経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

産業交流展2014・知的財産セミナーのお知らせ

2014-11-14 | イベント・セミナー
 来週19日(水)~21日(金)に東京ビックサイトで開催される産業交流展2014ステージイベントで、21日(木)の16:00~17:30に開催される知的財産セミナーの講師を務めます。終了前の遅めの時間になりますが、同日に産業交流展2014にご来場される方がいらっしゃれば、お気軽にお立ち寄りいただけますと幸いです。
 第17回 中小企業による国内最大級のトレードショー  産業交流展2014

 元気な中小企業はここが違う!
 ~知的財産で引き出す会社の底力~

 元気な中小企業に共通する2つの特徴・・・その背景には、知的財産への取組が重要な役割を果たしていることがわかってきました。講師が特許庁の調査事業等で訪問した元気な中小企業の例を紹介しながら、会社を元気にする知的財産のはたらきについて解説します。

※ 当日使用予定のプレゼンテーションの一部をFacebookページに動画で公開しています。

認定支援機関向け・知的財産セミナーのお知らせ

2014-10-27 | イベント・セミナー
 昨年度に続き、関東経済産業局管内の1都10県で、認定支援機関(経営革新等支援機関)向け知的財産セミナーの講師を担当します。
 「特許権を活用すると儲かりますよ」「他人の特許権を侵害したら大変ですよ」といったありきたりの話ではなく、元金融マンの視点から「中小企業の経営基盤を強化するために知的財産で何ができるか」をお話させていただきますので、以下の案内文(ちらしのリード文と同じです)に関心をお持ちいただける認定支援機関の皆さまには、ぜひご参加をいただけますと幸いです。
 尚、栃木、群馬、長野、山梨の各県(+東京、埼玉の2回目)は、日程は未定ですが年明けに開催させていただく予定です。

 ‘知的財産’の力を活かした経営基盤の強化策
  ~中小企業支援の引き出しを増やそう!~


 中小企業を巡る経営環境が厳しさを増し、下請からの脱却、海外進出といった様々な経営課題に直面する中で、中小企業支援を担う人材には、専門分野のみに止まらない幅広い知見が求められるようになっています。
 資金力や有形資産の蓄積が十分でない多くの中小企業にとって、‘知的財産’も支援のキーワードの 一つですが、支援機関の皆様は‘知的財産’にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
 中小企業には縁遠い難しいもの、オンリーワン製品で世界を相手にする特別な会社にしか関係ないもの、事業を独占して儲けるためのもの、他社の権利侵害に注意しなければならない面倒なもの...
 もしそうしたイメージをお持ちなら、ぜひこのセミナーにご参加ください。‘知的財産’のイメージ が変わります。知的財産は多くの中小企業に関わりのある、会社の底力を引き出す栄養剤のようなもの です。そのことを、様々な事例を紹介しながら解説していきます。
 中小企業支援の引き出しを増やすのに役立てていただけるはずです。

※ プレゼンテーション資料の一部をFacebookページに動画で公開しました。

セミナーのお知らせ

2013-02-24 | イベント・セミナー
 新著の執筆や出張ラッシュですっかり更新が滞ってしまっています。
 新著はずっと書いてみたかった縦書きの読み物風のもので、4月には上梓できる見込みです。「読み物」にしようと書いている過程でわかってきたのですが、我々のような仕事をしているとどうしても正確に表現することに意識がいって、長い文章や理屈っぽい文章を書いてしまいがちなんですね。柔らかく書いているつもりでも、単に表現が柔らかくなっているだけで、グッとこないというか、なにか色気のない文章になってしまうんです。
 なぜだろうか? なんでこんなにつまらないのか?
 こういうときには差異分析が有効です。ベストセラーになっている新書を何冊か買ってきて、「読む」というより、「見る」作業、「比べる」作業を行ってみたら、明らかな違いが見えてきました。その違いを埋めるべく努力してみましたが、はたしてその成果や如何に...

