自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

'21昆虫の頭・顔 ~自然で接写したハグロトンボ~

2021-06-15 | 昆虫

6月10日(木)。職場で同僚のTさんと,畑仕事やら世の中のことやらとりとめもない話をよくします。畑仕事には虫の話もたっぷり出て来ます。そのTさんが「ハグロトンボを見かける時期になりましたね。家の庭に飛んで来ましたよ」といったものですから,わたしも早く出会いたいものだと思いました。

なにしろ,ハグロトンボはわたしが野外で接写したいサイコーのモデルの一つなのですから。わたしが理想として追い求めている接写は,生の自然のなかで,リアルなかたちで画像を得るところにあります。気づかれないようにモデルにぐーっと接近し,息をぐっと吞むような気持ちでシャッターを切ります。近接距離でにらめっこし合うような感じです。望遠マクロは使いません。もちろんとくべつな撮影機材もなし。ハグロトンボはそれに値するだけのすてきなトンボです。

これまでにハグロトンボを自然界で超接近して撮った経験はたった一度だけ。無数の出会いがあるのに,ことごとく逃げられてきました。その一度とは水路の中で撮影したときでした。カメラを水面すれすれに近づけてパチリ。あのときのドキドキ感はけっして忘れられません。

6月14日(月)。我が家のスダチの木の下で。たまたまスダチの木の傍を通りかかったとき,葉でハグロトンボが翅を休めているのを見かけました。高さは胸の辺りです。今季初めての出会いです。なんと近寄っても逃げようとしません。ラッキーチャンス!

急いでカメラを持ち出して来て撮影準備にかかりました。「どうか逃げないで!」。祈るような気持ちです。どうやらわたしに気づいていない様子。どんな場合も常套作戦は近づきながら撮るというもの。まずは真正面からカメラを近づけていきました。スマートな脚!

 

はらはら,ドキドキ。

 

モデルは風で葉とともに揺れますが,カメラに気づいているのかいないのかわからないものの,自分で動く気配はありません。今度は斜め前方から。なんとか撮れました。脚に生える毛のすごいこと!

 

もっと近寄ります。幸い,その間頭を動かしたことはあるものの逃げる様子はまったくなし。

 

もっと,もっと近寄って。複眼の様子がくっきり。頭部全体はなんとカラフルな!

 

 

今度はすこし斜めから。この口で獲物を捕らえるのです。

 

こんな幸先のよい出会いがあるとは思いも寄りませんでした。小さくて,大きな願いが叶いました。大自然からの贈りものにこころから感謝。