経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

イベント・セミナーのお知らせ

2014-01-26 | お知らせ
 明日は以前のエントリでご紹介させていただいた国際知的財産活用フォーラム2014が開催されます。年度後半は国や自治体主催の企画が多くなりますが、講師等を担当させていただく公開イベント・セミナーについてのお知らせです。

(1) 1月27日 国際知的財産活用フォーラム2014 (@東京都渋谷区)
 パネルディスカッション・トラックB-1「知的財産を活かしてグローバルに展開する中小企業の成長戦略」のモデレータを担当します。豪華なパネリストの皆様のお話を伺うのに、110分というセッションの枠をお一人ずつについて欲しいくらいですが、経営者の視座ならではの濃い議論を展開できるように努めたいと思いますので、ご参加予定の方はご期待ください。

(2) 1月31日 戦略的知財マネジメント促進事業 知的財産セミナー(@新潟県上越市)
 「知的財産の力を活かして企業競争力を高めよう! ~経営・事業に役立つ知的財産の活かし方~」と題して、お話させていただきます。今年度は高知・島根・愛媛で実施させていただいている知財塾のエッセンスから、「当社はどうだろうか?」と考えていただく内容も盛り込む予定です。

(3) 2月7日 横浜市知財経営促進セミナー (@横浜市)
 先日のエントリにも書きましたが、特に規模の小さい中小企業には、「守る知財、排除する知財」という発想より、「つなぐ知財、知らせる知財」という発想が必要。その意味についてお話しさせていただくとともに、今年度横浜知財みらい企業支援事業の中で取り組んだ自社の強みをPRするコンテンツの例を、実際に作成した企業の方に発表いただく予定です。
 最近、いろいろ本を読んでいて考えるのですが、特にリーマンショック後の経営環境は大きく変質し、企業のあり方も20世紀的なモデルでは捉えにくくなってきている。いかにして競合より優位に立つかという自社と他社を相対的に捉える単純な構図ではなく、いわゆるエコシステムの中で自社がいかに貢献して全体が発展する中での役割を果たし得るか。そういった見方が求められる中、知財を競合他社に対する武器として捉えるだけでは不十分。もうちょっと頭が整理できたらちゃんと表現したいとは思うのですが、他との対立で自らを捉えるのではなく、全体の存在の一部として自らを調和させる。これって禅の思想、仏教的な考え方に通じるところがあって、「禅的知財(?)」がこれから考えていきたいテーマです。

(4) 2月17日 和歌山県発明協会・知的財産経営戦略セミナー (@和歌山市)
 私が担当する「知的財産の力で会社を元気にする秘訣 ~各地の中小企業の実例から~」では、各地でお話しさせていただいている知財活動の多様なはたらきに関する内容が主になりますが、特許庁の調査事業の関係で先日ヒアリングにお邪魔させていただいた中島工業株式会社の小林部長様が、「マッチングマートに参加するメリットと企業成長」と題してご講演されるので、大企業の開放特許を中小企業に紹介する知財マッチング事業にも言及する予定です。

(5) 2月24日 戦略的知財マネジメント促進事業 知的財産セミナー(@さいたま市)
 「中小企業経営に活かす知的財産 ~知的財産活動の成果を見える形にするために~」と題して、お話させていただきます。

見られて伸びる、期待されて伸びる

2014-01-10 | 企業経営と知的財産
 「活かすべきは『休眠特許』ではなく『開放特許』」のエントリに書きましたが、今年度は、大企業の開放特許を中小企業にライセンスして新しいビジネスを創出する、いわゆる「知財マッチング事業」に関する調査事業のお手伝いをさせていただいています。その関係で年末に、ライセンスを受けて製品開発を行った中小企業2社を訪問させていただく機会がありました。
 その話の前に、この「知財マッチング事業」について、眠れる資産=大企業の「休眠特許」の有効活用する、といった文脈で説明されていることがありますが、「活かすべきは『休眠特許』ではなく『開放特許』」のエントリに書いたとおり、それは明らかな誤解です。対象となる特許は、休眠しているかどうかではなく、開放されている(=ライセンスしてよい)かどうかが条件であり、大企業自身が利用している特許も含まれます。というか、ライセンスを受ける中小企業からすると、大企業も使っている=用途がイメージしやすい&製品化しやすいステージにある、といった特許のほうが好ましく、自ずと「休眠していない特許」が対象になることが多くなっています。
 さて、その2社を訪問したときの話ですが、こういうお話をされていたことが大変印象的でした。
「この事業でライセンスを受けて製品を開発したことがきっかけになって、当社を訪ねてこられる人の数がとても多くなった
「ライセンスを受けて開発した製品が各所で取り上げられたことがきっかけで、『こういうことはできないのか?』というリクエストがいろいろ入ってくるようになった
 いずれもライセンスによる直接の効果ではありませんが、中小企業にとっては大変意味のあることであるはずです。訪問する人の数が増えればビジネスチャンスも増えるだろうし、訪問すれば社内を見学することも多いので、そこで働く社員の皆さんには「見られている」という意識が仕事へのモチベーションを高めることにつながる。リクエストが増えることも同様に、ビジネスチャンスの拡大につながり、「期待されている」ことがモチベーションにプラスにはたらく。
 おそらく多くの中小企業にとって、コピー商品に対処する、知財権の侵害リスクに備えるといったこと以上に、ビジネスチャンスの拡大やモチベーションの向上は、より一般的かつ優先度の高いテーマであるはずです。中小企業と知的財産の関わりを考える際に、こうした側面もしっかりと意識すべきだということは拙著(元気な中小企業はここが違う!)にも書いたとおりですが、自社で特許等を取得して自信をつけるということだけでなく、大企業の開放特許のライセンスを受けて自社製品を開発するというパターンでもそうした効果が生じ得るわけであり、これもまた知的財産のもつ可能性の1つといえるのではないでしょうか。

 知的財産というオンリーワンの素材を利用して自社の強みを表現することによって、注目される機会が増えていく。そして、見られて伸びる、期待されて伸びる、というプラスのサイクルが生じてくる。
 そうした狙いで今年度もう一つお手伝いさせていただいているのが、横浜市の知財みらい企業支援事業で行われている「知財情報を活かして自社の強みをPRしよう」という取組みです。具体的には、会社をPRするコンテンツ(動画・パンフレット等)を製作し、その中で会社の独自性や強みを知財情報を使ってわかりやすく説明しよう、という試みで、昨秋に参加企業の皆様と何度か検討を重ねて、現在コンテンツを製作中です。その取組内容も含めて、2月7日(金)にテクニカルショウヨコハマの併催行事として開催される横浜市知財経営促進セミナーでお話させていただく予定ですので、中小企業の知財業務で何か新しいことをやってやろう、という気合いの入った皆様、ぜひご意見をお聞かせください。ご参加をお待ちしております。

 2月7日(金)10:00~12:00 横浜市知財経営促進セミナー「社長も気づいていない 会社を元気にする知財活動の秘訣」
  【場所】 パシフィコ横浜アネックスホール(展示会場2階)
 詳細はこちら → http://www.tech-yokohama.jp/tech2014/cosp.html#cosp04