昨日送られてきた田坂広志氏の「風の便り」、ハッとさせられたので今日は自分の覚書の意味も含めて。
「マジックを求める心」というタイトルで、英国のサッチャー元首相が来日時に、日本の記者からの「長く低迷する日本経済に、あなたが日本の首相ならどうされますか?」という質問に対し、次のように答えられたそうです。
「もし私が日本の首相ならば、
打つべき手は、あります。
しかし、そのことを申し上げるよりも、
大切なことを申し上げましょう。
政治に、マジックは無い。
そのことを理解されるべきでしょう。」
そして田坂氏は、人が困難な問題に直面した際の本当の戦いの相手は、困難な問題そのものではなく、「マジックを求める、安易な心」である、とコメントされています。
企業が抱えている問題も、格好いい「知財戦略」でマジックのように解決するわけではありません。ところが、特に中小企業向けの知財支援の話なんかになると、あたかも知財重視といって特許出願なんかをすれば企業が良くなるかのような‘マジック系’の啓蒙を目にすることがあります。たまに雑誌なんかである「カネになる知財」系の特集なんかも、‘マジック系’の匂いを感じます。
少し話は変わりますが、「ここがポイント・・・」で訪問させていただいた企業で感じたことですが、こうした企業には当然ながら‘マジック系’の匂いが全くしません。私が回らせていただいた企業で共通していたことは、まず‘会社の空気(雰囲気)が良い’ということです。受付や会議室までの間にすれ違う社員の皆さんが、笑顔の挨拶で私達の訪問を気持ちよく迎えてくださる。これはベンチャーファイナンスをやっていた頃にもよく考えていたことなのですが、こういう‘空気’からは財務諸表以上に重要なことが読み取れて(勿論財務諸表も重要なんですが)、そういう会社はまず大丈夫なものです。なぜならば、会社が深刻な問題を抱えていたら、普通はそれを一番よく感知するのは社員の皆さんであり、そういう場合に社内には良い‘空気’が生まれてくるはずがありません。で、何が言いたいかというと、こうした企業は決してマジックのように‘知財戦略’が会社を良くしたわけではない、ということです。社長をはじめ皆さんの日々の仕事の積重ねがそういう状態を作り出しているわけであり、そういうベースがあるという前提で、知財活動もその中の一部として密接に機能している(苦労して開発した製品をしっかり保護している、開発部門のモチベーションになっているetc.)からこそ、意味のある活動になっているということなのではないでしょうか。
考えてみれば、弁理士の新規業務だなんだって話も、それが「マジックを求める心」からくるものであれば、そこから何かをしようというのはたぶん難しいのでしょう。形がどうかということは問題ではなく、自分達のスキルで顧客の抱える問題をどのように解決していけるか、そこに正面から向き合って努力と工夫を積重ねていくことが全てではないか、と思います。
「マジックを求める心」というタイトルで、英国のサッチャー元首相が来日時に、日本の記者からの「長く低迷する日本経済に、あなたが日本の首相ならどうされますか?」という質問に対し、次のように答えられたそうです。
「もし私が日本の首相ならば、
打つべき手は、あります。
しかし、そのことを申し上げるよりも、
大切なことを申し上げましょう。
政治に、マジックは無い。
そのことを理解されるべきでしょう。」
そして田坂氏は、人が困難な問題に直面した際の本当の戦いの相手は、困難な問題そのものではなく、「マジックを求める、安易な心」である、とコメントされています。
企業が抱えている問題も、格好いい「知財戦略」でマジックのように解決するわけではありません。ところが、特に中小企業向けの知財支援の話なんかになると、あたかも知財重視といって特許出願なんかをすれば企業が良くなるかのような‘マジック系’の啓蒙を目にすることがあります。たまに雑誌なんかである「カネになる知財」系の特集なんかも、‘マジック系’の匂いを感じます。
少し話は変わりますが、「ここがポイント・・・」で訪問させていただいた企業で感じたことですが、こうした企業には当然ながら‘マジック系’の匂いが全くしません。私が回らせていただいた企業で共通していたことは、まず‘会社の空気(雰囲気)が良い’ということです。受付や会議室までの間にすれ違う社員の皆さんが、笑顔の挨拶で私達の訪問を気持ちよく迎えてくださる。これはベンチャーファイナンスをやっていた頃にもよく考えていたことなのですが、こういう‘空気’からは財務諸表以上に重要なことが読み取れて(勿論財務諸表も重要なんですが)、そういう会社はまず大丈夫なものです。なぜならば、会社が深刻な問題を抱えていたら、普通はそれを一番よく感知するのは社員の皆さんであり、そういう場合に社内には良い‘空気’が生まれてくるはずがありません。で、何が言いたいかというと、こうした企業は決してマジックのように‘知財戦略’が会社を良くしたわけではない、ということです。社長をはじめ皆さんの日々の仕事の積重ねがそういう状態を作り出しているわけであり、そういうベースがあるという前提で、知財活動もその中の一部として密接に機能している(苦労して開発した製品をしっかり保護している、開発部門のモチベーションになっているetc.)からこそ、意味のある活動になっているということなのではないでしょうか。
考えてみれば、弁理士の新規業務だなんだって話も、それが「マジックを求める心」からくるものであれば、そこから何かをしようというのはたぶん難しいのでしょう。形がどうかということは問題ではなく、自分達のスキルで顧客の抱える問題をどのように解決していけるか、そこに正面から向き合って努力と工夫を積重ねていくことが全てではないか、と思います。