葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

2003年SARSがコロナウイルスだと決定された経緯 その3

2020-07-31 | 2003年SARS
ドイツのフランクフルトの患者は、シンガポールの医師とその妻(妊娠中)と義母。
3月上旬にシンガポールでSARS疑いの患者を治療して、その後、学会で米国へ、帰国途中の乗り換え中にフランクフルト空港で3月15日に隔離されました。

3月12日WHOがワールドアラートを発表したのに、この医師は米国で医師の会議に出席し続け、ニューヨークから飛行機に搭乗し、ドイツへ向かっています。

ドイツの同定論文であるドロステン論文では、3月5日に発熱したとありますが、WHOの報告では「搭乗前に症状があってシンガポールの同僚に連絡した」となっており矛盾がありました。

妊娠している妻が、1週間程度の米国への旅行に同伴するのも、また義母が同伴しているのも不思議な点で、妻には感染していたのに義母には感染してなかったり、学会の出席者や飛行機の同乗者の感染の記録がなかったりと、気にかかる点がいくつもあるエピソードです。

また、ドロステン論文では、このドイツ患者1号がクラミジア肺炎に罹患していたと書いてありました。この患者1号である医師が診察したシンガポールの患者は香港のメトロポールホテルでSARSに罹患しましたが、香港の患者にもクラミジア肺炎が報告されているので、シンガポールの患者がクラミジア肺炎であった可能性もあります。(クラミジア肺炎の潜伏期間は3週間程度ということなので、患者から感染した可能性は低い)

ドイツの同定論文 ドロステン論文
オンライン掲載 2003年4月10日

論文の部分訳は、Manamiさんのブログ記事参照


RNA抽出

喀痰サンプルは、等量のアセチルシステインと塩化ナトリウムと振盪した。
サンプルからのRNA抽出は、ウイルスRNAキット(キアゲン社)を用いて行った。
(葉月注:細菌由来のDNAが100%除去できているのか?)

ランダムRT-PCR法

RNA溶液を、ランダムRT-PCRアッセイで分析。
Superscript  II  platinum  Taq  polymerase  one-step RT-PCR  kit (インビトロジェン社)を使用。

15組のプライマーを使用。
いくつかのプライマーは縮重塩基を含む
ほとんどのプライマーは、プライマーの末端で不完全なヌクレオチドの一致にもかかわらず、DNAポリメラーゼが反応するように、3'末端にチミジン残基を持つ。

これらのプライマーは、もともとは、黄熱ウイルス株17Dゲノムと、パラミクソウイルス科のポリメラーゼ遺伝子を対象とするために設計されたものである。

得られた反応液をアガロースゲル上で分析、ゲルを精製、縮重塩基なしの対応プライマーを使用して再増幅した。

生成物は、ジデソキシ・ターミネーター・シークエンシング反応(アプライドバイオシステムズ社)および自動DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社)を使用してシークエンスした。 

(以上が、実験の部分ですが、香港論文と同じく、ランダムRT-PCRアッセイですが、プライマーの設計法が大変異なっています。このプライマーに関する参考文献
を後で調べてみます。)


結果

病原微生物の検出

多数の呼吸器疾患の病原微生物を調べ、下記のもの以外は陰性だった。

咽頭スワブと喀痰サンプルの電顕により、パラミクソウイルス様粒子を検出したが、数はとても少なかった。
メタニューモウイルスを含むパラミクソウイルス科のウイルスに特異的なPCR検査は陰性。

9病日の喀痰のPCRと抗原ELISAでは、肺炎クラミジアは陰性。
11病日の気管支肺胞洗浄液の細胞の電顕で、重度の細胞内細菌性感染を検出。
肺炎クラミジアに対するモノクロナール抗体の免疫蛍光法で陽性。
10病日と13病日で肺炎クラミジアに対するIgAが4倍増加。


新型コロナウイルスの単離とキャラクタリゼーション

Vero細胞に喀痰を添加し培養6日目に、細胞変性効果を観察。
1回継代24時間後に、上澄みから核酸を精製。
ランダム増幅を、特異性のゆるい条件で15種類のPCRで行った。
この方法で細胞培養で増殖した未知の病原体を検出できることは以前示した(未発表データ)。

20の異なるDNA断片を得、配列決定。
BLAST検索の結果、ほとんどがヒトの染色体の配列であった。
3つの断片が未知のものであった。
BLAST検索で、コロナウイルスのアミノ酸配列と相同性を示した。
2つの断片は300塩基長で同一のものであり、もう一つは90塩基長。
詳細な解析で、両方ともコロナウイルスのORF1bで、CDCの400塩基コロナウイルス断片と重複していなかった。

