わたしは占いがキライだ、と、昨年ここで書いた。
いまでももちろん好きになったわけではないのだが、考えてみれば日常的に似たようなことをやっているのである(「はぁん……。この文章じゃちょっと××は辛いなぁ」)。ここでやってみるのも一興だろう。
一応星占いの分類に従っているけれど、これは一切占星術とは関係ない。
以下の占いは、わたしの観察の結果、導き出されたものである。
各星座のキーワードが、おそらくは来年のあなたを救ってくれることもあるかもしれない可能性は決して否定できないはずである。
【牡羊座】2006年のキーワード:親切は必ずしも報われるわけではない
とても親切なあなたは、目の前の困っている人を放っておけません。ところが電車で目の前に小さなおじいさんがきて、席を譲ろうとすると「わしはそんな歳じゃない! 失礼な!」と怒鳴られることがあるかもしれません。そういうとき、このキーワードを思い出してください。降りるとき一緒におじいさんをかついでホームに放りだしたくなる衝動は十分に理解できますが、実行してはいけません。
【牡牛座】2006年のキーワード:モノを捨てる
あなたの家はものでいっぱいです。もちろんです。それはすべてあなたが生きてきた証です。でも周囲を見回してください。詰め込みすぎて開かなくなった引き出し、うずたかく積み上げられていまにも崩れそうな雑誌、空き瓶のなかの輪ゴムやペーパークリップ、冷凍庫の中には正体不明のタッパーウェアはありませんか? 2006年には新しいモノをひとつ持ち込む際には、古いモノをふたつ捨てることにしてください。1月1日から、それがムリなら2日から……少なくとも、12月31日までには。
【双子座】2006年のキーワード:モノを大切にする
世の中は新製品のニュースでいっぱいです。新しい型の車。新しいデザインのブーツ。新しいパソコン。iPodだってつぎつぎニューバージョンが出ます。でもちょっと待って。最新型はあっというまにつぎの最新型に取って代わられます。その「最新型」は、つぎに改良される前の、出来の悪い「つなぎ」かもしれません。どうせ中身はたいして変わりはしないのです。「新製品? まだそんなことを言ってるの? フッ」と肩をすくめて笑って、いま使っているモノを大切にしましょう。
【蟹座】2006年のキーワード:蓄財の精神に目覚める
ほしい、と思うものは、まちがいなく必要のないモノです。ほんとうに必要なモノなら、あなたはすでに買っているはずだからです。耳元で買え、買えと囁く物欲番長に屈してはなりません。お金には「使う」「払う」よりほかに動詞があることを学びましょう。「作る」、「稼ぐ」、「貯める」、「使わない」(「払わない」は犯罪に結びつく可能性が高いので、やめておきましょう)。
【獅子座】2006年のキーワード:神は細部に宿る
あなたの家の冷蔵庫をよく見てください。捨てるには惜しいけれど、いざ食べるとなるとちょっと、という残り物や半端物がずいぶんありませんか? 冷凍庫になると、さらにそれは「そこにしまう」ことが目的となっている可能性があります。あなたがもし神の存在を信じているのなら、このキーワードを思い出してください。神はおそらく三ヶ月前のガチガチに凍ったひじきの煮付けの残りのなかに宿りたくはないはずです。冷蔵庫のモノの出入りのチェックはお忘れなく。
【乙女座】2006年のキーワード:細かいことにこだわらない
長年使っているモノに対しては、あなたは、必要以上にそのモノに愛着を抱いていませんか? いつも身近にあり、それが同じモノ、あるいは同じブランド、同じ型であれば、人生に連続性が与えられるような気がします。だから、もしかしたらあなたはお気に入りの消しゴムを(あるいはヘアブラシを、靴クリームを)見つけるたびに買ってくるので、家にはそれが17個あるかもしれません。でも、大丈夫。あなたの人生に連続性を与えているのは、あなた自身です。MONO NONDUST消しゴムが手元になくなったからといって、世界が終わるわけではありません。
