葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

2003年のSARSについて カナダ編

2020-07-25 | 2003年SARS
サイエンスの2003年8月の記事は、8月の140人の流行についてWHOがSARSコロナウイルスの関与を否定したものです。
2003年3月と4月のカナダでの流行は、SARSであると考えられています。

しかし、カナダの流行については、まず、カナダの患者1号が、香港の患者1号とホテルで接触したのかが問題だと思います。前に書いたように、カナダ患者1号がチェックアウトした日に、香港患者1号がチェックインしています。

カナダの症例論文より ポウタネン論文

The first cases in Toronto were linked to members of a multigenerational family of Hong Kong descent who live in Toronto (Figure 1 and Figure 2). The Toronto index case (Patient 1) and her husband traveled to Hong Kong to visit relatives from February 13 through February 23, 2003. While in Hong Kong visiting their son, Patient 1 and her husband stayed at Hotel A from February 18 through February 21. Another hotel guest, who eventually was identified as the source patient for SARS in Hong Kong, also stayed on the same floor at Hotel A.2 Patient 1 and her husband stayed in the hotel only at night, spending the days visiting their son. They returned to their apartment in Toronto, which they shared with two sons, a daughter-in-law, and a five-month-old grandson (Household A), on February 23, 2003.

ここで重要なのが、「息子を訪ねて香港滞在中に、患者1と彼女の夫は2月18日から2月21日までホテルAに滞在した」とあり、このホテルAに香港にSARSを持ち込んだと考えられている広東省の医師が、同じ階に泊まったと書いてあります。

論文の図2で、患者1のところに、白抜きのグレイの帯がありますが、この白抜きの部分がホテルAに滞在した日です。




WHOの記録をみると

21 February 2003
 – A 64-year-old medical doctor from Zhongshan University in Guangzhou (Guangdong Province) arrives in Hong Kong to attend a wedding. He checks into the ninth floor of the Metropole Hotel (room 911). Although he developed respiratory symptoms five days earlier, he feels well enough to sightsee and shop with his 53-year-old brother-in-law, who resides in Hong Kong. 

2003年2月21日、64歳の医師が香港に結婚式のために来島して、メトロポールホテルの9階911室にチェックインしたとあります。既に5日前に症状がでていたけれど、香港住民の義弟と観光と買い物に出かけています。

23 February
– A 78-year-old female tourist from Toronto, Canada checks out of the Metropole Hotel and begins her homeward journey. On arrival in Toronto she is reunited with her family.

WHOの記録によると、カナダの78歳の旅行者はメトロポールホテルをチェックアウトしたのが2月23日になっています。(同行した夫に関する記載なし)

WHOの記録と、カナダの症例報告論文に大きな矛盾があります。
カナダの論文では、カナダ患者1号と、広東省医師とは、ホテルで接触したとしても同日には同じ階に滞在していないことになります。むしろ、医師がチェックインする前にチェックアウトした可能性の方が大きいのではないかと常識的には考えますが、これは、ホテルの記録を調べればわかることだと思います。

カナダの論文の患者は10人で、このうちCDCのPCR検査でSARS陽性が5人、そのうち4人はメタニューモウイルスも陽性。でもどの患者が陽性なのかの情報はありません。

WHOが故意でないならば訂正しないのも問題です。

もしも、カナダ患者1号がSARSではなかったとしたら、この10症例で5人がPCR陽性であったのは何故なのかが大きな疑問として残るのです。

プラマー博士も、この10症例を超えても、疫学的にリンクしている症例で60%しか陽性にならないと苦悩されているわけです。

かと思うと、8月のOC43の流行では、SARSが否定されているのに、SARSの遺伝子配列がウイルスから見つかったり、SARSの抗体が患者から見つかって、さらにプラマー博士の苦悩は募るわけです。

2003年8月 カナダの呼吸器感染症の流行 SARSではなかったが、では何なのか?

