能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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掛け軸に書かれた字

2011-10-23 21:17:32 | 粟谷明生の日常

写真は、現在中野の稽古場「粟谷舞台」に掛かる喜多古能(湖遊)の掛け軸の書です。

「蓬莱山もよそならず、きみの恵みは有り難や」

と喜多流では『月宮殿』他流では『鶴亀』と呼ばれる能の初同(地謡の一番最初の部分)の一部が書かれています。




最後に文政十年 喜多湖遊
丁 亥 季 夏 八十六 歳 書 とあります。

これは、文政十年 喜多湖遊(古能=ヒサヨシの俳号)

丁は十干の一つです。

十干とは五行(木・火・土・金・水)にそれぞれ二つの要素を当てたものです。

木は 甲(こう)乙(おつ)
火は 丙(へい)丁(てい) 
土は 戊(ぼ) 己(き) 
金は 庚(こう)辛(しん) 
水は 壬(じん)癸(き)

亥は干支です。
 
季は四季(春夏秋冬)をそれぞれ孟・仲・季の三つに分け、月を表します。

春の孟・仲・季を1月・2月・3月

夏の孟・仲・季を4月・5月・6月

秋の孟・仲・季を7月・8月・9月

冬の孟・仲・季を10月・11月・12月

という事で、季夏は6月を意味します。

「文政十年 丁の亥 六月、八十六歳の時、書きました!」
ということになります。

古能は喜多家九代宗家、通称健忘斎と言われた方で
「悪魔払」「寿福鈔」「面目利書」「仮面譜」など優れた著作を残された喜多流中興の祖です。

因みにその二年後、八十八歳で亡くなっています。

この本物がご覧になりたい方は、粟谷家で謡または仕舞を習われたらご覧になれます。
月三回 火曜日に粟谷明生が稽古しておりますので、本物見て、習って・・・
とお思いのあなた

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粟谷明生 




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