経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

新著「元気な中小企業はここが違う!」に関するお知らせ

2013-04-29 | お知らせ
 本日は、新著「元気な中小企業はここが違う!」に関するお知らせ3件です。

 1つめは、書店での取扱いについてです。
 書店を探しても見つからないよ、というお話をいくつかいただいていますが、本書の出版社・金融財政事情研究会の取扱書店は、http://store.kinzai.jp/book/shop/index.html にあるとおりです。
 但し、在庫がないこともありますので(先日大阪に出張した際には、梅田の紀伊国屋にも堂島のジュンク堂にも在庫がありませんでした)、その場合は、本書の「はじめに」と「目次」が こちら で閲覧できますので、お手数をおかけしますがこれをご参考に、アマゾン等でご注文をいただけると幸いです。
 また、在庫がある場合も、本書は知的財産関連の書籍のコーナーには置かれていません。大手書店であれば、金融関連の棚(「きんざい」の書籍のコーナーが設けられている書店もあります)か、中小企業関連の棚に入っていますので、これまたお手数をおかけしてすみませんが、そちらを探していただけますと幸いです。
 東京であれば、丸ノ内(オアゾ)の丸善に豊富に在庫があることを確認済みです。1階の入り口を入って、レジ正面にあるビジネス書コーナーに入っている他、1階右奥の金融関連又は中小企業関連のコーナーに現段階では平積みになっています。

 2つめは、カブドットコム証券・オンラインセミナーで、本書のPRに出演させていただいたご報告です。
 今週23日に配信された、カブドットコム証券・チーフストラテジスト河合達憲様が担当されているオンラインセミナーの終了前に乱入して、本書のPRをさせていただきました。オンデマンドでも こちら4月24日収録分 セルインメイをどう読む!?) で視聴が可能です。私は50分を経過したあたりから登場させていただいていますが、河合様のお話は大変わかりやすく(手元に置かれていたビッシリと書込みをされた資料が、流石プロ、と印象的でした)、かつ勉強になるセミナーですので、株式投資にご興味のある方は是非じっくりご覧ください。
 ストラテジストの河合様との対談で、左下に出てくるチャットが面白く、「関西コンビ」「おもしろいひと」「吉本の人?」「どっちが突っ込み」「関西人らしい関西人」「テンポよろしいねぇ。クールダウンできへんです。」「漫才やな」などなど、ほとんど何をしにいったのやら、という感じです。ご視聴いただいた皆さま、温かいコメント、本当にありがとうございました。

 3つめは、本書の紹介ページ開設のお知らせです。
 URLはこちら → http://www.ipv.jp/books/value.htm
 本書で紹介している元気な中小企業15社の一覧リストも掲載しています。
 また、以前からセミナー等の情報発信に利用しているFecebookページも、名称を「元気な中小企業はここが違う!/経営に効く7つの知財力」に変更しています。
 URLはこちら → https://www.facebook.com/chizairyoku
 Facebookユーザーの方は、よろしければ「いいね!」を押してやってください。

 さて、本書は元気な中小企業にスポットを当てながら、知的財産のはたらきについてを書いた本なのですが、知的財産関連の仕事に携わっておられる方に限らず、「知的財産はこんな感じでビジネスの役に立つ、会社の元気に結びつく」というリアリティを、できるだけ多くのビジネスパーソンに伝えていきたいと考え、いろいろ活動しているところです。本書へのご感想や、もし本書を多くの方に知っていただくためのよいアイデアがございましたら、こちらのアドレス→ habupat@mail.goo.ne.jp までご一報いただけますと幸いです。