2020-07-25 | 2003年SARS

『この流行は、香港から始まった3月4月のカナダでの大流行とは異なるもので、この記事でSARSの関与を否定したのは、8月の流行に関してです』

SARSではなかったが、では何なのか?
2003年8月27日 マーティン・エンセリンク

5日前にカナダ当局は、ブリティッシュコロンビアの高齢者施設で起きた呼吸器感染症の流行がSARSではないと発表したが、ではその施設の患者と従業員140人以上が病気になった原因は正確には何であったのかという疑問が残っている。

SARSとの関連に警鐘を鳴らした最初のカナダ人研究者(8月21日、サイエンス・ナウ)は、彼らの発見を強く主張し、SARSコロナウイルスと他の病原体のハイブリッドが流行に関与した可能性を疑っている。 

ブリティッシュコロンビアのサリーにあるキンズメア・プレイス・ロッジでの大流行は、軽症な風邪のような症状であり、この春にアジアから起こった致死性の高い病気の様には全く見えなかった。

8月22日、ブリティッシュコロンビアのCDCとゲノムサイエンスセンターの研究者らは、患者のウイルスRNAの中の全部で約1000塩基が、長く普通の風邪の病原体として知られている2つのコロナウイルスの内の一つであるOC43のゲノムと良くマッチしたと報告した。

WHOは、SARSの関与を否定する結論を支持した。

しかし、もっと驚く発見は、カナダの最高施設であるウィニペグの国立微生物研究所から発表された。所長のフランク・プラマーは、患者のウイルスRNAの約1000塩基が、SARSコロナウイルスのいくつかの部分と全く同一であったという。また、患者にSARSの抗体も見つけている。

プラマーは、症状がSARSのそれと一致しないことは認めている。一つの解釈として、ハイブリッドの関与が考えられる。他の研究者は、変異によりSARSウイルスが弱毒化したと推測している。もう一つの可能性として、国立微生物研究所の発見は擬陽性だというものであるが、プラマーはその可能性はとても小さいと言っている。

ウイルスの全ゲノム配列が解析されたら、この謎は解けるであろうが、今のところ、研究者はウイルスを増殖できていない。目下、国立微生物研究所のの発見は、多くの疑問を呼び起こしている。例えば、弱毒化SARSやOC43とのハイブリッドの脅威はどのくらいなのか?

とうことで、健康省は、SARS用の厳格な隔離処置を廃止した。州の健康部職員のペリー・ケンダルは、「ウイルスが何であれ、それが獰猛ではなかった。すべての呼吸器疾患の流行中にSARSに要求される極端な警戒態勢を敷くことは、すべての街角に救急車を待機させるようなものだ」と言った。


この流行に関する論文
Conclusions
These findings underscore the virulence of human CoV-OC43 in elderly populations and confirm that cross-reactivity to antibody against nucleocapsid proteins from these viruses must be considered when interpreting serological tests for SARS-CoV.

これらの知見は、高齢者におけるヒトCoV-OC43の病毒性を強調するものであり、SARS-CoVの血清学的検査を解釈する際にヒトCoV-OC43ウイルスのヌクレオカプシドに対する抗体の交差反応性を考慮する必要を確認するものである。


確か、新型コロナと2003年SARSのヌクレオカプシドの相同性は90%だった。
そういえばSARSのワクチンでヌクレオカプシドに対する抗体がまずいのではなかったかな?

フランク・プラマーの苦悩

2020-07-24 | 2003年SARS
Manamiさんのブログで紹介してあったカナダ人研究者Frank Plummerの記事がありました

カナダの症例で、疫学的にリンクしているSARS患者たちの半分しかPCRで陽性とならないということです。

2003年3月、SARS-Cov-1が上陸していなかったかもしれないカナダで、肺炎患者の半分がこのPCR検査で陽性になっていたということです。

SARS-Cov-1のPCR検査は一体何を検出していたのでしょうか。

そして、今使っている新型コロナのPCR検査が、このSARS-Cov-1をポジティブコントロールとして作られていることを考えると、今やっている新型コロナのPCR検査で、2003年のカナダの肺炎患者と同じ原因の肺炎患者の半分が陽性となる可能性があるということが考えられるわけです。

SARSの原因は論争中である
カナダの研究所所長はコロナウイルスがSARSの原因だと納得していない
2003年4月10日 ロバート・ワルゲート著

SARSを研究しているWHOグローバルネットワークの11研究所の1つの所長は、本誌(サイエンティスト)に、SARSの原因だといわれている新しいコロナウイルスは確かに環境中に存在しているが病原体ではなさそうであると話している。フランク・プラマーはウィニペグにあるカナダ国立微生物研究所の所長である。カナダは西側諸国の中で最も多くのSARS患者がでた。それは、3月12日にWHOがグローバルアラートを発する前にトロントにやってきた。2つの波で、190のSARS患者と、11人の死亡例があったと、ドナルド・ローは本誌に話した。ローはトロントのマウント・市内病院の微生物学部長である。彼はカナダの最初の症例を扱い、自身の隔離がやっと終わったところである。

