今年に入ってからセミナー等で定着モデル(画像参照)を多用しているのですが、一昨日講師を務めた近畿知財塾では、参加された中小・ベンチャー企業の知財担当者の皆様に、自社の「知財活動の目的・位置付け」と「知財活動を実践する仕組み」を説明する演習にトライしていただきました。そこはさすが、知財塾に積極的にご参加いただいている方々だけあって、「知財活動を実践する仕組み」について様々なアイデアを実践されているのですが、「知財活動の目的・位置付け」のほうがなかなか難しく、あらためて問われると説明に苦心してしまう方が少なくありませんでした。ちょっと言葉が悪くて申し訳ありませんが、「知財活動が‘空回り’」(「7つの知財力」139~140p.)となるリスクのあるパターンです。
もちろん、知財担当者の最大のミッションは仕組みを作り、実践することであり、「知財活動の目的・位置付け」は経営者が考えるべきことと言えば、そのとおりです。しかし、経営者自身が知財(知財制度というより知財の実効性)に詳しくない限り、自力ではこの部分をうまく捉えられないので、どうしても「特許、出しといてや」的なアバウトな指示になりがちです。
流れとしては、
(1) 経営者の意図 (ex.会社の今後を支える新商品が欲しい⇒アイデアをどんどん出して欲しい)
↓
(2) 知財活動の目的・位置付け (ex.差異化された新商品のアイデアを社員が積極的に提案する仕掛けを作る)
↓
(3) 知財活動を実践する仕組み (ex.発明提案制度、報償規程を整備する・・・)
となる中で、(2)のところは、(1)に対して知財活動(具体的には(3)の仕組み)で貢献し得ることを考えなければなりませんが、(1)を考えている経営者と、(3)とその効果がわかっている知財担当者が、意識的に(2)について話し合うことによって、より適切に(2)を設定できるのではないでしょうか。
知財塾の前の時間には、ある中小企業を訪問させていただきました。事前に目を通しておいた過去の取材レポートによると、充実した「知財活動を実践する仕組み」(指針や規程類、社内体制、調査等の業務フロー)は‘美しい’と思えるような領域に達しているのですが、どうもそのレポートからは「知財活動の目的・位置付け」を十分に把握することができませんでした。ところが、社長様にお話を伺ってみると、やはり美しい形の裏には、確固たる思想が存在しています。まずはコア商品を創造し、その商品でマーケットをリードする事業モデル。そして、自社が牽引しながら業界全体の発展を目指すために、知的財産の力を活かしている。美しい形は、形だけなら作れるかもしれませんが、思想に支えられていないと長続き(=定着)しません。やはり、(1)と(3)を結ぶ(2)は大切です。
この企業については、後日もう少し詳しく書こうと思っていますが、
◆ 業界(さらには社会)の発展を考えている
◆ その発展は自社が牽引するという気概がある
◆ その牽引力の源として技術開発・商品企画を何よりも重視している
などが、‘知財を活かす’中小企業の共通項であると痛感しています。こうやって書き出してみると、そりゃそうだろう、といった項目になってしまいますが。
もちろん、知財担当者の最大のミッションは仕組みを作り、実践することであり、「知財活動の目的・位置付け」は経営者が考えるべきことと言えば、そのとおりです。しかし、経営者自身が知財(知財制度というより知財の実効性)に詳しくない限り、自力ではこの部分をうまく捉えられないので、どうしても「特許、出しといてや」的なアバウトな指示になりがちです。
流れとしては、
(1) 経営者の意図 (ex.会社の今後を支える新商品が欲しい⇒アイデアをどんどん出して欲しい)
↓
(2) 知財活動の目的・位置付け (ex.差異化された新商品のアイデアを社員が積極的に提案する仕掛けを作る)
↓
(3) 知財活動を実践する仕組み (ex.発明提案制度、報償規程を整備する・・・)
となる中で、(2)のところは、(1)に対して知財活動(具体的には(3)の仕組み)で貢献し得ることを考えなければなりませんが、(1)を考えている経営者と、(3)とその効果がわかっている知財担当者が、意識的に(2)について話し合うことによって、より適切に(2)を設定できるのではないでしょうか。
知財塾の前の時間には、ある中小企業を訪問させていただきました。事前に目を通しておいた過去の取材レポートによると、充実した「知財活動を実践する仕組み」(指針や規程類、社内体制、調査等の業務フロー)は‘美しい’と思えるような領域に達しているのですが、どうもそのレポートからは「知財活動の目的・位置付け」を十分に把握することができませんでした。ところが、社長様にお話を伺ってみると、やはり美しい形の裏には、確固たる思想が存在しています。まずはコア商品を創造し、その商品でマーケットをリードする事業モデル。そして、自社が牽引しながら業界全体の発展を目指すために、知的財産の力を活かしている。美しい形は、形だけなら作れるかもしれませんが、思想に支えられていないと長続き(=定着)しません。やはり、(1)と(3)を結ぶ(2)は大切です。
この企業については、後日もう少し詳しく書こうと思っていますが、
◆ 業界(さらには社会)の発展を考えている
◆ その発展は自社が牽引するという気概がある
◆ その牽引力の源として技術開発・商品企画を何よりも重視している
などが、‘知財を活かす’中小企業の共通項であると痛感しています。こうやって書き出してみると、そりゃそうだろう、といった項目になってしまいますが。
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