故郷のバスに久しぶりに乗った。
一時間に一本しかない不便な・・・いや、貴重なバスだ。
折しも数日前からの寒気団のせいで
かなりの降雪量になっているうえ
昨夜一晩で50センチ以上も雪が降り
道路沿いはラッセルされた雪で土手のごとく
歩く者にとっては車を避けるのが困難な状態だった。
初めは5,6人程度の乗客のみで車内は静かだった。
が、途中から大勢の中学生が乗り込んできて
あっという間に都会のラッシュ時の状態となった。
丁度、下校時間に乗り合わせてしまったようだ。
顔見知り同士の中学生のこと。うるさい、うるさい!!
一瞬
「あれま、よりにもよって間の悪い時に乗り合わせたものだわ」
と、思ってしまった。
寝たきりの父の状態にある問題が起き
緊急で大きな病院へ受診しなければならなくなった。
急遽スケジュールを変更して昨日実家に戻り
今日は朝から父に付き添って病院に行ってきた。
そうしてとんぼ返りで自宅へ戻るその帰途である。
自宅と実家は
公共の乗り物を使うと
待合時間も入れれば片道およそ6時間かかる。
それだけでも疲れるのだが
加えて、病人のいる実家の空気は重いことこの上ない。
「さすがこんなに間が悪いのも、私自身の波動が下がっている証拠だわね」
と、一旦は思ったのだが
「いかん、いかん、
悪い方に考えれば、どんどん悪い方のスパイラルへと引き込まれてしまう。
この中学生たちと乗り合わせたのも何かの縁。
きっといいこと見つけよう」
と、思い直し、口角を上げて、荷物を足元に置き
隣の座席一人分を空けた。
・・・・・が、だれも、おばさんの横には座らなかった(・・・だよね)
しばらくすると、彼らはそれぞれの場所で、数人、また数人と下車していった。
その都度、運転手さんは一人一人に丁寧に「ありがとうね」と声をかけている。
「ふ~~~ん、さすが、田舎の運転手さんは優しいわね、
岡崎ではもうこういう風景には出会えないわね」
などと感慨にふけっていると、全く停留所ではない場所で
「いつも、○○で降りるメガネのおにいちゃん、今日は乗っていないのかな?」
と、突然マイクで呼びかけた。
子どもたちは左右を見まわし、前後を確認して
「○○で降りるメガネのお兄ちゃん、のってませんねぇ~~~~~」
と返した。
それは停留所と停留所の丁度中間にあたる場所、
どちらの停留所からもかなりの距離のようだった。
おそらくこの運転手さんはそれを知っていて
停留所ではない場所の彼の村の近くでいつも降ろしてあげているのだろう。
「ということは、この人は、いつもこの時間帯に就業しているのね。
それにしても、そういうことができるって、田舎のいいところだわね」
と感心していると、彼はまたまたこんなことを言い出した。
「ええと、ここが停留所なんだけれど
雪がいっぱいで降りにくいから
もう少し前へ行くね。
この辺なら、雪が少ないから降りやすいかな。
ちょっと離れちゃったけれど
ごめんね」
と言って
停留所よりも数メートル先に停車した。
おまけに、
「ありがとうね。
またのってね」
と、声をかけている。
なんともはや、
まるで、おとぎ話の世界である。
これが、田舎だからできうることなのか
それとも彼の人格ゆえか。
とにもかくにも彼は見事に自分の職業をこなしていると感心した。
おかげで私は
中学生たちのうるささに悩まされるよりも
この光景の数々に気持ちよく癒されてしまったのだ。
気持ちの良い配慮は
それを受けた者のみならず
見ている周りの者をも幸せにする。
この運転手さんに
自分のしていることの素晴らしさを自覚してほしい
その素晴らしさを維持してほしい・・・
そう思った私は感謝と賛美の言葉を彼に伝えることにした。
かといって、面と向かって言うのも恥ずかしい。
そこで、懐紙を取り出し
「ありがとうございます。
子どもたちへのご配慮、感謝いたします。
素敵な大人の姿が
子どもたちを育てます。
おかげさまで
私も気分よくこのバスでの時間を過ごすことができました。
あなたの思いやりは他の乗客をも幸せにしてくださいました。
感謝です。
これからも
人としての優しさをよろしくお願いいたします」
そう書いて、
持っていたチョコレート3粒、柿ピーの小袋ひとつを包み
降りるときに
「ありがとうございました。おやつになさってください」
と言って手渡した。
なんで、チョコレート3粒?ってか・・・・・
だって、ひと箱あげるには、すでに半分ぐらい食べてしまっていたんだもの。
金紙に一粒ずつ包んであるものだからとりあえず3粒。
じゃあ、柿ピーは?
それはですね、
もし彼が甘いものがお好きではない場合、柿ピーなら食べられるかな、って思ったから・・・
昨日、電車の中でコーヒーを買ったら一袋下さったのが
たまたまバックの中にあったんだもの・・・
とまあ、中身はどうでもよいようなものだけれど
大切なのは、感謝と賛辞は即伝えるということでしょ?!