プラマーによると、「我々のサンプル(カナダのSARS患者)の中でコロナウイルスを示しているものの数は減っている」ということだ。今週の初めに、PCR検査で60%がウイルスを示していたが、今はたった50%である。
「もちろんSARSの症例定義はややゆるいわけであるが、トロントの症例の多くは疫学的にリンクしている」プラマーは言う。「特徴的に最良の症例のいくつかが陰性となっている。困惑させている。実際に、検出しているウイルスの量も見つかったとしてもとても少ない。とても高感度のPCRでやっと検出可能というレベルだ。」

彼らのサンプル、つまり、SARS高可能性症例50例とSARS疑い症例30例からのサンプルは、主に鼻咽頭スワブである。「世界のラボのほとんどが、これを検査している。そこにほとんどの呼吸器ウイルスが見つかる。だから、そこに本当に少ししかウイルスがいないのはおかしい。なぜなら、このウイルスが濃厚接触で感染するらしいからだ。」プラマーは続けた。

「コロナウイルスが病因であるかもしれないが、私はそう感じていない」。カナダのデータに基づくと、このウイルスを持っていてSARSとなる確率は、ウイルスを持っていない場合と比べて、2倍に増える。」
ランセットに発表された最近の香港の結果は、50人中45人が新しいコロナウイルスを持っていた。「私は違いを理解できない。コロナウイルスは確かに環境中にいる、それは確かに流布している。」「けれど、我々のデータに基づいて、SARSとの関係はとても弱くみえる。もしかしたらそれがSARSの原因で、我々が間違った部分からサンプルを取っているのかもしれない。あるいは、我々は下手な試料をみているのかもしれない。でも、我々の検査方法のせいだと思えない。もしかしたら、SARSになるのに1つ以上のものが必要なのかもしれない。あるいは、何か他の流行に、コロナウイルスの流行が重複しているのかもしれない。今、それをみつけようとしている。」

WHOネットワークの11の研究所は、これらの結果について話し合っている。プラマーによると、ランセットに発表されたものを例外として、世界中の他のラボの結果は我々の結果とそれほど異なるものではない。」

「我々には、何か結果を出すという大きなプレッシャーがかかっていて、科学ジャーナルは論文を出させようとつきまとっている。適当にまとめている人もいる。私は、納得するまで動かない。」

検査自体に関しては、「我々は主にPCRを使っているが培養もやっている」「我々が見つけている配列は他の全ての人のと同じであり、米国のCDCにより提供されたものだ。このコロナウイルスは、鳥と豚の両方のに似ており、新しいコロナウイルスの新しいファミリーを代表すると考えられている。サンフランシスコのカリフォルニア大学のJoseph DeRisiにより開発されたマイクロアレイで初期のSARSサンプルから見つかった。」

「症例定義を満たさない人たちで陽性の結果がある。でもこれは良くあることである。香港だとおもうが、症状のない陽性者を見つけている。カナダのSARS病巣から十分離れたウィニペグの人は陰性だった。それに疑いはない。けれど、主要な病巣のトロントの外に住んでいる2人の人で、極東に旅行歴がなく、SARS患者に接触したこともない人が陽性だった。そして、極東に旅行してSARS患者に接触したが、SARSの高可能性症例でも疑い症例でもない人が、陽性だった。」

しかしながら、米国CDCは、400人のSARSでないコントロールでは、陽性の結果はでていないと報告している。
「そうだが、それは保管していたCDC職員の血清を使った抗体検査だと思う。カナダでも、昨年の呼吸器ウイルスシーズンにおこなった研究から保管していた咽頭スワブで検査したら、陽性はなかった。だから、確かにこれは新しウイルスで、現在流行しているものだ。おそらく我々が以前あったことのないものだ。そう、データが示している。けれど、それは、本当にSARSの原因の全部なのか一部なのか?」

今まで上がった他の病原体として、メタニューモウイルスのようなパラミクソウイルスのがあり、最近中国からの報告でクラジミアの関与が示唆されている。「中国以外のラボでは、クラミジアはほぼ除外されていると思う。我々はメタニューモウイルスを少数の患者で見つけたが、実際の関連はない。」

プラマーとは対照的に、WHOグローバルアウトブレイクアラートアンドレスポンスネットワークのジュリー・ホールは、本誌に、今は確信していると話した。「『SARSの原因がコロナウイルスである確率は』98%だと思う。擬陽性については聞いていない(4月9日)」と言った。「しかしながら、2%の疑いは、コロナウイルスがそれだけで原因なのかに関するものだ」。他のウイルスが本当に重篤な症状の原因に必要である可能性があるかもしれないと彼女は言った。