CDCが配列決定した断片も、フランクフルトの患者の細胞培養上澄みから増幅し、100%同一であることを確認した。
CDCの断片からフランクフルトの断片(BNI-1断片)を含む3000塩基長の切断を増幅した。
2つの断片は、近接するRNA分子から得られたものであり、同一のウイルスから得られたことが示された。
2人のSARSの症例から独立して同じウイルスが単離された。

(葉月注:全ゲノム3万塩基長の中で、ドイツとCDCが同定して断片が同じ3000塩基長に含まれる確率は、10%以下だよね。)

フランクフルトの患者1号とその接触者1号において、このウイルスの急性感染症の血清学的エビデンスがある。
コロナウイルスが単独でSARSの原因である可能性が考えられた。

PCR診断キットの開発

この実験で得られたプライマーを使用して、診断キットを開発し、他のコロナウイルスに反応しないことを確認したとしています。
(葉月注:では、カナダで、OC43の感染が流行した高齢者施設でSARSが陽性となったのはなぜなのか?)


RNAの定量

フランクフルト患者1号の喀痰サンプルから、1mL当たり1億コピーのRNAを定量した。

また、血清中にも少量のウイルスを検出。
(葉月注:2020年の新型コロナでは血液にウイルス検出なしだったのはなぜか?)

PCRアッセイが4種類あり、患者1号の臨床サンプルや培養細胞によっては陽性だったり陰性だったりすることが表2からわかる。



ウイルスのRNAが細胞の中でコピー数を増やすときに、一部のみ増やすような機能があるわけでしょうか。
培養細胞だけで陽性になる部分は、細胞由来ではないのかと疑われる。

香港同定論文 ペイリス論文 のプライマーの調査

2020-07-30 | 2003年SARS
ペイリス論文では、5′-GCCGGAGCTCTGCAGAATTCNNNNNN-3′ でRNAをcDNAに逆転写した後、5′-GCCGGAGCTCTGCAGAATTC-3′をプライマーとして逆転写産生物を増幅しています。

この逆転写産生物反応液の中に、このプライマーと相同する配列をもっているDNAがあったら、それも増幅されることになるのではと思い、BLASTで遊んでみましたら、致死性の肺炎を起こすオウム病のゲノムの中に、3’末端から15個相同する配列を見つけました。



感染研のサイトに「オウム病はオウム病クラミジア(Chlamydia psittaci 以下C. psittaci)による人獣共通感染症」と書いてありました。

それから、肺炎クラミジアとも、3’末端が10塩基相同である部分が見つかりました。

(↑逆方向だとどうなるのだろう。5’を検討すべきか)

3’末端が何塩基同じだったら増幅できるのでしょうか?

香港のcDNA増幅物の中には、クラミジア由来の配列が含まれている可能性があり、この配列を使ってSARSのRT-PCRアッセイを作れば、クラミジア肺炎の患者さんがSARS患者として陽性になるわけですね。

「ぬるい仕事」ってこういうのでしょうか。

追記 その他、以下のような微生物が増幅する可能性があります。
国立医薬品食品衛生研究所が作ったプライマー交差性解析システム
Legionella nagasakiensis



2003年SARSがコロナウイルスだと決定された経緯 その2

2020-07-30 | 新型コロナ
今まで調べてきて判明したことは、2003年SARSの初期の患者で共感染が見つかっていたことです。

中国本土 肺炎クラミジア

香港 不明 (香港株)
カナダ メタニューモウイルス (トロント株)
ドイツ 肺炎クラミジア (フランクフルト株)
タイ(CDC) 不明  (ウルバニ株)

香港、カナダ、ドイツ、タイの患者は、香港のメトロポールホテル関連です。

香港1号は、肺炎クラミジアが流行していた中国から香港を訪れた医師、メトロポールホテル9階滞在
香港2号は、この医師と10時間接触した医師の義弟(香港株)

