もあったんじゃないかなぁ。

特別出演の多さと、伝説の殺し屋が実はあの人だったというオチは楽しめる(ちょっとネタバレだけど、わたしは途中まで伊吹吾郎が殺し屋だと思ってました)。「THE有頂天ホテル」の某キャラがそのまんま登場し、邪険にあつかわれるのには笑った。

映画の出来は三谷映画のなかで確かに最高だろう。しかしわたしは客を喜ばせるためにドラマが破綻しかかっていた「THE有頂天ホテル」の方を選ぶ。あっちは、何のダメ押しも必要がないほどひたすらに楽しい作品だったので。328680view003

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