彼女は、すべての可能な道が探索されたことを嬉しく思っており、HIVがAIDSの原因だと確立されるのに費やした時間の長さを指摘した。動物実験と血清学のエビデンスが、新しいコロナウイルスがSARSの原因であると確認するのに必要だと認めた。「まだそれまでには至っていない」と付け加えた。


2020年1月30日 オンタリオテレビのインタビュー
17年前のSARSを振り返って フランク・プラマー

2020年新型コロナウイルスと同時感染していたメタニューモウイルス報告

2020-07-24 | 新型コロナ
Covid-19の患者の中にもメタニューモウイルス同時感染が報告されていました。

Highlights
Co-infection of SARS-Cov-2 and hMPV affects monocytes and dampens interferon response

ハイライト
SARS-Cov-2とヒトメタニューモウイルスの同時感染はモノサイトに影響を与えインターフェロン応答を抑制する


この報告で、ヒトメタニューモウイルスと同時感染していた一症例を報告しており、中国からの報告で3.2%が他の病原体と同時感染しているとなっていますが、最後に編集者の備考としてスタンフォードの報告で22.4%が他の病原体と同時感染していたと記載されています。

[Editor’s note: While 3.2% co-infection rates have been noted, as cited by the authors, a recent report out of Stanford reported on a series of 562 SARS-CoV-2 tests performed in their emergency department. Of the 49 positive SARS-CoV-2 results, 22.4% (11) were positive for additional viruses, including Rhinovirus/enterovirus, Metapneumovirus, and RSV. This information has not yet been peer reviewed and published, but is important and has been shared at the request of the California Department of Public Health.

面白いのは、サンプルをロードアイランド保健省に送ってSARS-Cov-2の陽性が判明したのですが、同時に、病院内のラボでGenMark Dx® ePlex™ を使ってヒトメタニューモウイルス陽性が判明したということです。

つまり、アメリカの保健省の民度の低さを示唆しているということでしょうか。

2003年SARSの同時感染 

2020-07-24 | 2003年SARS
2003年9月 香港中国大学
2003年3月上旬に、香港中国大学のウェールズ病院で、SARSの流行があった。SARS疑いの患者は、WHOの高可能性症例の条件を満たしていた。
これらの患者の中で、濃厚接触歴のある患者48人を選んで、同時感染を調べたところ、25人がヒトメタニューモウイルスに感染していた。この25人中、6人がコロナウイルスにも感染していた。48人中5人はコロナウイルスだけに感染していた。

2003年香港のSARSの半分が、ヒトメタニューモウイルスであった可能性があった。

(HEp-2細胞(喉頭癌細胞)で培養すると、ヒトメタニューモウイルスが検出される可能性が高くなるということ)


2006年 カナダ

2003年3月27日から7月30日の間にノースヨーク病院で呼吸器疾患で治療した117患者について、SARSのPCR診断と同時感染を調べたところ、85人がSARSと確定され、そのうち35人(41%)に同時感染が見られた。クラミジア肺炎が26人、マイコプラズマ肺炎が8人であった。

2003年のSARSには、他の肺炎を発症させる病原体がかなり含まれていたことが判明していたということ。


2003年4月25日 中国語論文 北京CDC
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12887816/
SARS患者7人の剖検サンプルからクラミジア様粒子を検出
そのうち、2サンプルからコロナウイルス様粒子検出

もしかしたら、SARSのすべてが他の病原体が原因だった可能性もあるとういこと




2003年日本でSARS高可能性症例があった

台湾から来日した33歳の男性が6月21日東京に到着した2日後に、高熱などの症状を示した。最初のテストでは、他の重症呼吸疾患の一般的な原因が排除されたが、更に検査した結果インフルエンザBと確認された。

民度の高い日本では、SARSは発生しなかったということらしい

2003年SARSの初期に疑われたパラミクソウイルス

2020-07-23 | 2003年SARS
2003年3月19日、ドイツと香港のチームが別々にパラミクソウイルスを電子顕微鏡で特定したことを報告。

2003年3月24日、CDCがSARS疑いのタイと香港の患者から新しいコロナウイルスを電子顕微鏡で特定したことを報告。RT-PCR、蛍光抗体法、免疫染色法で、他の6人の患者のサンプルでも陽性確認した。

カナダの最初の10例の症例論文。最初の2人の患者が死亡した後、家族内結核を疑い、検査、3月9日頃、SARSが疑われた。患者の5人と無症状濃厚接触者1人からパラミクソウイルス科のヒトメタニューモウイルスを検出したが、CDCの開発したプライマーでコロナウイルスの検査も行い、4人がメタニューモウイルスと同時感染、1人がコロナのみ感染していた。オンライン掲載3月31日