カナダ1号は、メトロポールホテルに、中国人医師が宿泊する前に滞在した老女

ドイツ1号は、メトロポールホテルに滞在してシンガポールに帰国後肺炎となり入院した患者を治療した医師、米国の学会出席後フランクフルト空港で隔離

タイ1号は、メトロポールホテルに滞在してベトナムに帰国した中国人を診察したイタリア人医師、タイに出張中に発病

このうち、コロナの同定に使用されたのは、香港2号、ドイツ1号、タイ1号でした。

香港、ドイツ、CDCの論文では、臨床サンプルを特定の細胞で培養して、コロナだと推定した後に、プライマーをそれぞれ独自の方法で開発して、新しいウイルスの遺伝子の一部分と考えられる遺伝子の配列を決定し、この配列をもとに作ったタンパク質に他の患者の血清にある抗体が反応することで、病原体であろうと推測しています。

香港ペイリス論文
香港大学、クイーンメリー病院 Peiris  オンライン掲載 2003年4月8日

(クラミジア肺炎に関しての検査は一切なし)

臨床サンプル
香港2号の開胸肺生検
基礎疾患なしの女性SARS患者の鼻咽頭吸引液

ウイルスは、胎児アカゲザル腎臓細胞で培養

最初の細胞変性効果は、接種の2~4日後に丸い屈折性細胞、その後進行せず。
継代培養後のウイルスは、細胞変性効果を24時間で示した。

ウイルスはエーテル感応であったので、エンベロープウイルス
電顕で、直径が80-90nm、多形性
表面形態がコロナウイルスと似ている (葉月注:突起なし)



ランダムRT-PCRアッセイ
未知のRNAウイルスの遺伝子配列情報を得るため

ウイルス感染胎児アカゲザル腎臓細胞と、ウイルス非感染胎児アカゲザル腎臓細胞からすべてのRNAを分離

RNAサンプルを 5′-GCCGGAGCTCTGCAGAATTCNNNNNN-3′ (N=A, T, C, または G)で転写

得られたcDNAを 5′-GCCGGAGCTCTGCAGAATTC-3′をプライマーとして増幅

ウイルス非感染細胞をネガティブコントロールとして使用
ウイルス感染細胞からだけ得られたPCR産物(サイズの違い)の配列を決定

遺伝子相同性をGenBankで比較

感染細胞からだけ得られた30個のバンドのうち、646塩基のバンドをを未知のものと特定

コロナウイルス科のウイルスと弱い相同性あり
215個のアミノ酸の配列は、ウシコロナウイルスとマウス肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼと57%の相同性があった

この配列をもとに、診断用のRT-PCRのプライマーを開発

香港の50人のSARS患者うち

44人からの鼻咽頭サンプルの22個にコロナウイルス感染のエビデンスあり
18人の便サンプルの10個でウイルスRNA検出

SARS患者50人の最近の血清のうち35個で、コロナウイルスへの抗体あり

32人のペア血清では、すべてで抗体価が4倍以上上昇 (葉月注:2020年のSARSで抗体ができないのはどうしてだろうか?)

他の疾患の患者80人や、輸血血液200サンプルでは、コロナウイルスのRNAは検出なし

以上が、香港でコロナを同定した論文の概要です。
次回は、ドイツとCDCの同定論文をみてみます。

タバコモザイクウイルスは喫煙者の痰や胸腔穿刺液から培養された

2020-07-29 | 新型コロナ
歌舞伎町との関連

Tobacco mosaic virus in cigarettes and saliva of smokers

Abstract
Background
Tobacco mosaic virus (TMV) has been described as viable in cigarettes or cigar tobacco. It has been cultured about 50 years ago from sputa and thoracentesis fluids of cigarette smokers with a history of pulmonary disease and from lung cancerous matter. In addition, TMV RNA has been recovered recently from human stools while tobacco DNA was recovered from smokers’ bronchoalveolar lavages.
Objectives
We assessed the prevalence, titers, and infectivity of TMV in tobacco cigarettes and in the saliva of smokers and non smokers.
Study design
Tobacco cigarettes from 10 packs of different brands were purchased. Saliva was collected from 12 smokers and 15 non-smokers. Cigarettes and saliva samples were tested for the presence of TMV RNA using a home-made quantitative real-time RT-PCR assay. TMV RNA quantification was enabled by using dilutions of purified TMV. TMV viability was tested by inoculating leaves of Nicotiana tabacum Xanthi (NtX).
Results
All 47 smoking cigarettes of six brands were TMV RNA-positive (mean titer, 9.5 log10 copies/cigarette); TMV was found viable in 53% of them. In addition, 20/44 (45%) saliva from 12 smokers compared to 0/16 saliva from 15 non-smokers tested positive for TMV RNA (mean titer, 3.8 log10 copies/ml) (p = 0.001).
Conclusions
Our results indicate that the TMV genome may get access to the human body by direct exposure through smoking. Although plant viruses are considered not pathogenic for animals, these data prompt to study if TMV RNA is present and induces a modification of the transcriptional program in lung cells of cigarette smokers.

