幸せになろうね 改め しあわせだね

日々の生活の中のほんの小さな出来事をどう捉えるかで
私達はすぐにも幸せになれるのです。

うなぎや騒動

2010年11月16日 15時07分52秒 | ひとりごと
 随分前の出来事で
とっくにアップしたと思っていたが
なんだか
まだみたいなので、ちょっと書いてみることにする。




その事件で
私の心に刺さった小さなとげを
昨日そのうなぎやに同行した友人が
見事に抜いてくれた 


ほんとうに
ほんの小さな
些細な言葉が
こんなにも人を楽にするとは・・・・・

言葉の力の大きさと
それが故の怖さを
あらためて感じた事件の結末だった 


それでは始めます。


 一色うなぎや騒動 




 去る6月の終わりごろ
あるレッスンのお仲間を率いて
うなぎやさんに行った。


インターネットで探して出かけた
初めての店だった。


愛知県は一色町にある「山水亭」


「どこの料亭?!」 

と見まごうほどの立派な塀で囲まれており

「ここでサッカーでもするの?」

というくらい広い芝生の庭   

おまけに人工の大きな滝まで造ってある。


店も新しく
仲居さんも皆感じがよい

しかも
肝心のうなぎはかなりうまい!!のだ 


メニューも
お昼間などは
手軽にいただける値段のものが用意されている。

いま、
私の中のうなぎやでは
かなりランクが上の店である 



その店にはじめて行ったその日
私たちはラストに近い客になった。


うなぎにも
接客にも
十分満足し、
もうそろそろ
腰を上げようと思いつつ
店の休憩時間までまだ間があったことと
話が弾んでいたこととで
ついつい長居してしまっていた。



と、
突然
初老の男性の大きな怒鳴り声が聞こえてきた 


みると
中座敷の前に仲居さんたちがずらりと整列し
下を向いてその怒鳴り声を聞いている。


「なあに?
 店長の仲居指導がはじまった?????」

「それにしても、私たちがまだいるのに・・・・・」

「なんて、嫌な店長でしょう」

「なにも、お客の前で指導しなくたってねぇ、
 私たちに早く帰れって事?!」

「なんて失礼な・・・・・感じ悪 


などと
みんな困惑顔。




そうこうするうちに
男の人の声はますます大きくなり
私たちはとてもいずらくなった。


「ちょっとひとこと言わなくちゃ・・・・・ね」

と思いながら
よくよくその声に耳を傾けると
それは
どうも客のクレームらしい。


その客が何時入ってきたのか
全く気づかなかったが
いつのまにか
私たちはラストではなくなっていたようだ。




申し訳ありませんでした」 

「申し訳ございません」 



ひたすらあやまる仲居さんたち。


「あやまってすむことじゃないだろ!!」

「俺はこの店に良くなってほしいから言ってるんだ!!」


ひぇ~~ 

恩着せがましい 


お店を良くしようと思って言ってるなら
言い方というものがあるでしょう?!


どう見たってあなたのはヒステリーとしかとれないけれど・・・・


第一、
ほかにお客がいるのに
平気でみんなを並ばせ
頭を下げさせ
高飛車な態度で
いったいなんだって言うの?!