2003年5月8日 Natureの記事
ドロステン(ドイツ・ハンブルグ・ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所)がSARSの診断法を確立した背景を報告している

WHOがSARSの世界レベル警告を発して、わずか11日後の3月26日に、診断法を公開した。

物語は3月上旬に始まった。ドロステンのチームは、ベトナムでの奇妙な呼吸器疾患についてのインターネット記事をみつけた「3月15日、WHOはグローバルSARSアラートを発した。2人の感染者、医師と彼の妻が、フランクフルト空港に着陸した。

ドロステンの専門はPCR診断である。サンプルに既知のウイルスかバクテリアの遺伝子が存在するならば、それに特有の配列に対応するプライマーを使用して、その病原体の遺伝子を増幅する。

フランクフルトで行われた医師から採取した痰にウイルスを見つける最初のテストは、何の結果ももたらさなかった。それで、3月17日に採取した2回目のサンプルは、熱帯ウイルスを見つけるために、ハンブルグのドロステンに送られた。既知の熱帯ウイルスが除外されたので、ドロステンはSARSに似た症状を起こすことで知られる他のあまり知られていないウイルスを考え始めた。最初に、パラミクソウイルス科のヘンドラウイルスやニパーウイルスを考えた。

フランクフルトの同僚は、患者の痰サンプルを電子顕微鏡でみて、潰れた四角い形をみつけた。典型的なパラミクソウイルスのようだった。

3月18日、パラミクソウイルスのテストを行ったが、結果は陰性だった。
驚いた。カナダの研究者がトロントの患者で、パラミクソウイルス科のメタニューモウイルスが原因病原体だと示唆していたからだ。

ドロステンはサンプルを欧州のパラミクソウイルスの専門家であるエラスムス大学のオスターハウスに送り、陰性であることを確認してもらった。

残った選択肢は、特異性の低い方法でPCRを行って幅広いウイルスを増幅することで、未知のウイルスを拾う試みであった。これには、純粋な培養が必要である。患者のサンプルは、明確な結果を得るには、ヒトの遺伝子が大量に含まれすぎている。

ドロステンはフランクフルトの医学校を卒業し、そこに多くの元同僚がいた。3月20日に、ドロステンはフランクフルトで昔の同僚の1人と、学会発表の準備をしていたとき、そこの大学で、ウイルスの培養が成功し始めたことを知った。3月22日、サンプルをもってハンブルグに戻り、新しいPCRテストを行った。

3月25日、装置は、約20の配列をはじき出した。そのうちの2つがコロナウイルスと一致した。同じころ、CDCが、SARSの病原体がコロナウイルスであると報告した。CDCは電子顕微鏡写真も提示し、典型的なコロナウイルスの王冠を示していた。その王冠は、フランクフルトの写真ではマスクされていたものだった。

コロナウイルスと関係づけることはCDCに出し抜かれたが、ドロステンは時間を無駄にせず、プライマーを作成し、他の研究所でもテストができるようにした。

翌日、研究所のウェブサイトで公表し、無料で提供した。また、PCRテストでウイルスのポジティブコントロールとして使用できる合成配列も提供した。

CDCと香港のチームもPCR診断法を提供しているが、ポジティブコントロールを提供しているのはドロステンだけである。

死者が出ることがわかっているワクチン

2020-07-23 | 製薬会社の闇
シルガード9は、

男子だけでも米国、オーストリア、オーストラリア、ドイツ、ギリシャ、ブラジル、メキシコなど

海外で接種後の死亡が多く報告されている

しかも、癌の死亡を一人でも減らしたという統計もでていない、否むしろ癌は増えている

もし日本で死亡者が出た場合、

日本で承認した厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のメンバーは


殺人幇助罪に問われないのだろうか

承認を嬉々として報道したジャーナリストはどうなのだろうか

京大法卒の方はどう考えるのだろう

シルガード 10歳男子 接種38日後死亡 ブラジル

2020-07-23 | ガーダシル症例
2019年5月3日 4価シルガードの2回目接種
2019年5月9日 麻痺
2019年5月  入院 腹痛、虚脱、歩行こんな
2019年6月3日 アデノウイルスおよびヘルペスウイルス陽性
2019年6月10日 集中治療室 ワクチン関連ギランバレー症候群疑い
2019年6月10日 死亡