BLASTで遊ぼう!

2020-07-29 | 新型コロナ
ここにある香港のPCRテストのプライマー Orf1bnsp14:
TGGGGYTTTACRGGTAACCT が、パパイヤにマッチしてしまった
プローブは調べませんでしたが。



パパイヤだけでなく、このペトリモナスという微生物でもマッチするらしい
犬の糞便微生物ということ 茨城の犬なのか茨木の犬か不明
Petrimonas sp. IBARAKI DNA, complete genome Sequence ID: AP018040.2Length: 3693233Number of Matches: 1

家庭用PCR検体キット送りつけてきたら、愛犬の糞入れて送り返すことにしました。

ふと思ったのだけど、糞便微生物とは消化不良のパパイヤのこと?
パパイヤのRNAが入ったエクソソームとか?

2003年SARSがコロナウイルスだと決定された経緯 その1

2020-07-28 | 2003年SARS
2003年3月12日にWHOがワールドアラートを発し、ほぼ毎日記者会見を開き、各国の症例疑い数と原因病原体のリサーチの進捗状況を報告し始めました。

3月19日、ドイツと香港の研究者から独立して電子顕微鏡でパラミクソウイルスのような粒子を発見したと報告がありました。

3月22日のアップデート7では、カナダの研究者が前日にパラミクソウイルス科のヒトメタニューモウイルスが原因病原体ではないかと報告し、ドイツ、香港、カナダの3つの研究所が独立でパラミクソウイルスを報告したことになりました。

3月24日のアップデート8では、突然、
「Work towards the definitive identification of the causative agent, now strongly expected to be a virus of the Paramyxovirus or Coronavirus families, is continuing at breakneck speed.」
(原因病原体ー目下パラミクソウイルスかコロナウイルスが強く疑われているーを特定する研究は、現在急速に続けられている)
と、コロナウイルスがダークホースとして出現しました。

この情報源は、3月24日付のCDCのプレスリリースです。

「SARSの原因病原体が、今まで知られていなかったコロナウイルス科のウイルスによるものだという仮定が最も強力なものである」

「自分の所の科学者と世界の他の科学者のハードワークが報われた」などと述べていますが、この時点で他の科学者はコロナウイルスだとは誰も考えていませんでした。プレスリリースにはパラミクソウイルスのことには一切触れていません。


CDCは自分のサイトに電子顕微鏡写真を掲載して、SARSの病原体がコロナウイルスであることを印象付けました。

ドイツのドロステンは、この頃サンプルをオランダのエラスムス大学に送って、パラミクソウイルスが存在しないことを確かめてもらっています。(エラスムス大学は、インフルエンザウイルスのゲインオブファンクション研究で悪評の高い研究所です)

WHOでの共同研究者らは、パラミクソウイルス科のヒトメタニューモウイルスの関与を特定するためにサルの実験を計画し、この実験はオランダのエラスムスで行われたようですが、その結果が世間に公表されたのは4月16日の会議でした。おそらくそれ以前に研究者の内部で結果はシェアされていたとは思いますが、この経過で発表されたSARS同定論文が以下の3報です。

オンライン掲載 2003年4月8日 香港大学
(4) https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa030747
オンライン掲載 2003年4月10日 ドイツ (肺炎クラミジア陽性)
(5) https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa030781
オンライン掲載 2003年4月10日 CDC

3つとも、一般的な呼吸器疾患の原因となる微生物を軽く否定した後は、コロナウイルスという前提でゲノムの極一部の配列決定を行っています。

「軽く否定」と書いたのは、一部の微生物は、臨床サンプルから検出することがかなり困難だという報告があり、ウイルスを培養しないと検出できなかったり、蛍光抗体法では検出できなかったり、PCRでは検出できなかったりと、『一つの方法で検出できなかったことが存在しないことにはならない』という事実があるからです。

続く



2003年SARSのドイツの患者1号はクラミジア肺炎にも感染していた

2020-07-27 | 2003年SARS

ドイツのコロナ同定論文(ドロステン論文)で、患者から肺炎クラミジアを検出したという記述がありました。

結果に
「発病9日目のPCRとELISAでは検出されなかったが、11日目に気管支肺胞洗浄液の細胞の電子顕微鏡で細菌性感染を検出し、肺炎クラミジア特異的モノクロナール抗体を使用した免疫蛍光法で陽性、10日目と13日目にIgAが4倍増加した。」

