古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

北朝鮮の人々を思う。

2010年12月02日 01時53分37秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 いま手元に5冊の本を置いて、しばらく北朝鮮の人々のことを考えていました。12月になりました。寒さが厳しくなります。北朝鮮の人々が、凍えて、着る物も食べる物もなく、今日という日が暮れて明日という日が来ることに何の希望もなく、一日延ばしに生きているのを想像するだけでつらいです。
 昔、北朝鮮の日本の窓口である朝鮮総連の勢い盛んなりし頃、よく『平壌少年芸術団』とかいうような舞台が日本にやってきて公演をしました。幼い子らが、子どもがあんな笑顔をするとは考えられないようなとびきりの笑顔で登場し、歌ったり演奏したり踊ったりしました。聴衆はおさな子らの演技に酔い、ステージを見てほこほこした心を抱いて帰りました。
 アメリカのオルブライト国務長官が訪朝したとき、そんなおさな子の演技を見て涙ぐんだといいます。彼女は善良な人ですね。でもあれは黄色いくちばしを突き出して餌を求めるひなたちの必死の演技だったのです。あんな絵に描いたような貼り付いた笑顔の裏で子どもが訴えるものを、ぼくらも感じとる力がありませんでした。
 5冊の本をぼくなりに解説します。古い本ですので古本か図書館にしかないでしょうが、もし機会があれば読んでみてください。
『北朝鮮 秘密集会の夜』李英和 著 (文春文庫) この本はいまも入手可能です。ぼくの目からウロコを落としてくれました。いまから13年前、この本を読んで、ぼくの『(新)北朝鮮読書』がはじまりました。それまでは北朝鮮礼賛本をときどき読む程度で、わるい印象はもっていませんでした。著者の李英和氏はときどきテレビでも見かける関西大学の教授ですが、自分が北朝鮮に留学したときの体験を書いています。(彼はなんと日本から北朝鮮の大学にに留学した留学生第一号でした。)いまでは北朝鮮が強権弾圧の貧乏な国というのは常識になってしまいましたが、朝鮮総連などがつくっていた虚像を一挙に叩き潰してくれた本です。
『北朝鮮 1960』(総連幹部・最初の告発) 河出書房 2003年発行
 これはもともと1962年(昭和37年)に出た本です。そのときは朝鮮への『帰国運動』が全国的に盛り上がり、マスコミや社会党なども旗を振り、この本は見向きもされませんでした。しかし「重要な警告を発する本だった」と見直され、数年前に再発行されました。いまも入手可能です。1960年に起こった帰国運動で北朝鮮の地を踏み、目の前の現実を見て、なんとか帰国運動を阻止しようと朝鮮総連の役員をしていた人が、強い思いで書いた本です。もし多くの人が1960年代にこの本を読んでいたら、いまの北朝鮮の人々の苦しみは何十年も前に終っていたでしょう。 (つづく)
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