2019年6月12日 コンサルタント医師 急性ヘルペス・アデノウイルス感染症、肝炎および脳疾患と判定 ギランバレー症候群疑いを除外

最終診断 「ヘルペスウイルス感染症」 ワクチン関連否定
内部再調査で、肝炎と脳疾患は医学的に重要であるとみなされた



2003年のSARSの論文リスト

2020-07-23 | 2003年SARS
A. 症例報告 香港とカナダ 3月31日オンライン掲載

オンライン掲載日2003年3月31日
香港のメトロポールホテルに滞在した広東省医師を含む香港クラスタ―10人の症例報告

(2)
オンライン掲載 2003年3月31日
カナダから香港への旅行でメトロポールホテルに滞在した中国人を含カナダクラスタ―10人の症例報告

B. コロナウイルス同定論文 CDCと香港とドイツ

(3)
オンライン掲載 2003年4月8日
香港大学

(4)
オンライン掲載 2003年4月10日
ドイツ

(5)
オンライン掲載 2003年4月10日
CDC

C. ゲノム配列決定論文

(6)
オンライン掲載 2003年5月1日
カナダ


(7)
オンライン掲載 2003年5月1日
CDC

4月21日にCDCサイトでゲノム配列公表)


D. 動物実験 コッホの原則

(8)
Nature 2003年5月15日
オランダ、エラスムス大学
サルの実験


E. その他
中国語論文 2003年4月25日
北京CDC
SARS患者7人の剖検サンプルからクラミジア様粒子を検出
そのうち、2サンプルからコロナウイルス様粒子検出

SARSの症状と旅行歴が一致するが、ヒトメタニューモウイルスだけが検出された香港の症例

2020-07-22 | 2003年SARS
ヒトメタニューモウイルスが致死性の急性肺炎を引き起こした最初の報告

2003年のSARSの中に、ヒトメタニューモウイルスが紛れ込んでいる可能性が示唆され、特にカナダの症例報告、香港とドイツでの電顕でパラミクソウイルスを特定した報告を勘案するとこの可能性は高い。

今回の新型コロナでも、日本でヒトメタニューモウイルスの高齢者施設での流行が報告されており、欧米での高齢者施設での高い死亡率を調査するにあたって、ヒトメタニューモウイルスが蔓延した可能性を検討すべきである。

Emerg Infect Dis. 2004 Mar; 10(3): 497–500.
香港中国大学 2004年3月の論文

『ヒトメタニューモウイルス非典型肺炎とSARS』

要旨
2003年3月、中国南部でSARSが流行している間、健康な男性が急性肺炎を発症した。抗生物質に因る治療は効果が無く、発症から8日後に死亡した。肺の細胞からヒトメタニューモウイルスが単離された。他の病原体はみつからなかった。コロナウイルス感染が確認できない場合は、明らかにSARSとみえる症例でも他の病原体を探索すべきである。

症例
患者は健康な40歳の中国人男性であった。喫煙するが飲酒はしなかった。香港在住で、中国本土に仕事で短期間出張することがしばしばあった。2003年3月上旬に深圳(広東省南部)に滞在中、発熱と血液の混じった痰のある湿性咳を発症した。深圳にて入院し、抗生物質を静注したが、悪寒を伴う熱、夜間の発汗、および呼吸困難が進行した。発症の8日目に香港に戻り、プリンスウェールズ病院に入院した。体温は37.3°C、脈拍120回/分、血圧110/70 mm Hg、室内気で酸素飽和度93%であった。皮疹なし。右肺からの空気の流入はわずかに減少。 胸部X線写真では、右中央ゾーンに点状の濃い陰影が見られ、左下ゾーンに軽度の浸潤が見らた。 心電図は、虚血性変化のない洞性頻脈を示した。

病原体検査

痰と血液サンプルで細菌(レジオネラ肺炎およびマイコバクテリアを含む)、および真菌培養を行い、痰サンプルで肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、肺炎マイコプラズマをPCRで検査した。ウイルス検査は、上咽頭吸引液で、インフルエンザA、B、パラインフルエンザ1,2,3、RSV、アデノウイルスについて市販のアッセイを行った。SARS関連コロナウイルスは、RT-PCRでプライマーCOR-1(sense) 5′ CAC CGT TTC TAC AGG TTA GCT AAC GA 3′およびCOR-2 (antisense) 5′ AAA TGT TTA CGC AGG TAA GCG TAA AA 3′ で行った。ウイルスはLLC-MK2,HEp-2, MDCK, human embryonic lung fibroblast, BGM,Vero細胞の単層培養で単離した。細胞単層は毎日細胞変性効果を観察した。(略、詳細な検査を行っています)