【天秤座】2006年のキーワード:自分が知らないことを他人が知っているわけではない
Webの検索機能のおかげで、おどろくほどさまざまな情報を容易に知ることができるようになりました。「マルホランド・ドライブ」をたとえぼけーっと見ていて店の裏の一瞬のショットを見逃したとしても、検索すればあらましを知ることができます。それでも「父方の叔母さんの結婚相手の“ヒロシ”という漢字は弘だったか博だったか宏だったか」という疑問に他人が答えてくれる可能性は限りなく低いことを知りましょう。
【蠍座】2006年のキーワード:自分が知らないことをみなが知らないわけではない
自分が知らないことは他人も知らない、自分が読めない漢字は他人も読めない、自分が書けない英語のつづりは他人も書けない、ということは、決してありません。それどころか、それを知らないのは、もしかしたらあなただけかもしれません。人に聞いて恥をかくまえに、辞書を引きましょう。
「グッドタステ? これ、どういう意味?」
「知らへん」
「新製品ちゃうの? よいタステ」
隣で聞いている人間が辞書をぶつけてやろうかと思っているかもしれません。(ちなみに実話。紙コップに書いてあったのは"good taste"という文字)
【射手座】2006年のキーワード:うまい話に注意
「全品売り尽くしセール」と書いてあったら、それはたいしたセールではありません。件名に女性名の書いてあるメールはスパムで、儲け話はマルチ商法です。自分が儲けることに一生懸命な人は、あなたのことを誘ってはくれませんし、あなたを誘ってくれる人は、あなたと楽しみたいから、もしくはあなたから金をはき出させたいからで、儲けさせてあげたいわけではないのです。
【山羊座】2006年のキーワード:忘れ物に注意
何か忘れているのではないだろうか、と思ったら、まちがいありません。必ず何か忘れています。忘れていないかどうか考えることさえ忘れるかもしれません。ですからこのキーワードは熟読しておいてください。歯は磨きましたか? 鍵は持ちましたか? ちゃんと靴をはいてますか? メールを出さなければならない人を忘れていませんか? 思い出したら、即実行。あとでやろう、は禁物です。まちがいなく、また忘れてしまいます。
【水瓶座】2006年のキーワード:新しいことを学ぶ
指を折らずに数を数えるとか、ペルシャ語でスイカはヘンダワネというとか、椅子に坐ってぼんやりとするとかの新しいことを学ぶのがいいでしょう。こうしたことは、一見無駄にも見えますが、けっしてそんなことはありません。たいせつなのは、人生にできるだけの新鮮さを加えることです。高い山に登ることやインドを放浪することも、生きるすばらしさを思い出させてくれるでしょうが、新しい画家をひとり知ることも、負けないくらい人生を豊かにしてくれます。
【魚座】2006年のキーワード:経験から学ぶ
あなたが選んで並んだレジは、一番遅いレジで、同じ失敗は何度でも繰り返します。誤ったことをして、あとで謝罪しても、それをなかったことにすることはできません。あなたはこうしたことをすでに経験から学んでいるはずです。経験は、たいがいのことに「答え」などないことを教えてくれますが、それでも答えを知っているかのようにふるまうことが大切です。
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明日はせっかくのお休みなので、ネコのように怠惰にすごすつもりです。"Live at Budokan"のDVDも買ったし、DVD見て、あとは本の整理をしていたら出てきたディックの『ユービック』でも読んで、ほかはなーんにもしないつもりです。
ほんとはリリアン・ヘルマン、部分的にずいぶんおかしなことを書いているし(なんで書いてるときは視野狭窄になってるって気がつかないんだろう)、書き直さなきゃいけないとも思ってるんですが。まぁそれはまた後日、ということで。
ということで、みなさま、よいお年を!