 さて、本日は、年度内に予定されているセミナーのお知らせです。

2月26日(火) 14:00~16:30 静岡市 「中小企業の成功事例に見る! 会社を元気にする知的財産の使い方
3月6日(水) 14:00~16:30 千葉市 「中小企業の成功事例に見る! 企業活動に直結した知的財産活動とは
3月13日(水) 14:00~16:30 沼津市 「中小企業の成功事例に見る! 企業活動に直結した知的財産活動とは
3月15日(金) 14:00~16:00 堺市 「中小企業の成功事例から学ぶ! 会社を元気にする知的財産の力

 タイトルが微妙に違いますが、内容はほぼ同じです。企業はゴーイングコンサーンなので、何か一区切りついたかのような「成功事例」という言い方はあまりしっくりこないのですが、堺市での「会社を元気にする知的財産の力」というタイトルが、お話させていただく内容には一番フィットしているかと思います。
 年度末の慌ただしい時期になりますが、お近くの方にはぜひご参加をご検討いただけますと幸いです。

セミナーのお知らせ

2011-11-05 | イベント・セミナー
 本日は、今月開催されるセミナーのお知らせです。

11月10日(千葉) 資金供給の場面における知的財産の考え方 ~価値評価との関係性~
 金融関連の知財セミナーでは、価値評価、知財権担保、証券化や信託といった個別のテーマが対象になることが多いですが、知的財産と資金供給(資金調達)の関係の全体像が掴めるような解説と、金融機関がおさえておきたい知的財産制度の勘所についてお話させていただく予定です。

11月14日(京都) 知的財産を経営に活かすには?~中小・ベンチャー企業の事例から考える経営に効く知財活動の実践法~
 昨年来各所でお話させていただいているテーマで、拙著「経営に効く7つの知財力」だけでなく、「知的財産経営プラニングブック」のコラムで紹介した企業の事例もいくつかご紹介させていただきます。

11月24日(新潟) 経営・事業に活かす知財活動~知財を経営に活かす経営者のために~
 こちらも京都と同じテーマでお話させていただきます。

11月25日(東京) ITベンチャー、企業戦略と特許
 日本IT特許組合の「ITベンチャーのための実践経営塾」で、トップシェア企業の経営トップ2名のご講演の後に、ITベンチャーにとっての特許の意味と可能性を少しばかりお話をさせていただく予定です。

お知らせ

2008-03-28 | イベント・セミナー
 情報サービス産業協会(JISA)様のJISAレポートに、先の法務・知的財産権セミナーでお話をさせていただいた「ソフトウェア特許の新たな可能性と戦略」の骨子を掲載いただきました。こういうアプローチで考えれば、ソフトウエア特許を有効に活かせるのではないか、と考えています。「本質の把握」で紹介させていただいたNRI知財部長・井上様の講演骨子も掲載されています。
URLは以下のとおりです。
↓↓↓
http://www.jisa.or.jp/news/632/download/311.pdf

「経営者の知財意識の向上」から始める知財コンサルは、たぶん正しくない。

2008-03-07 | イベント・セミナー
知財戦略コンサルティングシンポジウム 2008
~企業価値を高める知財戦略コンサルティングの全貌と、コンサルタントの目指すべき人材像~

が、明日開催されます。知財業界で‘コンサル’を謳ったシンポジウムは例がないとのことで、地域知財戦略支援人材育成事業の実施研修参加者によるプレゼンなど多くのメンバーが登壇しますので、ちょっとしたお祭りになりそうな感じで楽しみです。
 私は、パネルディスカッションに実施研修のコメンテーター的な立場で参加させていただきますが、今の段階で考える知財コンサルのポイントとは何か、を考えてみました。いくつかある中で、最も重要だと思うのは「その企業にとっての知財の意味を考える」ということではないかと思います。知財戦略を実践するための課題として、「経営者の知財意識の向上」から始める必要があるとか言われることがありますが、こういったアプローチがそもそもの間違いの元ではないでしょうか。このアプローチでは、「知財(知的財産権)は重要」というのが大前提に置かれていますが、その前提条件が正しいかどうかを個別の企業について検証した上で経営者が納得しないことには、知財意識の向上もヘチマもありあません。実際のところさして重要でない場合もあれば、重要だけどどういう風に重要かがポイントになる場合もあるわけです。スタートラインは「経営者の知財意識の向上」ではなく、「その企業にとって知財(知的財産権)はどのような位置づけにあるのか、どのように貢献し得るのかを、経営環境やその企業の経営資源からよく考えること」です。‘レジュメの丸暗記’では事例問題が解けないのと同じで、「知財は重要」と杓子定規に定型のセリフを述べたところで、経営責任を負って日々厳しいところで戦っている経営者には響くはずがありません。そこのところをすっ飛ばされいることも少なくないように感じるので、明日はしっかり説明したいと思います。