おかげで
こっちまでいやぁ~な気分になっちゃったじゃないの 



と、
めちゃくちゃ怒鳴ってやりたくなった


事実
さっきまでのおいしいうなぎも
至極、機嫌の良い雰囲気も
全てが壊され
私たち全員が重い気分になっていた。



私は一番年長の連れに言った。

「何とかいってやってくださいよ!!
 正義を振りかざしたような事いってるけれど
 一番迷惑なのは彼自身じゃないですか」


「あらいやだ、私はそんなこととても言えませんよ。
 あなたがおっしゃって」


「それじゃあ、はるちゃん、がーんと一発言ってよ」

「無理無理、
 ああなったら
 かえってとばっちりを食うわよ」


「ゆうちゃんは?!」


「とてもとても・・・・・」


「・・・・・ももちゃんは・・・言えるはずないか」




結局
私たちはそれ以上
その怒鳴り声に耐えられず席を立つことにした。


しかし
店を出る為にはその現場の横を通らねばならない 


その男性は
ますますエスカレートし
まるで自分の怒鳴り声で余計に逆上していくような有様だった。


仲居さんたちは相変わらず謝り続け、
それでも許してもらえそうにない 





私は考えた。


なんとか
この場をおさめることは出来ないだろうか。



原因はどうであれ
彼は自分の言動が
何の関係もない私たちにまで悪影響を与えているという責任を
いかに償うのだろう。


「あなたのせいで
 私たちの大切な時間がだいなしよ!!
 どうしてくれるの!!」


と怒鳴りつけたい心境だった。

仲居さんたちもこのままではかわいそうだ。




そのとき私の胸の内にある言葉が浮かんだ。



「正しいことを言うときは
 相手を傷付けるものだとしっているほうがいい」


吉野弘の「祝婚歌」という詩の一節




「人にしたことは必ず自分に返ってくる」

これは宇宙の波動の原理。


今私が
憎む気持ちや蔑む気持ちで
彼をやり込めたら
それは彼を傷付けることになり
それでは
彼がしていることと同等になってしまう。


そして
その行為はいつか自分にも戻ってくる。



どうしたら
彼をあまり傷つけず
かつ彼の配慮のなさに気づかせることが出来るのだろうか。


空気を重くせずに
四方をまるくおさめる方法はないのだろうか。



頭の中がぐるぐる回り
心臓の鼓動が激しくなってきた。


もう彼のすぐ横まで来てしまっている。


うかばない!!  うかばない!!!  うかばない!!


でも、このまま
通り過ぎては
仲居さんたちを見捨てることになる。


それでは
きっと後で後悔する 






「ご主人様の大きなお声が
 私どもまでに棘のように刺さり
 私の心臓、ドキドキしてとっても苦しいですわ」




気がつくと
私は彼に向かい
にっこり笑って
そう言っていた 


その時
私の心臓は
本当に
口から飛び出しそうなくらい
ドキドキして苦しかった!!



「ほう、
 そんなに苦しいのなら
 心臓の薬買ってやろうか 




  

ぎぇ~~~

なんちゅうヤツ

はらたつぅ~ 



しかし
またもや
にっこり笑って言ってやった!!


「まっ、それにはおよびませんわ。

 仲居さん、ごちそうさま。
 お勘定、お願いします」





「は、はい    
 ありがとうございます」






それがきっかけとなり
仲居さんたちはチリヂリに持ち場へ戻ることが出来た。



男性も怒鳴ることをやめて
とっくに冷えてしまったうなぎを食べ始めた。



見ると
彼の前には
妻らしき女性がいて
ウナギに箸をつけることもせず
仲居さんたちと同じようにうなだれていた。



彼女には夫を制止する力はないのだろう。

きっと
彼女の夫は今日だけではなく
たびたびこんな風に見境がなくなるに違いない。


せっかくウナギを食べに来ても
これではおいしくもなんともあるまいに。


私だったら
彼と連れ立って出かけることさえ拒否するに違いない。

彼女は夫の行動を肯定しているようにも見えないが、
しかし、怖くて
とても制止することなどはできないのかもしれない 




結局
彼らは
その日の最後の客であった。



自分たちだけの空間で
あの
後味の悪さを彼らはどう始末したのだろう。


ウナギの味はどんなだったろう。



広い駐車場にはおそらく彼らのものと思われる車
プレジデントがポツリと停まっていた。







それにしても
・・・私はなぜ
あの場面に出くわしたのだろう。

私の何があの人をひきつけたのだろう。


あの人の中の何が
私に共鳴したのだろう。


私はこのことから何を学べといわれているのか。

私の行動の中に驕りはなかったのか。


もっと愛と笑いを持って治めることは出来なかったのか。


私は仲居さんは助けたものの
彼に恥をかかせ、いためつけたのではないだろうか。





それから二、三日、
私は心が重かった。





が、そんな思いも
時間と共に薄れ、忘れていった。





そして昨日、
友人を誘い
おいしいウナギと
友人の驚きの声を楽しみに
また、その店を訪れたのだった。




びっくりしたことに
あの時レジをうった仲居さんが
私のことを覚えていた。


私を一目見るなり
「あの時はありがとうございました」
と礼を言うではないか。



忘れていた苦い思いがよみがえり
私は恥ずかしくなった。




おまけに仲居頭までが
わざわざ礼を言いに来た。




「何をしてあげたの?????」


その様子に友人が尋ねる。




仕方がないので
今一悔いの残る
この一部始終を話した。





聞き終えた彼女は言った。


「よかったじゃん 

 きっと、そのおじさんも

 だれか、とめてくれ~~~

 状態だったのよ。

 私たちもよくあるでしょ?!

 子供を叱っていてエスカレートしちゃって

 “だれか、止めてよォ~”

 って、内心で叫んでいる時。


 きっとその人、それだったのよ。

 だから、あなたが止めてくれて

 その人もきっと助かったのよ 






そっか   


そういう見方もあるのね 


私、あの人に恥をかかせ、
傷つけたかもしれないと悔やんでいたけれど
もしかしたら、彼をも助けたのね 

そっかぁ~ 

よかったぁ 




つくづく
この友達を持ったことを感謝した。


ものの見方は360度
球状で無限


などと人には言いながら
やはり
己一人で考えることは偏りがあるという事を
今又思い知った。



感謝   感謝 である。


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