経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

市場布知財

2010-01-10 | 新聞・雑誌記事を読む
 新年最初の出張先が岐阜だったので、仕事後に金華山に登ってきました(ロープウェイ乗り場近くには、あのO国際特許事務所の大きな看板が)。そう思ってみるからかもしれませんが、足下に長良川、その先には木曽川(私事ですが下流で合流する三角州には「木曽を容れ長良を入れて花の水」という祖父の句碑が建っています)、濃尾平野と伊勢平野が広く見渡せる風景は、普通に‘景色がよい’のとはちょっと違って見えたりします。この景色見て、信長は天下布武を心に誓ったのか。年の初めからいいものを見ることができました。

 さて、金華山にある岐阜城は断崖絶壁の上に建っていかにも難攻不落といった印象ですが、城の守りで思い出すといえば、天守閣=知財を守る堀や石垣=知財権、です(かなり強引な展開ですが・・・)。昨日の日経夕刊には、三菱重工の発電用風車がGEの特許侵害なしと米ITCが最終決定した、というニュースが一面に取り上げられていました。それは(知財的には)よかったですね、という話ですが、3面の関連記事によると、金融危機によって資金調達が困難になったことによる投資抑制に加えて、米国の電力会社が特許問題によって自らの発電事業に支障が出ることを懸念し、三菱重工への発注を手控え、今年度の受注は未だゼロということで、ビジネス的にはかなり深刻なダメージを受けているそうです。これで思い出したのが、以前にBlackBerryのResearch in Motionが特許侵害で差止命令を受けた話ですが、パテントトロールに612.5M$も支払うことになって大変な痛手を被りましたが、その紛争の間にもBlackBerryユーザはどんどん拡大していて、‘電子メールの利用に支障が出ることを懸念’といった影響はあまり(殆ど?)見られなかったようです。特許の内容そのものまで確認していないので一概には論じにくいのでしょうが、この違いからは、
■ 自己責任のエンドユーザに販売する商品より、顧客に責任を負う商品やサービスを提供する事業者に販売する商品を対象にするもののほうが、特許問題が威圧的な効果を発揮しやすい。
■ 対象市場が民間セクターより公共・公益セクターのほうが、特許問題が威圧的な効果を発揮しやすい。
なんてことが言えるもかもしれません。

 最近の記事で気になったものをもう一つ。日経ビジネスの「隠れた世界企業」のコーナーで、1月4日号で紹介されていた㈱モルフォに関する記事です。同社は画像処理関連のベンチャーで、携帯電話用カメラの手ぶれ補正ソフトで急成長しているとのこと。デジカメではジャイロセンサーなどの装置を使っている手ぶれ補正を、映像を連写してノイズを消すというソフト処理によって携帯用にハードなしで実現した、ということなので、いかにもソフトウェア特許に馴染みそうな話だなぁと読んでいたところ、やっぱり出している(これまでに10件程度出願して既に2件は登録されている)そうです。ソフトウェアの分野で、特許を固めることによってオンリーワンであり続けることができるかどうか、これからの動向に注目です。


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