経営者の視座

2008-02-25 | イベント・セミナー
 先週金曜に特許流通シンポジウム2008in福岡があり、パネルディスカッションではパネリストの皆様から大変有益なお話をお伺いさせていただくことができました。

 ご登壇いただいたのは、株式会社エルムの宮原社長、田川産業株式会社の行平社長、株式会社日本開発コンサルタントの橋川社長と、九州各地で御活躍の3名の社長様です。各社のプレゼンテーションを拝聴していて、
① 強い商品を持ち、
② その強さを形成するのに特許制度を有効に利用し、
③(商品を増やすのではなく)世界に目を向けることで市場を広げている。
という共通点が見えてきました。

 ①については、強い商品を作れる理由について、宮原社長から「地方には企業が少ないので分業化しにくく、何でもやらなければならない→結果としてできることの幅が広がり、商品開発の発想も多様になっている。」とお話いただいたの対して、行平社長は「漆喰の分野で他にないノウハウを蓄積することで、公的機関・大学など外部の協力や評価を得て商品開発を進めていった。」という、逆のアプローチからそれぞれ結果を出されていることが印象的でした。橋川社長からは、「ユーザーニーズに徹底的に拘って特化したこと」を成功要因に挙げていただきました。
 ②については、各社ともに「特許をとった製品で成功した」といった特許中心の発想ではなく、事業戦略にあわせて特許制度をうまく利用されている、さすが経営者の視点は違う、ということを感じさせていただきました。宮原社長からは、製品そのものの特許に拘らず、事業のどの部分で特許を抑えれば効果的かを工夫した、というお話がありましたが、特許に割けるリソースに限界のある中小企業には大変参考になる事例だと思います。行平社長からは、基本的には特許よりはノウハウの比重が高い分野ではあるものの、外部を巻き込んで開発を進めるにつれて特許の必要性が高まるというお話がありましたが、ノウハウ優先の分野でも事業のステージによって方針が変わってくるということの好例であると思います。橋川社長からは、リソースに限りのある中小企業は絞り込みが必要で、その市場を世界に広げることで業績を拡大できるというお話の中で、特に外国市場に出る際には特許が重要になるというご指摘をいただきました。
 
 先の「中小企業のための知財戦略活用セミナー」でのパネリストでご登壇いただいた社長様方のお話もあわせて、痛切に感じたことは、

 同じ特許のことを考えるにしても、やはり経営者は実務家とは視座が違う

ということです。どの社長様も、「特許で独占権を確保する」とか「知的財産を創造、保護、活用する」とか教科書通りの発想ではなく、各社それぞれの事業戦略の下で、特許制度を客観的に捉えて「利用できる制度なのだからうまく使ってやろうじゃないの」といったスタンスが伺えます。「たかが特許、されど特許」の感覚です。ここがたぶん、守備範囲を広げようとしている知財の実務家には一番欠けていることが多い部分だと思います。ご参加いただいた中でも事業に積極的に関与しようとする知財実務家の皆様には、そのあたりをぜひ感じ取っていただければ。

力のある言葉

2008-02-10 | イベント・セミナー
 先日の中小企業のための知財戦略活用セミナーですが、和歌山では昭和の高安社長に、高知ではしのはらプレスサービスの篠原社長にご講演いただきました。いずれもとても説得力があり、迫力のあるお話でしたが、両社長ともに人材・モチベーションの問題として知財戦略を語られていたことが印象的でした。