Results of all microbiologic investigations were negative.
全ての微生物学的検査の結果は、陰性だった。

死体解剖後の所見

各臓器の組織を検査し、肺の電子顕微鏡でSARSの粒子は検出されなかった。
左肺の組織をLLC-MK2細胞に注入して12日後に、細胞変性効果が観察され、細胞培養の上澄みに、RT-PCR(プライマー5′-GAG TAG GGA TCA TCA AGC A-3′および5′-GCT TAG CTG RTA TAC AGT GTT-3′)でヒトメタニューモウイルスのF遺伝子を検出した。電子顕微鏡でも、上澄みにウイルス粒子を確認した。免疫蛍光法で抗体価が1:80であった。

結論
この報告は、致死性呼吸器疾患でヒトメタニューモウイルスが唯一の病原体であった最初の報告である。患者は健康な成人であった。
SARS-CoVのPCRは、入院時の上咽頭吸引液と死亡後の肺組織で陰性であった。

The postmortem histologic findings on lung tissue of this patient were different from the classic picture of virus-associated interstitial pneumonitis. In addition to the minimal inflammatory cell infiltration, multinucleated giant cells that might represent viral cytopathic effect were only occasionally seen. Rather, the predominant histologic finding was the presence of fibrin thrombi in small pulmonary arteries and arterioles. This thrombotic event was confined to lung tissue and was not found in other tissues.(ここの部分、今回のニューヨークの症例に似ていない?)

我々の患者の症状と中国南部への旅行歴はWHOのSARSの高可能性例と一致しているが、コロナウイルス感染のエビデンスはなかった。

(もちろん、ヒトメタニューモウイルスがエクソソームである可能性は否定できないけれど)

2003年のSARSのコロナウイルス動物起源を最初に主張したのは感染研の田代医師だった

2020-07-22 | 2003年SARS
2003年4月16日 WHO記者会見 ジュネーブ

質問:ウイルスの歴史について教えてください。どの環境で人間に感染したのか、どうしてアジアなのか。

回答(田代眞人医師・感染研):新しいコロナウイルスは、新興ウイルスの一例だと思う。新興ウイルスのすべてが、訳のわからないものから出ているわけではない。このウイルスは自然界に長く存在していたが、我々がその存在を知らなかったということだ。おそらく新しいコロナウイルスも、そのようなウイルスで、つまり、未知の宿主動物に少なくとも中国南部で長い間存在していたのだろう。この新しいウイルスがどうやって人間にジャンプしたのか、その理由はまだわからない。なんらかの野生動物あるいは食物連鎖に人間の暮らしが関わっていったと予想している。個人的には、広東省の人たちは、すべてのもの、すべての生き物を取るので、他の場所よりもなんらかのウイルスを取り込むチャンスが大きいと思っている。これは私の個人的な意見である。とにかく、そのようなウイルスは自然界に長く存在していた。



田代眞人医師について調べてみると、学者らしからぬ恐ろしい事実がでてきました。

田代 眞人(たしろ まさと、1948年 - )は、日本の医学者。インフルエンザ研究の専門家として知られる。国立感染症研究所名誉所員。初代新型インフルエンザ等対策有識者会議会長代理。


「2005年の中国の鳥インフルエンザの感染者数を中国が隠蔽している」という嘘を拡散したということです。この詳細は、2020年5月29日のプレジデントという雑誌にまとめてありました。
(2020年新型コロナパンデミックを煽る岡田晴恵博士は田代の愛弟子らしい)

田代医師のデマを調査したニューサイエンティストの記事


パラミクソウイルスからコロナウイルスへ

2020-07-21 | 2003年SARS
・広東省でSARS流行発生が2002年11月16日、広東省医師が香港で発症したのが2003年2月22日(メトロポールホテル9階)
・カナダ患者1号は、2003年2月21日までメトロポールホテル滞在、カナダに帰国後2月25日発症
・イタリア人ウルバニ医師がベトナムでSARS患者を診断したのが2月下旬、タイで発症したのが2003年3月11日
・シンガポール人医師がシンガポールで患者を診断したのが3月上旬、その後ニューヨークの会議に出席し、その帰途発症、ドイツのフランクフルト空港で隔離されたのが2003年3月15日