元気な中小企業はここが違う! (KINZAIバリュー叢書)
クリエーター情報なし
きんざい


‘本家本元’であることを伝える

2013-04-07 | 企業経営と知的財産
 一昨日、パートナーを務めている日本IT特許組合主催のシェアNo.1の秘訣に参加し、イーパーセル・北野社長のお話を聴講してきました。
 イーパーセルといえば、知財関連の方には記憶のある方も多いかもしれませんが、米国でグーグル等の大手ITベンダー13社に特許訴訟を起こし、ほとんどの企業との間でライセンス契約を締結したことで知られているベンチャー企業です。日本企業→米国企業、ベンチャー企業→大手ITベンダーと、特許の世界では考えにくい逆方向の特許訴訟、ライセンスに関するニュースということで、各所でセンセーショナルにとり上げられましたが、その狙いについて社長ご自身が赤裸々に語ってくださいました。
 グーグルで「イーパーセル」を検索すると、関連するキーワードに「イーパーセル パテントトロール」と出てくるなど、どうも特許訴訟、ライセンスといったキーワードから、特許で稼ぐことを目的とした企業というイメージで捉えられていることがあるようです。しかし、そうしたイメージは訴訟の部分だけに注目した場合に生じやすい誤解であって、特許訴訟云々について考える前に、まず同社が電子宅配便のサービスを提供する事業会社であること、そしてその分野の技術開発に世界で最も早く取り組んできた開発型のベンチャー企業であることを理解しておかなければいけません。
 この特許訴訟の狙いは、2012年11月15日付日経産業新聞の記事にも書かれているとおり、特許訴訟をきっかけに知名度を向上させること、さらに言えば、この分野の技術開発を世界的にリードしてきたのが同社であるのを証明し、それを広く伝えることにあったのです。その背景について詳しく語ってくださいましたが、米国で創業した頃に、世界的な大手ITベンダーとコンペになったことがあり、これもまた世界的な大企業であるユーザーが、大手ITベンダーを差し置いて製品本位でイーパーセルを選択した。そして、「技術面でNO.1だからイーパーセルを選んだが、No.2になるようなことがあればいつでも乗り換える。だから必死でやれ!」と檄を飛ばされたそうです。そういうベンチャーを育てる風土がある米国に対して、日本企業は実績主義で、技術面は評価されたとしても会社の知名度不足でなかなか採用が決まらない。そうした日本企業を動かすためには何が必要なのか。それは‘グローバルスタンダード’というブランド力であると考え、世界の大手ITベンダーがイーパーセルの特許ライセンスを受けている、という事実から‘グローバルスタンダード’であることを示し、保守的な日本企業を動かそうと考えて、この訴訟に踏み切った、という経緯だそうです(「日本企業は保守的でベンチャーを育てる風土が・・・」とか嘆いているばかりでなく、じゃあどうすればよいかと考えて行動しているところが同社の凄いところです)。要するに、何よりも大事なことは本業である電子宅配便の事業を拡大することであって、特許ライセンスはその事業拡大を後押しするための手段に過ぎない、つまり、イーパーセルはパテントトロールでも何でもなくて、自社開発の製品・サービスで世界に挑んでいる事業会社である、ということです。
 こうした特許権をはじめとする知的財産権の効果について、拙著では「顧客にオリジナリティを伝えるはたらき」(「元気な中小企業はここが違う!」P.112~121、「経営に効く7つの知財力」P.105~109)として解説していますが、重要なことは、ここでいう特許の存在のPRは、カタログやパッケージに「特許取得」「特許出願中」と表示して人目を惹こう、ライバルを牽制しよう、といったそういう次元の話ではありません。特許の存在によって、この分野を開拓してきたのは我が社であり、我が社こそが‘本家本元’である、と顧客に伝えることが、本質的な目的です。相撲でいえば立ち合いの張り手のような、特許だといってちょっとびっくりさせてやろうといった作戦とは次元が違う話なのです。その特許について、業界大手がライセンスを受けていれば、客観的に認められていることの何よりもの証になります。そこまでできる企業は限られてくるでしょうが、こういった特許の使い方もありだ、ということを示してくれる、たいへん有益なお話を伺うことができました。

元気な中小企業はここが違う! (KINZAIバリュー叢書)
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きんざい


経営に効く7つの知財力
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発明協会

本日発売

2013-04-04 | お知らせ
 新著「元気な中小企業はここが違う!」が本日発売です。昨日から一部の書店に出始めていましたが、知財本のコーナーではなく、金融関連か中小企業関連の棚に入っています。

 このブログにも何度か部分的には書いていますが、ユニークな製品・サービスで事業を展開する元気な中小企業でみつけた2つの共通の特徴、
「説明がうまいこと」「気持ちのよい挨拶に迎えられること」
がどうやって会社の元気に結びついているのか、そしてこれらの特徴と知財の関係について解き明かす、というストーリーの本です。知財に関する既述が多くを占めていますが、テーマはあくまで「元気な中小企業」で、そのための道具が「知財」という位置づけです。

 さて、その知財ですが、取り組みを始めたとしても目に見える成果はすぐには表れにくい。辛抱強い取組みが求められる仕事です。
 まぁ、辛抱強く取り組むことが求められるのは何も知財に限った話ではありませんが、最近読んだ本に、かなりドキッとすることが書かれていたので、その部分を紹介しておきたいと思います。「評価と贈与の経済学」といって、最近のベストセラーになっている本です。

 「努力した分についてすぐ報酬よこせ」・・・って言っている人は結局「努力した人はどこかで最後に報われる」っていうことをほんとうは信じていない
 ほんとうに信じていたら、努力してなかなか報酬がやって来なくても、「そのうち、いいことあるよ」って思っていられるはずでしょ。ちょっとやって、「あ、来ない」って怒り出すやつは努力と報酬の原理的な相関をほんとうは信じていないんだよ。・・・だから、そういうやつは実はろくに努力していないんだと思う。我慢はしたかもしれないけど、努力はしていない。「しなきゃいけない」ってことはしたかもしれないけど、「これがしたい」ってことを必死にしたわけじゃない
 ・・・一番足りないのは「努力あるいは才能に対する報酬は、いつか必ず来る」っていうことに対しての素直な信仰だと思う。これだけ努力したんだから、遅滞なく報酬をよこすように、納品したらすぐ金払え、「キャッシュオンデリバリー」っていうのは、要するに相手を信じていない人間の言いぐさだからね。

 仕事なんて思うようにならず、カリカリすることが大半なので、かなりグサッとくる話です。
 尤も、会社の仕事で、「そのうち、いいことあるよ」なんてそのまま言ってたら、何を言っているんだと怒鳴られてしまいそうですが・・・
 とはいえ、やっぱり何かに腹を据えて取り組むときには、「努力に対する報酬はいつか必ず来る」という信仰が必要なのだと思います。本書がそういった部分で、「知財、やってみるか」という中小企業の皆さんが「いつか必ず来る」の信じて取り組むことの助けに、少しでもなれれば嬉しいのですが。

元気な中小企業はここが違う! (KINZAIバリュー叢書)
クリエーター情報なし
きんざい


評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)
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徳間書店