自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

「コットン紙,できませんか」(14)

2021-06-16 | 野草紙

一般の方がコットン紙を漉こうと思ったら,繊維を入手することはむずかしいでしょうか。いいえ,そんなことはありません。コットン繊維なら100均に行けば手に入ります。脱脂綿を買えばよいのです。しかも,110円(税込み)なのですから,なんともありがたい限り。

ただ,今回は実証実験です。ふつう,紙をつくるそのこと自体が目的になってはおもしろくないでしょう。

漉いた紙で何をするか,紙を何に使うか,だからどんなサイズの紙を漉くか,そんなことをあらかじめ考えておくからこそたのしさが増幅するのだと思います。

100均のコットンはカット綿で,一辺が1.5cmの正方形に整えられています。それに,製造段階できれいな層(繊維の向きが同一方向)になっており,繊維が複雑に絡み合っていないためにそのままでは紙にはできません。とにかく,ごちゃ混ぜにして繊維同士を絡み合わせなくてはならないのです。

 

そうするためにはミキサーが必要になります。作業はとても簡単です。

 

あとは普通に紙を漉いて。

 

 

水切りをして,乾かすだけ。

 

たぶん,1時間半コースでハガキ一枚はつくれるでしょう。試してみてください。脱脂綿をどのくらい使うかについては,体験してノウハウをつかんでください。下写真のコットン紙の汚れは,乾燥時に布の汚れがついてしまったからです。

 

コットン紙は和紙ならぬ非木材紙。わたしのカテゴリーからすれば野草紙の一つです。牛乳パックからつくる再生紙は木材紙。わざわざ「牛乳パック和紙」と呼ぶ人がありますが,それは大間違い。両方とも和紙職人さんが漉いたとしても和紙とはいいません(実際にその事例あり)。

コットンを材料にした非木材紙づくりの試みが広がればすてきなのですが……。本質的な取組をとおして,営々と続く人間の知恵や生産的活動に思いをはせていきたいものです。今夏,勤務ミュージアムで「コットン紙を漉こう」と銘打ったワークショップを開催する予定です。もしかすると,全国でも初めての試みかもしれません。