ある技術系ベンチャーの投資に携わられている方から、興味深いお話を伺ったことがあります。ご自身も大企業での技術開発を経験され、かつ大手メーカーに広い人脈をもたれている方なのですが、
「デジタル家電なんて、儲かりません。0101の世界は、簡単にコピーできるし、コピーされてしまえば結局のところおしまいです。それに比べて、『練り物』は強いですよ。真似できませんからね。」
と仰っていました。
確かに、ここにきてデジタル系の電機メーカーの収益も回復してきましたが、同じIT分野でも素材を提供する化学系のメーカー、同じ復活型でもここ数年の鉄鋼メーカーの収益力には及ぶべくもありません。精密機器関連のメーカーも、「練り物」ではないですが、「職人芸系」かつ高収益である点において、同じグループに属しているといえるでしょう。
こういう強さは、「職人芸」と一言で片付けられてしまうことが多いですが、前から疑問に思っていたことがあります。従業員○万人、売上高○兆円、といった大企業において、職人芸なんていう世界が本当にあり得るのか。職人芸と大規模な生産ラインとの関係は、一体どうなっているのか。そこには、職人芸という一言では片付けられない何かがあるに違いないと思います。
この疑問点について、先週企業研究会の公開セミナーで話をさせていただいた際に、参加者のお一人の某鉄鋼メーカーの方から、非常に示唆に富んだご教示をいただきました。まだ感覚的な理解で、簡潔に説明できるようなものではないのですが、要すればその強さは、職人芸も含めた総合力の問題ということであるように思います。
デジタルの世界だって、著作権や特許権で守ればよい、勿論それはその通りですし、我々はそれを目指して日々仕事に取り組んでいます。しかしながら、言葉の世界で守れるものに限界があることは否定できませんし、一度真似をされてしまった場合の火消し作業の労力だって大変な負担になります。事実としてこういった限界があることを理解した上で、知的財産権があれば万全と頼ってしまうのではなく、知的財産権という道具も含めた総合力でどれだけ模倣されてしまうという事態を招かないようにできるか、ということを考えていくことが必要でしょう。
「デジタル家電なんて、儲かりません。0101の世界は、簡単にコピーできるし、コピーされてしまえば結局のところおしまいです。それに比べて、『練り物』は強いですよ。真似できませんからね。」
と仰っていました。
確かに、ここにきてデジタル系の電機メーカーの収益も回復してきましたが、同じIT分野でも素材を提供する化学系のメーカー、同じ復活型でもここ数年の鉄鋼メーカーの収益力には及ぶべくもありません。精密機器関連のメーカーも、「練り物」ではないですが、「職人芸系」かつ高収益である点において、同じグループに属しているといえるでしょう。
こういう強さは、「職人芸」と一言で片付けられてしまうことが多いですが、前から疑問に思っていたことがあります。従業員○万人、売上高○兆円、といった大企業において、職人芸なんていう世界が本当にあり得るのか。職人芸と大規模な生産ラインとの関係は、一体どうなっているのか。そこには、職人芸という一言では片付けられない何かがあるに違いないと思います。
この疑問点について、先週企業研究会の公開セミナーで話をさせていただいた際に、参加者のお一人の某鉄鋼メーカーの方から、非常に示唆に富んだご教示をいただきました。まだ感覚的な理解で、簡潔に説明できるようなものではないのですが、要すればその強さは、職人芸も含めた総合力の問題ということであるように思います。
デジタルの世界だって、著作権や特許権で守ればよい、勿論それはその通りですし、我々はそれを目指して日々仕事に取り組んでいます。しかしながら、言葉の世界で守れるものに限界があることは否定できませんし、一度真似をされてしまった場合の火消し作業の労力だって大変な負担になります。事実としてこういった限界があることを理解した上で、知的財産権があれば万全と頼ってしまうのではなく、知的財産権という道具も含めた総合力でどれだけ模倣されてしまうという事態を招かないようにできるか、ということを考えていくことが必要でしょう。