経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

相対思考と絶対思考

2008-07-21 | 書籍を読む
 ITに関わるなら常識として知っておかないとまずいかということで「アップルとグーグル」を読んでます。※「俺が見る」、みたいなジョブスのエピソードがいろいろ刺激的ですが、意識しとかないとまずいな、と思ったのが「相対思考」か「絶対思考」かというものの見方です。
 アップルやグーグルの社員は、他社の製品やサービスに比べてどこが優れているかといった問題にはあまり興味を示さず、自社の製品やサービスでどんなことができるかを語ることが多いとのこと。相対思考でいる限りどんぐりの背比べを抜け出すことができないし、そこには思想も主張も表れない。斬新な製品やサービスは絶対思考からこそ生み出され、そこからは単なる機能の相違だけでなく、提供者の思想や主張を感じ取ることができるということでしょう。従来技術やら構成要件やら、もっぱら相対的な対比に追われることの多い知財人の思考は、ともすると相対思考に埋没しがちです。ビジネスの成功は、当然ながら新規性や進歩性で決まるわけではなく、二番煎じであってもしっかりした思想のあるものは強い。このあたりは、ビジネスの視点から考えるべき場面で、特に知財人は意識しておく必要があると思います。

※ Macの先代のアップルⅡ開発時に「基板が美しくない」とつき返したジョブスにエンジニアが「誰が中の基板なんか見るんだ」と言ったところ、ジョブスは「俺が見る」と答えたそうです。


アップルとグーグル 日本に迫るネット革命の覇者
小川 浩,林 信行
インプレスR&D

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4 コメント

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Unknown (wakinosuke)
2008-07-23 01:26:01
レベルは違うと思いますが(と一応)、
私も同じ理由で、同じ本を良いんでいたところです(苦笑)。ある方と話していたのですが、IT業界というのは、どうもつかみどころがないのですが、つかみどころを得た瞬間、IT業界とよばれなくなる、のではないか?と。

ちなみに、自社のブランドのオンリーワン性(絶対志向?)を毀損するような行為を規制できないか、というのが修論テーマでした。。。出所の混同規制を相対思考と言うならば。ここらへんの問題興味あるところです。
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Unknown (土生)
2008-07-23 02:07:37
wakinosuke様

コメントありがとうございます。

タップとかピッチとかシンクとか、
SafariとかAppStoreとか、
アップル言葉に着いていけないとやばくなりそうですからね・・・

絶対性を毀損する行為というのがイマイチよくわからんのですが(丸ごと真似するような模倣品?)、なんか画期的な切り口の論文のようですね。
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卓越した顧客価値の提供 (久野)
2008-07-23 07:18:14
卓越した顧客価値の提供を行なうと、自然に競合優位性も満たされるということなのでしょう。
顧客価値を構想する構想力と、その構想を現実のものとする実現力が卓越していると、競合企業はついて来れなくなる場合が多いのだと思います。しかし、卓越した顧客価値の提供を、次々に行なわねば、やはり追随者に追いつかれますので、その場合には参入障壁が必要となります。そして、参入障壁の一つとして、特許権があると思います。
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Unknown (土生)
2008-07-23 20:42:22
久野様

コメント有難うございます。
お纏めいただいた通りかと思います。オフェンスが点を取らないことには勝ちが見込めないのでそれが大前提になりますが、ディフェンスを固めることによってオフェンスの強さも発揮できますので。
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