昨日はJISAの法務・知的財産権セミナーでソフトウェア特許についてお話をさせていただきましたが、その後に野村総研・知財部長の井上様の「企業リスク低減の新しい試案~職務発明訴訟に学ぶ波及型リスクへの対応~」というご講演を大変興味深く聴講させていただきました。プロフェッショナルは問題の本質にこうやってアプローチし、こうやって解決策を提案するんだと。
職務発明訴訟というと、我々特許屋は規程類の整備がどうだとか、対価の算定方法がこうだとか、表層的な部分に囚われて問題にアプローチしてしまいがちです(というか、そういうアプローチしかできてないと思います)。ところが井上様の場合は、職務発明問題が噴出した原因を組織や行動にまで掘り下げて分析し、企業に生じ得るリスクをそのメカニズムの違いから「直接型リスク」と「波及型リスク」に分類し、抜本的な解決策を提言されています。深遠な理論なのでここで簡単に説明できるようなものではありませんが、自分の頭の中ではANAとJALが思い浮かび(職務発明問題を離れて、ニュースで報道されているような企業リスク一般に関してですが)、違いの本質はそこにあったのか、と思わず納得してしまいました。お話を聞きながら、プロフェッショナルたるもの、
① 本質に辿り着くまで考える。
② 解決策を提言する。
ことが重要だなぁ、と改めて考えさせられた次第です。
①について、発明を特定することを業としている弁理士は、本質を把握して言語化する能力に優れている、といった説を耳にすることがあります。確かに、自然科学の世界において、自然法則に関わる本質を把握することには仕事柄慣れてくると思いますが、そこから先の問題となるとこの説は必ずしも的を射ていないのではないでしょうか。発明ではなく、企業という組織体や経済活動において生じている事象の本質を把握しようとする際には、人間の行動原理や組織の特性など、自然科学ではない社会科学の領域での考察が必要になってきます。発明そのものだけでなく、事業計画、さらには企業経営にも仕事の領域を広げていこうとするならば、人間や組織を知るための経験の蓄積が不可欠になってくるでしょう。
特許業務の強化に取組もうとする企業を支援する際にも、発明者への特許教育、発明提案書のフォーマット作りといった表層的な部分だけをどうこうしようとするのでは不十分であり、そもそもその企業にとって(不要という可能性も含めて)特許にはどういう意味があるのかというところから、関係者はどういうモチベーションをもって取り組んでいるのか、組織がどのように動いているのか、といったところまで突っ込んで考えないと、有効な提案はできないということだと思います。
ちょっと長くなってきたので、②についてはまたの機会に。
職務発明訴訟というと、我々特許屋は規程類の整備がどうだとか、対価の算定方法がこうだとか、表層的な部分に囚われて問題にアプローチしてしまいがちです(というか、そういうアプローチしかできてないと思います)。ところが井上様の場合は、職務発明問題が噴出した原因を組織や行動にまで掘り下げて分析し、企業に生じ得るリスクをそのメカニズムの違いから「直接型リスク」と「波及型リスク」に分類し、抜本的な解決策を提言されています。深遠な理論なのでここで簡単に説明できるようなものではありませんが、自分の頭の中ではANAとJALが思い浮かび(職務発明問題を離れて、ニュースで報道されているような企業リスク一般に関してですが)、違いの本質はそこにあったのか、と思わず納得してしまいました。お話を聞きながら、プロフェッショナルたるもの、
① 本質に辿り着くまで考える。
② 解決策を提言する。
ことが重要だなぁ、と改めて考えさせられた次第です。
①について、発明を特定することを業としている弁理士は、本質を把握して言語化する能力に優れている、といった説を耳にすることがあります。確かに、自然科学の世界において、自然法則に関わる本質を把握することには仕事柄慣れてくると思いますが、そこから先の問題となるとこの説は必ずしも的を射ていないのではないでしょうか。発明ではなく、企業という組織体や経済活動において生じている事象の本質を把握しようとする際には、人間の行動原理や組織の特性など、自然科学ではない社会科学の領域での考察が必要になってきます。発明そのものだけでなく、事業計画、さらには企業経営にも仕事の領域を広げていこうとするならば、人間や組織を知るための経験の蓄積が不可欠になってくるでしょう。
特許業務の強化に取組もうとする企業を支援する際にも、発明者への特許教育、発明提案書のフォーマット作りといった表層的な部分だけをどうこうしようとするのでは不十分であり、そもそもその企業にとって(不要という可能性も含めて)特許にはどういう意味があるのかというところから、関係者はどういうモチベーションをもって取り組んでいるのか、組織がどのように動いているのか、といったところまで突っ込んで考えないと、有効な提案はできないということだと思います。
ちょっと長くなってきたので、②についてはまたの機会に。