考察では
「パラミクソウイルスと肺炎クラミジアの感染のエビデンスを得た。パラミクソウイルスは他の研究所からも報告があるが、さらなる調査でほぼ除外できた。クラミジア感染は複数の方法で確認された。しかしながら、SARSの他の患者にクラミジア肺炎が報告されていない。これらの病原体が病因であるかコファクターであるかは明らかにされていない」

となっており、この論文では中国の医師がWHOにクラミジア肺炎の流行だと報告したことは無視しているようです。


ここまで見たところで、2003年にSARSと診断された患者には

ヒトメタニューモウイルス カナダ、香港
OC43 カナダ、香港
クラミジア肺炎 中国、ドイツ(シンガポール)、香港
マイコプラズマ肺炎 香港

の共感染があったことがわかりました。


ダイヤモンドプリンセス号の英国人男性は、普通の風邪のウイルス、インフルエンザ、新型コロナの3つに同時感染していたと入院した日本の病院の素晴らしい医師に診断してもらったとビデオで語っていました。


2003年4月5日 読売新聞記事


2003年のSARSの多くはOC43感染だったのではないか

2020-07-27 | 2003年SARS
2013年香港大学論文から、SARSの患者の血清で、OC43が急性期から回復期に急増していたデータ
論文著者は、OC43とSARSが同じベータコロナウイルスなので、交差反応でSARS罹患中にOC43特異的抗体産生B細胞が刺激されたのではという解釈。




2005年香港大学の論文、SARSの患者の血清と、コロナウイルス229E、OC43、NL63の交差反応を調べた論文

上の実験と異なり、SARSの患者でアルファコロナウイルスである229Eに対する抗体も増えているデータ


とすると、2013年のデータで、アルファコロナウイルスである229EとNL63の抗体が増えなかったのは何故だろうという疑問が起こります。
2003年のSARSの一部がOC43感染だったと考えれば、まぁ辻褄は合うわけですが。

暑さのせいなのか、何かを伝えようとしているのか

2020-07-27 | 新型コロナ

イギリスのケンブリッジにある、ヨーロピアン・バイオインフォマティクス・インスティテュート https://www.ebi.ac.uk/ という研究所が、GenBankに登録したタバコモザイクウイルスのゲノムが、新型コロナウイルスと100%相同しているとして登録されています。タバコモザイクウイルスのゲノムは実際はもっと短いのですが、欠けている部分をnとして、新型コロナと同じ長さで登録しています。

風疹ウイルスも同じように登録しています。



2003年夏の高齢者施設のOC43アウトブレイクの論文

2020-07-26 | 新型コロナ
2003年7月8月の高齢者施設での呼吸器疾患流行時の原因病原体がOC43であると結論された論文です
考察の部分に、気になることが書いてありましたので、ご紹介します。

まず、

「複数の研究所が、ヌクレオカプシドタンパク質をターゲットとした場合、血清検査で、SARSと他のコロナウイルスとの交差反応が見られることを報告している」(参考文献27-31)

しかも、

「他のコロナウイルスだけでなく、インターロイキン11でも交差反応がある」

ということです。

例えば、今回の新型コロナの簡易検査キットで、横浜市立大学大学院医学研究科の梁明秀教授のグループは、ヌクレオカプシドタンパク質を抗原に使用しています。他のコロナウイルスとは交差反応しないことは確認していますが、ヒト由来のタンパク質に関する記述はありません。

つまり、この簡易検査キットで血液を調べて、血液中にあるヒト由来のタンパク質と交差反応する可能性があるかもしれないということです。

そして論文では、

「最初のSARSのPCRによる陽性結果は、偽陽性だったことが最も確からしい」

と結論しています。カナダの最高研究所で、操作をミスって擬陽性を出したという結論ですが、オリジナルのサンプルを使い切ってしまって再実験できないというミスも犯しているようですが、これもどうなのでしょうか。

それから、PCRへの注意として

「Since 2003, there has been some effort to refine RT-PCR testing for SARS-CoV generally, and most experts now caution against the use of nested methods for routine diagnostic testing (35).
(2003年以来、SARS-CoV用のRT-PCRテストを洗練する努力が広くなされており、現在多くの専門家は、ネステッド法を診断テストとして日常的に使用することに注意を促している)」