これらの症例関連の臨床サンプルを使って、初期のSARSの研究は、香港、カナダ、CDC、ドイツの4つの国で行われた模様。


WHOの2003年3月19日報告書
CDCの2003年3月21日報告書

香港とドイツのチームが、臨床サンプルから電子顕微鏡でパラミクソウイルスを特定したことを報告した。

臨床サンプルは、肺炎の原因となる他の既知の細菌やウイルスや、その地域に流行していると知られる病原体は検出されなかった。

呼吸器疾患の原因となる細菌やウイルスが検出されなかったので、新規の病原体であることが疑われている。

両チームは、確かな結論ではないことを強調している。


March 28, 2003 / 52(12);241-248
2003年3月28日のCDC報告書

研究報告
3月24日、CDCは、SARSの疑いまたは可能性患者から、未認識のコロナウイルスをラボ分析により特定したと発表した。新しいコロナウイルスは、タイと香港のSARS疑い患者2人の臨床検体からVero E6細胞で分離された。分離株は、最初に電子顕微鏡(EM)によってコロナウイルスとして同定さた(図3)。同定は、免疫染色、間接免疫蛍光抗体(IFA)アッセイ、およびポリメラーゼ遺伝子のセグメントのRT-PCRの結果によって確証した。他の6つのSARS症例からの血清のIFAテストおよび臨床検体のRT-PCR分析で、新しいコロナウイルスに陽性判定がでた。コロナウイルス粒子は、SARS患者の気管支洗浄液から得られた細胞のEMでも確認された。配列決定は、この新しい病原体が他の既知のコロナウイルスとは異なることを示唆している。 WHO主導の調査で協力している他の研究所も同様の結果を得ており、またSARS疑い患者の一部から別のウイルスであるヒトメタニューモウイルスを分離した。これらの2つのウイルスがSARSの病因で果たす役割を判断するには、十分な情報が得られていない。

図3 CDCがSARSをコロナウイルスと同定した電子顕微鏡

3月31日オンライン掲載のカナダの最初の症例論文では、
10人の患者のうち、9人の臨床サンプルを得て、その9人のサンプルの5つがパラミクソウイルス科のヒトメタニューモウイルス陽性、そして、CDCが特定したRT-PCRテストで9人のサンプルの5つからコロナウイルス陽性となったと報告している。

このうち4つは、ヒトメタニューモウイルスとコロナウイルスの両方が陽性だった。

CDCは、このRT-PCRテスト方法を、この時点ではまだ論文として発表していないが、WHO主導の11研究所の協力体制が敷かれているので、論文発表前からお互いの結果を共有していた。

2003年4月11日WHO報告

SARSの原因が新しいコロナウイルスであることを確認するために、動物実験が行われていることを報告している。
この結果が、コロナウイルスが原因であるという確定的な証拠に必要なエビデンスの最後のピースを与える可能性があり、共感染している患者におけるメタニューモウイルスの役割、おそらく、「ヘルパーウイルス」としての役割のエビデンスが得られるかもしれない。

WHOの記者会見 2003年4月16日

この記者会見で、ヒトメタニューモウイルスの発見者であるオランダのオスターハウスが、サルでの実験の結果を報告して、SARSの原因が新しいコロナウイルスであることを断定している。

オスターハウス: 実験は、培養したコロナウイルスか、ヒトメタニューモウイルスでモンキーを感染させた。3つ目の群は、コロナウイルスで感染させたあと、メタニューモウイルスを感染させた。面白いことに、100年前に決められたコッホの原則に従うように、コロナウイルスに感染した動物だけが、重症な疾患を発症した。SARSを発症し、臨床症状を提示し、SARSで亡くなった人にみられたと同じ病変部を発症した。ヒトメタニューモウイルスに感染した動物は、とても軽い鼻炎を発症し、とても軽症の症状であり、SARSのパターンでは無かったことは確かである。3つ目の群の動物は、最初にコロナに感染し次にメタニューモウイルスで重感染したものは、(コロナウイルスだけの場合より)更に重症にはならなかった。


以上のような経過で、カナダの症例論文で報告された、ヒトメタニューモウイルスの関与は否定されました。ここで、思い出していただきたいのは、カナダの症例では、9人の臨床サンプルの内、SARSが陽性は5人であり、それ以外の4人のうちの1人はヒトメタニューモウイルスだけが陽性だったことです。カナダの患者1が、実際に香港患者1と接触した可能性も怪しい上、10人特定したSARS患者の内、CDCが考案したRT-PCRテストで陽性だったのはその半分であることは、カナダのこのクラスターが本当にSARSなのかの疑問は消えません。

また、この4月16日の会議では、中国の流行におけるクラジミア肺炎の疑いについても否定されました。

最初にパラミクソウイルスを特定したのは、香港、ドイツ、カナダの3国で、これを否定したのがCDCとオランダという形になります。