金融機関に勤める友人と、久しぶりに昼飯を食べながらいろいろ話をしました。
その中で、「知的財産権の価値評価」が話題となったのですが、投資や融資の際に「(定量的な)価値評価が必要か?」ということに関して、お互いに違和感を感じる点で共通しています。
この点について、彼からスッキリした説明を聞くことができました。彼の得意とする製薬系の分野では、
「特許が効いているということは、事業計画の当然の前提となっていること。価値評価云々を議論するのであれば、特許のとり方のまずさによるマイナス評価はあるにせよ、特許権の価値が企業価値の評価にプラスされるということにはならない。」
とのことです。
このことは、おそらく他の分野でも同じであって、事業計画には保有している特許権の効果(特許権の効果で価格競争が抑制されて達成される利益率)が織り込まれているはずであって、その価値を別に評価して加算するとなると、価値のダブルカウントになってしまいます。よって、事業計画に関連する特許権は、事業計画を達成するに足る内容のものかどうかを(定性的に)評価する意義こそあれ、その価値を別途定量評価することは、あまり意味のないことであると思います(むしろ、価値を過大評価してミスリードするおそれがあります)。別途評価する意味があるとすれば、事業計画に織り込まれていない特許権、或いは事業計画における用途以外に展開する可能性を持った特許権ということになるでしょう。しかしながら、前者については、特に経営資源に限りのあるベンチャー企業であれば、そもそもそういう特許権をどうして保有しているのかという、研究開発の基本方針や効率性を先に問うべきではないかという気がします。後者については、そういう可能性がゼロということはないのでしょうが、少なくとも現経営体制において価値を顕在化させる見通しがないものの価値を、企業の評価に反映することは危険であるように思います。
投資や融資の判断で行うべきことは、「保有する特許権の価値を評価すること」ではなくて、「事業計画の実現可能性の要素の一つとして、特許権の効果を分析すること」であるように思います。
その中で、「知的財産権の価値評価」が話題となったのですが、投資や融資の際に「(定量的な)価値評価が必要か?」ということに関して、お互いに違和感を感じる点で共通しています。
この点について、彼からスッキリした説明を聞くことができました。彼の得意とする製薬系の分野では、
「特許が効いているということは、事業計画の当然の前提となっていること。価値評価云々を議論するのであれば、特許のとり方のまずさによるマイナス評価はあるにせよ、特許権の価値が企業価値の評価にプラスされるということにはならない。」
とのことです。
このことは、おそらく他の分野でも同じであって、事業計画には保有している特許権の効果(特許権の効果で価格競争が抑制されて達成される利益率)が織り込まれているはずであって、その価値を別に評価して加算するとなると、価値のダブルカウントになってしまいます。よって、事業計画に関連する特許権は、事業計画を達成するに足る内容のものかどうかを(定性的に)評価する意義こそあれ、その価値を別途定量評価することは、あまり意味のないことであると思います(むしろ、価値を過大評価してミスリードするおそれがあります)。別途評価する意味があるとすれば、事業計画に織り込まれていない特許権、或いは事業計画における用途以外に展開する可能性を持った特許権ということになるでしょう。しかしながら、前者については、特に経営資源に限りのあるベンチャー企業であれば、そもそもそういう特許権をどうして保有しているのかという、研究開発の基本方針や効率性を先に問うべきではないかという気がします。後者については、そういう可能性がゼロということはないのでしょうが、少なくとも現経営体制において価値を顕在化させる見通しがないものの価値を、企業の評価に反映することは危険であるように思います。
投資や融資の判断で行うべきことは、「保有する特許権の価値を評価すること」ではなくて、「事業計画の実現可能性の要素の一つとして、特許権の効果を分析すること」であるように思います。