幸せになろうね 改め しあわせだね

日々の生活の中のほんの小さな出来事をどう捉えるかで
私達はすぐにも幸せになれるのです。

こんなことは私の致命傷にはならない

2021年10月10日 15時32分37秒 | ひとりごと
まいはかしこい子ですから、自分のことがわかる。
 
 これから先、どんな傷を負っても、その傷で、

 自分がすっかりダメになってしまわない、って確信があるでしょう」


_____ 中略 _____


これからも自分には手痛いことが起こり続けるだろうこと、

それに自分がひとつひとつ、心身ともに傷つきながら関わらざるをえなくなるだろうことを、

真夜中の山野に雷が光って一瞬全てが視界に入るように把握したのだった。

かなりのことが起こるだろう。

身も心もズタズタになるようなことも。

けれど、それが、私をすっかりだめにすることはないだろう。

今までもそうであったように。

私はどう応えていいのかわからず、黙っていた。
祖母は、

「どんなことが起こっても『こんなことは私の致命傷にはならない』って、

自分に言い聞かせるんです。

そうすれば、そのときはそう思えなく、

心と体のどこかに、むくむくと芽を出す、新しい生命力の種が生まれます」




「こんなことは私の致命傷にはならない」

私にはこれまで、確かに致命的と思われるような出来事も起こったけれど、

そのたび私は、祖母の教えを忠実に守り、

「こんなことは私の致命傷にはならない」と、まじないのように唱え続けてきた。

起き上ることができないような日々が続いても、

そのことばは、冬の午後の暖かい光のように、

辛抱強く,凍え切った大地に吸収されていったのだった。

こんなことで、自分がだめになることはない、決して。

こんなことで、あなたはだめにならない、決して。

  
    新潮社  「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 著  P.194~195 より

 
        2021・10・6  5;56   上富良野町にて十勝岳を望む

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