カラスウリの種子はふしぎなかたちをしています。中ほどの大きな膨らみの左右に,それより小さめの付属物がくっ付いたかたちです。
一つだけを見ると,よくわかります。種子全体は透明の膜で覆われています。まるでラッピングされたように,膜で保護されているのです。
横方向から見ると,付属した部分の外側が窪んでいます。
種子の表面はカニの甲羅のように,突起が無数にあります。けっしてつるつるしているわけではありません。
カラスウリはウリ科植物。ウリ科の胚では子葉に養分が蓄えられていて,それが発芽時のエネルギー源となります。縦方向に切って,中を覗いてみました。中央の白い部分が子葉。
カラスウリを発芽させた体験記を調べていると,幼芽は先端にあるようです。そこから根が出て,葉が出始めるようです。子葉はマメ科植物のように地上型でなく,地中に残されて養分を送る地下型です。
左右の付属物は別の部屋になっています。中に白い筋状のものがあります。空間もあります。なんの役目を果たしているのでしょう。単なる空洞ではないので,なんらかの意味があるはず。種子を大きく見せるための作戦だとか,水に浮かぶための浮袋作戦だとか,想像たくましく推理できても真実には迫れそうにありません。
これらのすがたをさらに詳しく覗いてみました。
種皮を取り除いて胚部分を取り出しました。薄皮で覆われています。
断面を見て幼芽を探してみました。「これが幼芽!」といったものは,わたしの目には定かにはわかりません。
左右の付属部屋の一方を割ってみると……。繊維が横方向に並んでいます。ほんとうにこれってどんな意味?
カラスウリの種はなぞだらけ。これを食べるのはカラスだとかヒヨドリだとか,はたまたツグミだといった話があるようですが,わたしはまだ赤い実がなっているときに鳥が来ているのを見たことがありません。それでいて,カラスウリという植物は絶えることなくあちこちで育っています。
ほんとうにふしぎ。