 知財戦略というと、我々知財人は当然ながら「技術」「ブランド」といった要素に対する効果に目がいきます。勿論、知的財産権とはそういう制度なので、そこを外しては考えられないのですが、中小企業の現実に照らした問題として考えると、実はそれだけでは不十分なようです。
 くしくも両社長は「人の定着」「モチベーションの向上」といった同じ経営課題を挙げて、その経営課題との関係で知財に言及されました。高安社長のお話によると、会社の向かう方向・未来像を形にして示す上で、特許という手段が有効であるということ。そこに時間や費用を投下することは、社内外に‘本気度’を示す効果もある、とされています。篠原社長からは、特許ということだけでなく、社員の行っている作業手順をマニュアル化したり、顧客データを管理したりすること(いわゆるナレッジマネージメント)が、全て会社の‘知的財産’として蓄積されており、それが社員の知的満足度を高める効果を生んでいる、といったお話がありました。これらの取組みを始めてから社内の雰囲気が変化し、経常利益が倍々で伸びているとのことです。
 どうしても我々知財人は、「特許をとったことで、収益に~の効果があった」という側面にばかり目が行きがちですが、モチベーションが高まって社内が活性化した場合の収益に与える効果に比べると、特許権が収益に直接的に与える効果など、おそらくしれていると思います。知財活動に力を入れるといった場合にも、
 それが社内のモチベーションを高める活動か?
という視点も、とても大切なのではないかと考えさせられました。ここでいうモチベーションとは、技術者が自分で特許調査をするようになった、発明提案書を書くようになった、とかいうような知財人の基準からみた‘知財マインドの向上’みたいな話ではありません。個々の社員が会社に誇りを持ち、会社の目標に向かってそれぞれの持ち場で最大限の力を発揮していけるようになるか。そのためには、知財の常識を形式的に当て嵌めようとするのではなく、社長の示す方向性・未来像を引き立てることができるような知財活動にしていくことが大切なのではないかと思います。

 2人の社長の講演をお聞きしてもう一つ感じたこと。多くの経験の中で悩み、深く考えられた上で発せられる言葉には‘力がある’ということです。プレゼンの方法云々の問題ではなく、言葉に力があることが両社長の魅力なのだろうと感じました。

デモだけでは判断できないソフトウエア特許

2007-03-27 | イベント・セミナー
 本日はソフトウエア特許関連のセミナー講師で、千葉に行ってきました。千葉県(舞浜、幕張、成田etc.)に行くことはあっても「千葉」に行く機会はなかなかなくて、千葉都市モノレールに乗ったのは初めてでした。

 ソフトウエア特許について短時間で説明するのはなかなか難しいのですが、よく新規の相談であるケースが、デモを見せていただいて「こういうことができるのは初めてなので特許をとりたい。」というご相談です。しかしながら、特許の対象になるのは「結果」ではなくそこに到る「手順」ですので、「どうやってそういうことができるのですか?」という質問に対するお答えがポイントになってきます。これが、「いろいろ細かい工夫を重ねた結果なのでとても説明できない」ということであれば、特許を出願する対象を特定することができませんし、そもそも説明できない仕組みをそのまま模倣されてしまうということも考えにくく、敢えて解きほぐして特許出願する必要性は?ということになってきます。逆に、「実は、・・・というところがミソなんですよ。」と種明かしをすると、「なるほど。」と簡単に理解できてしまうような場合は、模倣されるリスクが高いので特許出願したほうがよいと思います。
 特許の対象に適しているかどうかという意味では上記の視点で考えると判断しやすいと思いますが、権利化までには相応のコストがかかりますので、費用対効果の問題、そのプロジェクトにどの程度の資金を投下してどの程度の収益を見込んでいるかも、当然ながら重要な出願の判断基準になってくるでしょう。

「顧客の視点」系セミナー

2007-01-24 | イベント・セミナー
 本日は、ディーブレインコンサルティングさん主催のセミナーで、「知的財産業務支援の実践方法」についてお話をさせていただきました。昨日の「顧客知識」の記事と基本的には同じ意識で、今回のセミナーでは、「特許」「商標」といった「商品知識」からのアプローチだけでなく、「顧客の視点」から見て、こういう業種であればこういう視点から知財を考えるべき、といった解説を項目に加えてみました。
 例えば特許であれば、「商品」を提供する側から見ると、特許権とはこういうもので、どういう手続で効力はどうで・・・といった話になりますが、「顧客」の側から見ると、業種によってその使い方や位置付けも様々です。本日のセミナーはベンチャーを支援する金融機関やコンサルタントの方が対象だったので、投資先や顧問先へのアドバイスを行う場合に、こういう業種であればこういうポイントを中心にチェックすべきということを整理して説明させていただきました。
 知財関係のセミナーというと、「商品知識」に関するものか、抽象的な「戦略論」に関するものが多いように思いますが(私自身も後者を担当することが多いですが)、実用性ということを考えると今回のような切り口からの解説にもニーズがありそうな気がしますので、内容をもっとブラッシュアップしていきたいと思います。