とくに、それが見知らぬ人であればあるほど
二度と会えぬかもしれないその人に
その場で、伝えておきたいと思うのです。
一時間に一本しかない不便な・・・いや、貴重なバスだ。
折しも数日前からの寒気団のせいで
かなりの降雪量になっているうえ
昨夜一晩で50センチ以上も雪が降り
道路沿いはラッセルされた雪で土手のごとく
歩く者にとっては車を避けるのが困難な状態だった。
初めは5,6人程度の乗客のみで車内は静かだった。
が、途中から大勢の中学生が乗り込んできて
あっという間に都会のラッシュ時の状態となった。
丁度、下校時間に乗り合わせてしまったようだ。
顔見知り同士の中学生のこと。うるさい、うるさい!!
一瞬
「あれま、よりにもよって間の悪い時に乗り合わせたものだわ」
と、思ってしまった。
寝たきりの父の状態にある問題が起き
緊急で大きな病院へ受診しなければならなくなった。
急遽スケジュールを変更して昨日実家に戻り
今日は朝から父に付き添って病院に行ってきた。
そうしてとんぼ返りで自宅へ戻るその帰途である。
自宅と実家は
公共の乗り物を使うと
待合時間も入れれば片道およそ6時間かかる。
それだけでも疲れるのだが
加えて、病人のいる実家の空気は重いことこの上ない。
「さすがこんなに間が悪いのも、私自身の波動が下がっている証拠だわね」
と、一旦は思ったのだが
「いかん、いかん、
悪い方に考えれば、どんどん悪い方のスパイラルへと引き込まれてしまう。
この中学生たちと乗り合わせたのも何かの縁。
きっといいこと見つけよう」
と、思い直し、口角を上げて、荷物を足元に置き
隣の座席一人分を空けた。
・・・・・が、だれも、おばさんの横には座らなかった(・・・だよね)
しばらくすると、彼らはそれぞれの場所で、数人、また数人と下車していった。
その都度、運転手さんは一人一人に丁寧に「ありがとうね」と声をかけている。
「ふ~~~ん、さすが、田舎の運転手さんは優しいわね、
岡崎ではもうこういう風景には出会えないわね」
などと感慨にふけっていると、全く停留所ではない場所で
「いつも、○○で降りるメガネのおにいちゃん、今日は乗っていないのかな?」
と、突然マイクで呼びかけた。
子どもたちは左右を見まわし、前後を確認して
「○○で降りるメガネのお兄ちゃん、のってませんねぇ~~~~~」
と返した。
それは停留所と停留所の丁度中間にあたる場所、
どちらの停留所からもかなりの距離のようだった。
おそらくこの運転手さんはそれを知っていて
停留所ではない場所の彼の村の近くでいつも降ろしてあげているのだろう。
「ということは、この人は、いつもこの時間帯に就業しているのね。
それにしても、そういうことができるって、田舎のいいところだわね」
と感心していると、彼はまたまたこんなことを言い出した。
「ええと、ここが停留所なんだけれど
雪がいっぱいで降りにくいから
もう少し前へ行くね。
この辺なら、雪が少ないから降りやすいかな。
ちょっと離れちゃったけれど
ごめんね」
と言って
停留所よりも数メートル先に停車した。
おまけに、
「ありがとうね。
またのってね」
と、声をかけている。
なんともはや、
まるで、おとぎ話の世界である。
これが、田舎だからできうることなのか
それとも彼の人格ゆえか。
とにもかくにも彼は見事に自分の職業をこなしていると感心した。
おかげで私は
中学生たちのうるささに悩まされるよりも
この光景の数々に気持ちよく癒されてしまったのだ。
気持ちの良い配慮は
それを受けた者のみならず
見ている周りの者をも幸せにする。
この運転手さんに
自分のしていることの素晴らしさを自覚してほしい
その素晴らしさを維持してほしい・・・
そう思った私は感謝と賛美の言葉を彼に伝えることにした。
かといって、面と向かって言うのも恥ずかしい。
そこで、懐紙を取り出し
「ありがとうございます。
子どもたちへのご配慮、感謝いたします。
素敵な大人の姿が
子どもたちを育てます。
おかげさまで
私も気分よくこのバスでの時間を過ごすことができました。
あなたの思いやりは他の乗客をも幸せにしてくださいました。
感謝です。
これからも
人としての優しさをよろしくお願いいたします」
そう書いて、
持っていたチョコレート3粒、柿ピーの小袋ひとつを包み
降りるときに
「ありがとうございました。おやつになさってください」
と言って手渡した。
なんで、チョコレート3粒?ってか・・・・・
だって、ひと箱あげるには、すでに半分ぐらい食べてしまっていたんだもの。
金紙に一粒ずつ包んであるものだからとりあえず3粒。
じゃあ、柿ピーは?
それはですね、
もし彼が甘いものがお好きではない場合、柿ピーなら食べられるかな、って思ったから・・・
昨日、電車の中でコーヒーを買ったら一袋下さったのが
たまたまバックの中にあったんだもの・・・
とまあ、中身はどうでもよいようなものだけれど
大切なのは、感謝と賛辞は即伝えるということでしょ?!
とくに、それが見知らぬ人であればあるほど
二度と会えぬかもしれないその人に
その場で、伝えておきたいと思うのです。