事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「インディ・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国」その3

2008-06-18 | 洋画

その2はこちら

♪タン・タカタンタン・タン・タカタンタン ちゃーららっちゃー ちゃーらら~♪

さあ4作目。館内にはジョン・ウィリアムスのレイダースマーチが流れ、わたしのような長年のファンのアドレナリンを大放出させてくれる。

「この曲、小学校のときにマーチングでやったよ」息子にとってもおなじみの曲だ。

インディ・ジョーンズシリーズの特徴である、タイトルがくっきりと浮き出るおなじみのオープニングと、インディの意表をついた登場の仕方にため息。ライブなら「待ってましたっ!」と声がかかるところだ。

でも正直、前半のノリの悪さにはとまどった。決してつまらないわけではないが、とりあえず息をもつかせぬアクションがあるのが通例だったので(ロシア軍とのアクロバティックな格闘があるとはいえ)、スピルバーグも若くないからなぁ、と思いながら観ていた。悪女役のケイト・ブランシェットの怪演がなかったら、かなりの客が退屈したことと思う。

 でも、クリスタル・スカルの王国に侵入してからはハラハラドキドキの連続。むしろ前半は意図的に抑えていたのが理解できる。スピルバーグは確かに老いたけれども、同時にうまくもなっていたわけだ。息子もわたしもおおいに満足。ぜひ映画館へ!

【ここからはちょっとネタバレ】

 特に日本人にとって原爆のシーンは耐え難い、とする人もいるようだ。しかしあの場面には、ちゃんと「アトミック・カフェ」のパロディですよという記号もあるし、赤狩りと同様に、もう戦前のようなのどかな冒険は成立しないという象徴でもあるのだろう。

 そしてあのラストが荒唐無稽すぎるという意見には反論がある。巨匠スピルバーグが、いままでどんな映画を撮ってきたかを考えてみよう。“あの作品”と“あの作品”を撮った男なんだよ。嬉々として撮影している姿が目に浮かぶ。史実や伝説を巧妙にとりいれるのはこのシリーズの得意技だしね。

 さあ、5作目は主役をシャイア・ラブーフに譲ってインディは隠居を決めこむのだろうか。その答まで(帽子に注意!)ラストにきちんと用意してある。あのエンディングなら、カレン・アレンにぜひとも大酒を飲ませてほしかった。昔からのファンの、単なるわがままだけどさ。

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「インディ・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国」その2

2008-06-18 | 洋画

PART1はこちら

第1作「レイダース」は、まず冒頭の大玉ころがしで度肝を抜き、ラストに当時としては画期的なCGをしこんでいる。でも2作目、3作目と比べて画面はどちらかといえば地味だし、宝探しや暗号解読の部分に力が注がれていた。歴史学で幻惑されそうだけれど、主人公ははっきりと墓泥棒ですから(笑)。

 思い出した。「スター・ウォーズ」の次にアクション映画をつくりたいと考えていたジョージ・ルーカスにとって、最大の難問は主人公を誰に演じさせるかだったのだ。さまざまな候補(トム・セレックなど)に打診されたが、結局選ばれたのは自前の映画のハン・ソロ役で人気が出たハリソン・フォード。これは大正解だったと思う。インテリ眼鏡が意外なほど似合い、しかしやることは盗掘という、考えてみれば奇矯なキャラクターに彼はぴったりだ。女たらしの部分はちょっと弱いけれども(^_^;)。

 2作目「魔宮の伝説」ははっきりとタイプの違う映画に仕上げてきた。ケイト・キャプショー(のちのスピルバーグ夫人)がAnything Goesを歌うオープニングで意表をつき、あとはこれこそがノンストップジェットコースタームービーとばかりに突っ走る。クライマックスでトロッコをマジでジェットコースターに見立てていたのには大笑い。わたしはこの映画を悪友たちと仙台で観た。悪いお遊びが目的で来ているのに、なんでわざわざ仙台で映画を観なきゃいけないんだっ!と友人は怒っていたが、見終わって「いやー面白かったなー。すげー映画だ。」と手のひら返し。そりゃまあ、この映画が面白くなかったら世の中にそうそう面白い映画など存在しない。よけいな話だけれど、この悪友たちと通っていたバーのお姉ちゃんがケイト・キャプショーにそっくりだったので、なおさら興奮したという事情もあった。誰が彼女をものにするか、お互いがけん制しあっていた時分なので。

 第3作「最後の聖戦」は、西洋人にとってなじみ深い聖杯伝説で勝負。ラストに“あの人”を本気で登場させたのにはたまげたなー。父親役にショーン・コネリーを配したことで、このシリーズが007の直系であることも宣言してみせたわけだ。でも、作品としては1、2作目より数段落ちる。なによりヒロインに魅力のかけらもないあたりがつらい。世界中でヒットしたものの、シリーズが終了(中断だったわけだが)したのは、やりたいことはこれで十分やったとルーカス&スピルバーグが判断したからだろう。他にやることはたーくさんあったからね。

で、4作目の話になる。以下次号

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「インディ・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国」('08 米)

2008-06-18 | 洋画

どう考えてもネタバレ厳禁の映画だから、周辺情報中心に行きましょう。

 第1作「レイダース/失われた聖櫃(アーク)」の日本公開は82年の正月。わたしはまだ学生だった。あと3ヶ月で田舎に帰らなければならないと憂鬱になっていた時期。いつも名画座通いばかりしていたから、スピルバーグとジョージ・ルーカスの新作ぐらいはロードショー館(死語)で観ようと新宿プラザに向かった。ところが、階段までつづく長蛇の列におそれをなし、結局は田舎の映画館で観たのだった。

こう説明するとよほどの大ヒットだったように思われるかもしれない。でも証言しておきます。インディ・ジョーンズの第1作は、日本では期待はずれの成績に終わったのだ。意外でしょ?その正月にもっとも客を集めたのは、今ではその存在をみんなが忘れている「キャノンボール」。あんなB級映画がなぜレイダース(まあ、この映画だってB級テイストなわけだが)をしのいだかというと、すべては配給会社の力量のせい。パラマウントとユニバーサルというメジャー2社の作品を安閑として配給していればよかったCICと、インディペンデントの老舗で、とにかく宣伝上手だった東宝東和では作品を“売る”気概が違ったのだろう。

「宗教的なタイトルが災いした」
「冒険映画は日本人には合わない」

後付けの理屈はさまざまにこねられたが、要するに商売のセンスの違い。まあ、お正月はオールスターキャストのお気楽な映画を楽しみたいという日本人の嗜好もあったのだろうが。

※CICはのちにMGMやユナイトの映画まで配給するUIPとなったが、昨年解散(ビデオの権利をもたない会社だったのが痛かった)。ユニバーサル作品はその東宝東和が配給している。時代の流れとはいえ……

 第2作「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(ここで初めてインディの名がタイトルに入る)は、その反省もあったかイベントムービーとして大宣伝が行われ、レイダースのほぼ倍の興行収入。第3作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」は第2作に倍するヒットになった。こんな倍々ゲームのシリーズだったのに、第4作が作られることはなかった。新作が19年ぶりにつくられたことよりも、そっちの方がよほど不思議じゃないですか?以下次号につづきます

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