「陰陽師的日常」は、2日からまた再開します。
みなさまにとって、2006年がすばらしい年でありますように。
椎茸と昆布で年越しそばのだしをとりながら
陰陽師 拝
いまでももちろん好きになったわけではないのだが、考えてみれば日常的に似たようなことをやっているのである(「はぁん……。この文章じゃちょっと××は辛いなぁ」)。ここでやってみるのも一興だろう。
一応星占いの分類に従っているけれど、これは一切占星術とは関係ない。
以下の占いは、わたしの観察の結果、導き出されたものである。
各星座のキーワードが、おそらくは来年のあなたを救ってくれることもあるかもしれない可能性は決して否定できないはずである。
【牡羊座】2006年のキーワード:親切は必ずしも報われるわけではない
とても親切なあなたは、目の前の困っている人を放っておけません。ところが電車で目の前に小さなおじいさんがきて、席を譲ろうとすると「わしはそんな歳じゃない! 失礼な!」と怒鳴られることがあるかもしれません。そういうとき、このキーワードを思い出してください。降りるとき一緒におじいさんをかついでホームに放りだしたくなる衝動は十分に理解できますが、実行してはいけません。
【牡牛座】2006年のキーワード:モノを捨てる
あなたの家はものでいっぱいです。もちろんです。それはすべてあなたが生きてきた証です。でも周囲を見回してください。詰め込みすぎて開かなくなった引き出し、うずたかく積み上げられていまにも崩れそうな雑誌、空き瓶のなかの輪ゴムやペーパークリップ、冷凍庫の中には正体不明のタッパーウェアはありませんか? 2006年には新しいモノをひとつ持ち込む際には、古いモノをふたつ捨てることにしてください。1月1日から、それがムリなら2日から……少なくとも、12月31日までには。
【双子座】2006年のキーワード:モノを大切にする
世の中は新製品のニュースでいっぱいです。新しい型の車。新しいデザインのブーツ。新しいパソコン。iPodだってつぎつぎニューバージョンが出ます。でもちょっと待って。最新型はあっというまにつぎの最新型に取って代わられます。その「最新型」は、つぎに改良される前の、出来の悪い「つなぎ」かもしれません。どうせ中身はたいして変わりはしないのです。「新製品? まだそんなことを言ってるの? フッ」と肩をすくめて笑って、いま使っているモノを大切にしましょう。
【蟹座】2006年のキーワード:蓄財の精神に目覚める
ほしい、と思うものは、まちがいなく必要のないモノです。ほんとうに必要なモノなら、あなたはすでに買っているはずだからです。耳元で買え、買えと囁く物欲番長に屈してはなりません。お金には「使う」「払う」よりほかに動詞があることを学びましょう。「作る」、「稼ぐ」、「貯める」、「使わない」(「払わない」は犯罪に結びつく可能性が高いので、やめておきましょう)。
【獅子座】2006年のキーワード:神は細部に宿る
あなたの家の冷蔵庫をよく見てください。捨てるには惜しいけれど、いざ食べるとなるとちょっと、という残り物や半端物がずいぶんありませんか? 冷凍庫になると、さらにそれは「そこにしまう」ことが目的となっている可能性があります。あなたがもし神の存在を信じているのなら、このキーワードを思い出してください。神はおそらく三ヶ月前のガチガチに凍ったひじきの煮付けの残りのなかに宿りたくはないはずです。冷蔵庫のモノの出入りのチェックはお忘れなく。
【乙女座】2006年のキーワード:細かいことにこだわらない
長年使っているモノに対しては、あなたは、必要以上にそのモノに愛着を抱いていませんか? いつも身近にあり、それが同じモノ、あるいは同じブランド、同じ型であれば、人生に連続性が与えられるような気がします。だから、もしかしたらあなたはお気に入りの消しゴムを(あるいはヘアブラシを、靴クリームを)見つけるたびに買ってくるので、家にはそれが17個あるかもしれません。でも、大丈夫。あなたの人生に連続性を与えているのは、あなた自身です。MONO NONDUST消しゴムが手元になくなったからといって、世界が終わるわけではありません。
