経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

これも「知財経営」?

2008-05-04 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経ビジネスの最新号に、中古マンションの売買で急成長するスター・マイカが紹介されています。居住者のいる中古マンションは空室の場合に比べて売買価格が2~3割程度安くなるらしく、その価格差に注目して居住中の中古マンションを購入し、空室時に売却して利益を得るというビジネスモデルだそうです。こうやって簡単に説明できるモデルなので、いくらでも新規参入が出てきそうなものですが、これまでのところ有力な競合が現れるでもなく、同社の成長が続いているそうです。
 では、他社の参入を阻んでいる要因は何なのか。
 一つは、リスクのある物件購入のための資金調達力であり、もう一つが効率的な運営体制にあるそうです。特に後者ですが、マンションは個別性の高い物件であり、仕入の調査、契約、購入後のメンテナンスと問題発生時の対処など、ビジネスモデルとしては簡単そうでありながら、実際に行うとなると非常に手間がかかる割には、新築物件の売買に比べると利幅が少ない。この「苦労の割には見返りが少ない」ビジネスの「苦労」の部分を極小化する仕組みを構築したことがスター・マイカの強みとのことであり、それは一朝一夕にできるものではないでしょう。前回のエントリの例もそうでしたが、強固なビジネスの参入障壁は、知的財産の取得といったもの以上に、時間をかけて積み上げてきたそのビジネスに必要な仕組みにあることが多い。そこのところをよく理解した上で、知的財産権という道具の有効な使い方を考えていくというアプローチが、「知財経営」に結び付いていくのだと思います。
「知的財産権があれば独占できますよ。」というか、
時間をかけた積み上げが最大の武器ですが、知的財産権でその強みをサポートできることもありますよ。」というか、
「知的財産権なんてとってもしょうがないですよ。」というか。
そこのアプローチの違いが重要なのです。たぶん。


<<公開セミナーのお知らせ>>
5月15日 知的財産権担保融資入門~知的財産権の基礎知識から担保設定・評価手法の実務まで~(金融財務研究会)
5月22日「企業評価における知的財産権の着眼点」-知的財産権担保から考える知財の評価と事業の見極め方(ストック・リサーチ)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。