![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/0d/2a49751a7e1fe82b7d9652ac5ef965f8.jpg)
「那智の滝」で有名な熊野那智大社は世界遺産に登録されている。
那智の滝はそのものがご神体であり、那智大社付近は神聖な地として立入禁止区域である。
それを承知の上で28歳~35歳のお馬鹿なロッククライマー3名が滝を登ろうとして県警に現行犯逮捕された。規則を破ったからには、それ相応の罰を受けるのが人間社会だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/2e/2b/45d5d0f531436740dea37f0863cfb05d_s.jpg)
入ってはいけない、見てはいけない、と規制されればされるほど、逆にしたくなるのは人間の性分で、誰しもが持ち合わせている一面なのかもしれない。が、しかし神域に入ってはいけない、ダメなものはダメなのだ。ダメ、いけない!と知りながらそれでもやってしまったお馬鹿ロッククライマーを見て能『黒塚』を思い出した。
能『黒塚』で、山伏達が陸奥安達ヶ原に着いたのは夕刻、一人寂しく暮らす女の家に旅宿を求める。女は一度は断るが、修験者ならば・・・と男たちを泊める。女は心の中でなにを思っていたのだろうか。人恋しかったのか、それとも久しぶりに人の肉が食べられると、ほくそ笑んでいたのか・・・そこは観る者の想像の自由だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/31/32/c43a0d4f18d9becdc5dd86407e4c1322_s.jpg)
夜も深まり、寒くなって来たので、焚き火の木を山に取りに行ってくると女はいう。
山伏は夜半のことなので遠慮するが女は山に向かう、親切心なのか・・・。
と突然山から引き返して来て
「私の閨(寝室)を見てはだめよ」と釘を刺す。
「とんでもない、そんな破廉恥なことはしない」と山伏は返事をする、が・・・。
ところがここに約束を破る者がいる。やってはいけないことをやる、それが山伏の従者(アイ)だ。
「女と約束したのは山伏で、俺はそんな約束はしていない。女の閨を見るなと言われれば、そりゃ~~、余計に見たくなるものだ」とスケベ心で覗くと・・・。
女の部屋は腐臭を放ち食べ散らかした人の死骸が累々としていた。
人食いの鬼女だ。
見てはいけないものを見てしまった。幸い敢えて見たことが命拾いに繋がったが、見なければ女は鬼にならずに戻って来たかもしれないのだ。
従者は山伏に事の真相を知らせ「おそろしや、おそろしや・・・」と幕に逃げ込めばそれで済む。さて立入禁止区域の「那智の滝」を登ろうとしたクライマーはそうはいかないだろう。
まずこれから現世でどのような罰を受けるのだろうか。もしも軽いお咎めで済んでしまうならば、また同じような事をしでかす者が現れる。
たぶん次は、スカイツリーをスパイダーマンのように登る者が現れるに違いない。
断じてそうなってはならない。
私が閻魔様なら、このお馬鹿クライマーには二度と山に登れないような下知を出すのだが・・・。
こんな気持ちになるのは、ときどき閻魔様を演じるからだろうか。
巻頭写真
『鵜飼』後シテ閻魔大王 粟谷明生 撮影 石田裕
『黒塚』前シテ里女 粟谷明生
那智の滝はそのものがご神体であり、那智大社付近は神聖な地として立入禁止区域である。
それを承知の上で28歳~35歳のお馬鹿なロッククライマー3名が滝を登ろうとして県警に現行犯逮捕された。規則を破ったからには、それ相応の罰を受けるのが人間社会だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/2e/2b/45d5d0f531436740dea37f0863cfb05d_s.jpg)
入ってはいけない、見てはいけない、と規制されればされるほど、逆にしたくなるのは人間の性分で、誰しもが持ち合わせている一面なのかもしれない。が、しかし神域に入ってはいけない、ダメなものはダメなのだ。ダメ、いけない!と知りながらそれでもやってしまったお馬鹿ロッククライマーを見て能『黒塚』を思い出した。
能『黒塚』で、山伏達が陸奥安達ヶ原に着いたのは夕刻、一人寂しく暮らす女の家に旅宿を求める。女は一度は断るが、修験者ならば・・・と男たちを泊める。女は心の中でなにを思っていたのだろうか。人恋しかったのか、それとも久しぶりに人の肉が食べられると、ほくそ笑んでいたのか・・・そこは観る者の想像の自由だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/31/32/c43a0d4f18d9becdc5dd86407e4c1322_s.jpg)
夜も深まり、寒くなって来たので、焚き火の木を山に取りに行ってくると女はいう。
山伏は夜半のことなので遠慮するが女は山に向かう、親切心なのか・・・。
と突然山から引き返して来て
「私の閨(寝室)を見てはだめよ」と釘を刺す。
「とんでもない、そんな破廉恥なことはしない」と山伏は返事をする、が・・・。
ところがここに約束を破る者がいる。やってはいけないことをやる、それが山伏の従者(アイ)だ。
「女と約束したのは山伏で、俺はそんな約束はしていない。女の閨を見るなと言われれば、そりゃ~~、余計に見たくなるものだ」とスケベ心で覗くと・・・。
女の部屋は腐臭を放ち食べ散らかした人の死骸が累々としていた。
人食いの鬼女だ。
見てはいけないものを見てしまった。幸い敢えて見たことが命拾いに繋がったが、見なければ女は鬼にならずに戻って来たかもしれないのだ。
従者は山伏に事の真相を知らせ「おそろしや、おそろしや・・・」と幕に逃げ込めばそれで済む。さて立入禁止区域の「那智の滝」を登ろうとしたクライマーはそうはいかないだろう。
まずこれから現世でどのような罰を受けるのだろうか。もしも軽いお咎めで済んでしまうならば、また同じような事をしでかす者が現れる。
たぶん次は、スカイツリーをスパイダーマンのように登る者が現れるに違いない。
断じてそうなってはならない。
私が閻魔様なら、このお馬鹿クライマーには二度と山に登れないような下知を出すのだが・・・。
こんな気持ちになるのは、ときどき閻魔様を演じるからだろうか。
巻頭写真
『鵜飼』後シテ閻魔大王 粟谷明生 撮影 石田裕
『黒塚』前シテ里女 粟谷明生
http://www.hollywood-ch.com/news/09061205.html
神様云々は置いといて・・・
「触らないで!」と嫌がる人に同意を求めずに触りまくるそんな風にあのクライマーたちが見えたね、私には
あの綱渡りの人ね、あの度胸はすごいね
でもどうでもいいよ、
一度落ちてみて奇跡の命拾い、なんて言うのもニュースになるかもね