【天秤座】2006年のキーワード:自分が知らないことを他人が知っているわけではない
Webの検索機能のおかげで、おどろくほどさまざまな情報を容易に知ることができるようになりました。「マルホランド・ドライブ」をたとえぼけーっと見ていて店の裏の一瞬のショットを見逃したとしても、検索すればあらましを知ることができます。それでも「父方の叔母さんの結婚相手の“ヒロシ”という漢字は弘だったか博だったか宏だったか」という疑問に他人が答えてくれる可能性は限りなく低いことを知りましょう。
【蠍座】2006年のキーワード:自分が知らないことをみなが知らないわけではない
自分が知らないことは他人も知らない、自分が読めない漢字は他人も読めない、自分が書けない英語のつづりは他人も書けない、ということは、決してありません。それどころか、それを知らないのは、もしかしたらあなただけかもしれません。人に聞いて恥をかくまえに、辞書を引きましょう。
「グッドタステ? これ、どういう意味?」
「知らへん」
「新製品ちゃうの? よいタステ」
隣で聞いている人間が辞書をぶつけてやろうかと思っているかもしれません。(ちなみに実話。紙コップに書いてあったのは"good taste"という文字)
【射手座】2006年のキーワード:うまい話に注意
「全品売り尽くしセール」と書いてあったら、それはたいしたセールではありません。件名に女性名の書いてあるメールはスパムで、儲け話はマルチ商法です。自分が儲けることに一生懸命な人は、あなたのことを誘ってはくれませんし、あなたを誘ってくれる人は、あなたと楽しみたいから、もしくはあなたから金をはき出させたいからで、儲けさせてあげたいわけではないのです。
【山羊座】2006年のキーワード:忘れ物に注意
何か忘れているのではないだろうか、と思ったら、まちがいありません。必ず何か忘れています。忘れていないかどうか考えることさえ忘れるかもしれません。ですからこのキーワードは熟読しておいてください。歯は磨きましたか? 鍵は持ちましたか? ちゃんと靴をはいてますか? メールを出さなければならない人を忘れていませんか? 思い出したら、即実行。あとでやろう、は禁物です。まちがいなく、また忘れてしまいます。
【水瓶座】2006年のキーワード:新しいことを学ぶ
指を折らずに数を数えるとか、ペルシャ語でスイカはヘンダワネというとか、椅子に坐ってぼんやりとするとかの新しいことを学ぶのがいいでしょう。こうしたことは、一見無駄にも見えますが、けっしてそんなことはありません。たいせつなのは、人生にできるだけの新鮮さを加えることです。高い山に登ることやインドを放浪することも、生きるすばらしさを思い出させてくれるでしょうが、新しい画家をひとり知ることも、負けないくらい人生を豊かにしてくれます。
【魚座】2006年のキーワード:経験から学ぶ
あなたが選んで並んだレジは、一番遅いレジで、同じ失敗は何度でも繰り返します。誤ったことをして、あとで謝罪しても、それをなかったことにすることはできません。あなたはこうしたことをすでに経験から学んでいるはずです。経験は、たいがいのことに「答え」などないことを教えてくれますが、それでも答えを知っているかのようにふるまうことが大切です。
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明日はせっかくのお休みなので、ネコのように怠惰にすごすつもりです。"Live at Budokan"のDVDも買ったし、DVD見て、あとは本の整理をしていたら出てきたディックの『ユービック』でも読んで、ほかはなーんにもしないつもりです。
ほんとはリリアン・ヘルマン、部分的にずいぶんおかしなことを書いているし(なんで書いてるときは視野狭窄になってるって気がつかないんだろう)、書き直さなきゃいけないとも思ってるんですが。まぁそれはまた後日、ということで。
ということで、みなさま、よいお年を!
「陰陽師的日常」は、2日からまた再開します。
みなさまにとって、2006年がすばらしい年でありますように。
椎茸と昆布で年越しそばのだしをとりながら
陰陽師 拝