日経ビジネスから気になった記事を1つ。「敗軍の将、兵を語る」を読んで初めて知ったのですが、「千円札は拾うな。」で知られるワイキューブが3月末に民事再生法の適用を申請していたそうです。他人の失敗を後付けであれこれ批評するのは悪趣味なので好きではありませんが、最近自分がよく考えることとの関係で、どうしても気になる点がありました。
このコーナーは「敗軍の将」本人が失敗の原因を振り返って書かれた(語られた?)ものなのですが、ワイキューブの失敗の主因は、「借りられるだけお金は借りろ」「無駄金を使え!」というポリシーに基づいた無謀な借入れにあったとのことです。こうやって書くといかにも浮ついた放漫経営という感じですが、ただ意味もなくお金を使っていたわけではなく、優秀な人材の確保→快適な職場環境の提供→優秀な人材が能力を発揮→業績拡大、というシナリオを描いていて、世間から注目を集めるようなオフィスや福利厚生の充実(ビリヤード台のある社員専用バー、社内にパティシエが常駐etc.)に思い切って投資をしたとのことです。
安田社長はこうした支出について「・・・会社のブランド力向上のためにどんどん投資しました。」と説明されているのですが、ここがどうしても気になる部分です。ここで言う「ブランド力」というのは何なのだろうかと。本来、ブランド力というのは企業の提供する商品やサービス、あるいは企業そのものが顧客を惹きつける力であり、顧客を惹きつけられるからこそ、ブランド力の向上は企業の収益、競争力にプラスになるものなのではないか。あの会社はオフィスがカッコいいし、福利厚生が充実していていいなぁとかいうことは、企業のイメージアップにつながることはあるかもしれないけれども、顧客と企業を結ぶラインには直接関係ない。何となくカッコいいことをひっくるめて「ブランド」と誤解してしまうことは恐ろしい、ブランドというのは顧客と企業との結びつきであるということをよく心しておくべし、なんて思う次第です。
また、最近「会社の体温を上げる」という表現をよく使っているのですが、このケースに当てはめてみて、オフィスがカッコいいことやバーがあることは会社の体温を上げることにつながるのであろうか。会社の体温を上げる、つまり社員の当事者意識が高まり活動が活発化する動機付けとなるのは、やはり仕事の中味そのものでであって、職場環境は「体温を上げる」という点に関しては副次的なものであるはずです。仕事に誇りがあるからこそオフィス環境の良さもよい仕事を引き出すインフラになるというか、体温を上げる着火剤になるのは仕事の内容や企業の理念であって、環境を整えるということは温度を下げない保温材みたいな位置づけではないかと。そういう意味で、この記事は保温材の話ばかりで着火剤が何であったのかが語られていない。「体温を上げる」という視点からは、そこがとても気になりました。
<お知らせ>
以下のFacebookページを開設しました。
・ 拙著「経営に効く7つの知財力」のFacebookページです。
・ パートナーとして参加している日本IT特許組合のFacebookページです。
このコーナーは「敗軍の将」本人が失敗の原因を振り返って書かれた(語られた?)ものなのですが、ワイキューブの失敗の主因は、「借りられるだけお金は借りろ」「無駄金を使え!」というポリシーに基づいた無謀な借入れにあったとのことです。こうやって書くといかにも浮ついた放漫経営という感じですが、ただ意味もなくお金を使っていたわけではなく、優秀な人材の確保→快適な職場環境の提供→優秀な人材が能力を発揮→業績拡大、というシナリオを描いていて、世間から注目を集めるようなオフィスや福利厚生の充実(ビリヤード台のある社員専用バー、社内にパティシエが常駐etc.)に思い切って投資をしたとのことです。
安田社長はこうした支出について「・・・会社のブランド力向上のためにどんどん投資しました。」と説明されているのですが、ここがどうしても気になる部分です。ここで言う「ブランド力」というのは何なのだろうかと。本来、ブランド力というのは企業の提供する商品やサービス、あるいは企業そのものが顧客を惹きつける力であり、顧客を惹きつけられるからこそ、ブランド力の向上は企業の収益、競争力にプラスになるものなのではないか。あの会社はオフィスがカッコいいし、福利厚生が充実していていいなぁとかいうことは、企業のイメージアップにつながることはあるかもしれないけれども、顧客と企業を結ぶラインには直接関係ない。何となくカッコいいことをひっくるめて「ブランド」と誤解してしまうことは恐ろしい、ブランドというのは顧客と企業との結びつきであるということをよく心しておくべし、なんて思う次第です。
また、最近「会社の体温を上げる」という表現をよく使っているのですが、このケースに当てはめてみて、オフィスがカッコいいことやバーがあることは会社の体温を上げることにつながるのであろうか。会社の体温を上げる、つまり社員の当事者意識が高まり活動が活発化する動機付けとなるのは、やはり仕事の中味そのものでであって、職場環境は「体温を上げる」という点に関しては副次的なものであるはずです。仕事に誇りがあるからこそオフィス環境の良さもよい仕事を引き出すインフラになるというか、体温を上げる着火剤になるのは仕事の内容や企業の理念であって、環境を整えるということは温度を下げない保温材みたいな位置づけではないかと。そういう意味で、この記事は保温材の話ばかりで着火剤が何であったのかが語られていない。「体温を上げる」という視点からは、そこがとても気になりました。
<お知らせ>
以下のFacebookページを開設しました。
・ 拙著「経営に効く7つの知財力」のFacebookページです。
・ パートナーとして参加している日本IT特許組合のFacebookページです。
~なぁんて話を只今研究中です。。。先生たちにどこまで通じているのか・・・。
「経営者の思想や製品のコンセプト」、すなわち仕事の中味が充実してこそ、オフィス環境の良さが生きるということですよね。オフィス環境の良さというのは、やる気をサポートする機能はあるけど、やる気の源にはならないんではないか、という気がします。