と書いてありました。2020年に大々的にやっていることが間違っているというお叱りの言葉ですね。大橋先生💗の仰る通りですね。

そして、

「厳密な臨床診断と疫学的観察をラボのテストで置き換えてはいけない」
「観察していることに矛盾がある場合、すべての可能な解釈を考慮すべきだ」

と結んでいます。

それから、このアウトブレイクで、メタニューモウイルス陽性者が4人いたことも書いておきます。

下のリンクは、インターロイキン11との交差反応の論文です。
SARSと新型コロナのウイルスのヌクレオカプシドの相同性は約90%です。

ということは、新型コロナのワクチンがインターロイキン11にも交差反応する抗体を作ってしまうかもしれないってこと?

OC43に対する抗体が、SARS罹患中に増加していたという報告

2020-07-26 | 2003年SARS
香港大学の論文で、冷凍保存しておいたSARSの患者の血清に、MERSに対する抗体があるかどうか調べた実験で、同時にOC43に対する抗体も調べています。

4人のSARS患者は急性期と回復期の血清が保存してあったのですが、OC43 に対する抗体が、急性期から回復期にかけて急増していました。

プラマー博士の論文の結果(OC43に罹患中、SARSに対する抗体が増加した)と比較してみたいと思います。

Summary
Objectives
A severe acute respiratory syndrome (SARS)-like disease due to a novel betacoronavirus, human coronavirus EMC (HCoV-EMC), has emerged recently. HCoV-EMC is phylogenetically closely related to Tylonycteris-bat-coronavirus-HKU4 and Pipistrellus-bat-coronavirus-HKU5 in Hong Kong. We conducted a seroprevalence study on archived sera from 94 game-food animal handlers at a wild life market, 28 SARS patients, and 152 healthy blood donors in Southern China to assess the zoonotic potential and evidence for intrusion of HCoV-EMC and related viruses into humans.
Methods
Anti-HCoV-EMC and anti-SARS-CoV antibodies were detected using screening indirect immunofluorescence (IF) and confirmatory neutralizing antibody tests.
Results
Two (2.1%) animal handlers had IF antibody titer of ≥1:20 against both HCoV-EMC and SARS-CoV with neutralizing antibody titer of
Conclusions
Convalescent SARS sera may contain cross-reactive antibodies against other betacoronaviruses and confound seroprevalence study for HCoV-EMC.



2003年のSARSについて ドイツ編

2020-07-26 | 新型コロナ
ドイツのフランクフルトの患者に関して、
WHOの記録によると

3月1日 26歳のシンガポール在住女性がシンガポールの病院に呼吸器症状で入院。2月21日から25日まで香港のメトロポールホテルの9階に滞在した。(この患者の話しを元に作られたフィルム予告編 ユーチューブリンク https://www.youtube.com/watch?v=hm_aaHGbBrU

3月15日 午前2時、シンガポールの保健省はWHOの職員に、緊急テレコミュニケーションで、シンガポールでSARSの最初の2例を治療した32歳医師が、医学会議出席後、ニューヨークからシンガポール行きの飛行機に搭乗し、フランクフルト経由でシンガポールに帰国予定。飛行機に搭乗する少し前に、シンガポールの医師の同僚に症状を報告、この同僚が保健省に通告した。WHOは飛行機便を特定し、医師、その妻30歳、義母62歳を隔離した。彼らがドイツの最初のSARS症例となった。


ドイツのコロナウイルス同定論文で、患者とサンプルの欄には以下のように書いてありました。

患者1号は32歳の男性医師。2003年3月3日から9日まで、シンガポールで香港から来た非定型肺炎患者を治療した。男性医師患者の病気は、ニューヨーク滞在中の3月9日(Day1)、突然の発熱(39.4°C)で始まった。Day4、乾性咳と咽頭痛と胴に紅斑を発症。シンガポールへの帰国便のトランジット中、ドイツのフランクフルト空港で隔離され、フランクフルト大学病院にSARS疑い(Day7)として入院した。


WHOの報告と、論文の患者の記載を比べながら読んでいると、重症度や緊急性の温度差を感じます。3月15日にWHOはワールドアラートを出しているにも拘らず、同じ飛行機便の乗客も隔離したという話もないわけです。ドイツ語だと見つかるのでしょうか。それより、ニューヨークで騒ぎになっていないのも不思議です。

参考例
中華空港112便は2003年3月15日の国際定期便で、72歳のSARS患者が他の20人の乗客と2人の乗務員を感染させた。