葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

2003年SARSがコロナウイルスだと決定された経緯 その3

2020-07-31 | 2003年SARS
ドイツのフランクフルトの患者は、シンガポールの医師とその妻(妊娠中)と義母。
3月上旬にシンガポールでSARS疑いの患者を治療して、その後、学会で米国へ、帰国途中の乗り換え中にフランクフルト空港で3月15日に隔離されました。

3月12日WHOがワールドアラートを発表したのに、この医師は米国で医師の会議に出席し続け、ニューヨークから飛行機に搭乗し、ドイツへ向かっています。

ドイツの同定論文であるドロステン論文では、3月5日に発熱したとありますが、WHOの報告では「搭乗前に症状があってシンガポールの同僚に連絡した」となっており矛盾がありました。

妊娠している妻が、1週間程度の米国への旅行に同伴するのも、また義母が同伴しているのも不思議な点で、妻には感染していたのに義母には感染してなかったり、学会の出席者や飛行機の同乗者の感染の記録がなかったりと、気にかかる点がいくつもあるエピソードです。

また、ドロステン論文では、このドイツ患者1号がクラミジア肺炎に罹患していたと書いてありました。この患者1号である医師が診察したシンガポールの患者は香港のメトロポールホテルでSARSに罹患しましたが、香港の患者にもクラミジア肺炎が報告されているので、シンガポールの患者がクラミジア肺炎であった可能性もあります。(クラミジア肺炎の潜伏期間は3週間程度ということなので、患者から感染した可能性は低い)

ドイツの同定論文 ドロステン論文
オンライン掲載 2003年4月10日

論文の部分訳は、Manamiさんのブログ記事参照


RNA抽出

喀痰サンプルは、等量のアセチルシステインと塩化ナトリウムと振盪した。
サンプルからのRNA抽出は、ウイルスRNAキット(キアゲン社)を用いて行った。
(葉月注:細菌由来のDNAが100%除去できているのか?)

ランダムRT-PCR法

RNA溶液を、ランダムRT-PCRアッセイで分析。
Superscript  II  platinum  Taq  polymerase  one-step RT-PCR  kit (インビトロジェン社)を使用。

15組のプライマーを使用。
いくつかのプライマーは縮重塩基を含む
ほとんどのプライマーは、プライマーの末端で不完全なヌクレオチドの一致にもかかわらず、DNAポリメラーゼが反応するように、3'末端にチミジン残基を持つ。

これらのプライマーは、もともとは、黄熱ウイルス株17Dゲノムと、パラミクソウイルス科のポリメラーゼ遺伝子を対象とするために設計されたものである。

得られた反応液をアガロースゲル上で分析、ゲルを精製、縮重塩基なしの対応プライマーを使用して再増幅した。

生成物は、ジデソキシ・ターミネーター・シークエンシング反応(アプライドバイオシステムズ社)および自動DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社)を使用してシークエンスした。 

(以上が、実験の部分ですが、香港論文と同じく、ランダムRT-PCRアッセイですが、プライマーの設計法が大変異なっています。このプライマーに関する参考文献
を後で調べてみます。)


結果

病原微生物の検出

多数の呼吸器疾患の病原微生物を調べ、下記のもの以外は陰性だった。

咽頭スワブと喀痰サンプルの電顕により、パラミクソウイルス様粒子を検出したが、数はとても少なかった。
メタニューモウイルスを含むパラミクソウイルス科のウイルスに特異的なPCR検査は陰性。

9病日の喀痰のPCRと抗原ELISAでは、肺炎クラミジアは陰性。
11病日の気管支肺胞洗浄液の細胞の電顕で、重度の細胞内細菌性感染を検出。
肺炎クラミジアに対するモノクロナール抗体の免疫蛍光法で陽性。
10病日と13病日で肺炎クラミジアに対するIgAが4倍増加。


新型コロナウイルスの単離とキャラクタリゼーション

Vero細胞に喀痰を添加し培養6日目に、細胞変性効果を観察。
1回継代24時間後に、上澄みから核酸を精製。
ランダム増幅を、特異性のゆるい条件で15種類のPCRで行った。
この方法で細胞培養で増殖した未知の病原体を検出できることは以前示した(未発表データ)。

20の異なるDNA断片を得、配列決定。
BLAST検索の結果、ほとんどがヒトの染色体の配列であった。
3つの断片が未知のものであった。
BLAST検索で、コロナウイルスのアミノ酸配列と相同性を示した。
2つの断片は300塩基長で同一のものであり、もう一つは90塩基長。
詳細な解析で、両方ともコロナウイルスのORF1bで、CDCの400塩基コロナウイルス断片と重複していなかった。

CDCが配列決定した断片も、フランクフルトの患者の細胞培養上澄みから増幅し、100%同一であることを確認した。
CDCの断片からフランクフルトの断片(BNI-1断片)を含む3000塩基長の切断を増幅した。
2つの断片は、近接するRNA分子から得られたものであり、同一のウイルスから得られたことが示された。
2人のSARSの症例から独立して同じウイルスが単離された。

(葉月注:全ゲノム3万塩基長の中で、ドイツとCDCが同定して断片が同じ3000塩基長に含まれる確率は、10%以下だよね。)

フランクフルトの患者1号とその接触者1号において、このウイルスの急性感染症の血清学的エビデンスがある。
コロナウイルスが単独でSARSの原因である可能性が考えられた。

PCR診断キットの開発

この実験で得られたプライマーを使用して、診断キットを開発し、他のコロナウイルスに反応しないことを確認したとしています。
(葉月注:では、カナダで、OC43の感染が流行した高齢者施設でSARSが陽性となったのはなぜなのか?)


RNAの定量

フランクフルト患者1号の喀痰サンプルから、1mL当たり1億コピーのRNAを定量した。

また、血清中にも少量のウイルスを検出。
(葉月注:2020年の新型コロナでは血液にウイルス検出なしだったのはなぜか?)

PCRアッセイが4種類あり、患者1号の臨床サンプルや培養細胞によっては陽性だったり陰性だったりすることが表2からわかる。



ウイルスのRNAが細胞の中でコピー数を増やすときに、一部のみ増やすような機能があるわけでしょうか。
培養細胞だけで陽性になる部分は、細胞由来ではないのかと疑われる。

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