経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

止揚

2010-04-22 | 知財一般
 前回の龍馬伝を見ていて、「おーっ、こういう発想って、何とかって言うんだったなぁ・・・」なんて気になっていたのですが、思い出しました。『止揚』です。
 『止揚』とは、田坂広志先生の「使える弁証法」には、
互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくこと
と定義されています。前回の龍馬は勝麟太郎とのやりとりの中で、「攘夷か開国か」という両者の対立から止揚によってより高次元に達した、ということです。
 昨日、大河マニアの某氏(彼によると龍馬伝は大河の中でも武田信玄と並ぶ名作とのこと)とその話で盛り上がったのですが、考えてみれば身近なところにもいろいろあるなぁと。いきなりミクロな話になりますが、明細書の「課題を解決する手段」にクレームをコピーするのが是か非か、という件について。おそらくコピー派が多いのではないかと思いますが、これは邪道で発明のエッセンスを要約すべきという意見もあります。後者が前者を問題とするのは、「クレームのコピーでページ課金を増やすのはけしからん」という理由が根底にあることが多いように見受けられます。一方で、前者についても、明細書のサポート要件の観点から(クレームと明細書は法律上は別の書類ですから)は、記載漏れを確実に封じておくという合理的な理由(このページの7「できあがった特許明細書のチェック」の6「課題を解決する手段とクレーム」参照)があるわけです。この対立を止揚すると、要するに課金の仕方に疑いが生じることが問題なわけだから、クレームのコピーも発明のエッセンスも両方記載した上で、クレームのコピー相当分の課金方法を合理的に調整すれば、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することができるわけです(「そんなレベルの話と一緒にせんとき」と龍馬さんに言われてしまいそうですが・・・)。特許実務と知財コンサルもしかりで、それを止揚したところに解はある、なんて、わかったようなわかんないような話ですが。

使える 弁証法
田坂 広志
東洋経済新報社

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