ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

「一枚の織りものに」

2014-05-27 07:29:05 | 日記
染織家で人間国宝の志村ふくみさんの講演を聞いてきました。
娘さんである志村洋子さんとのジョイント、「郡山市立美術館アートテーク」の一環でした。

    『色の命、命の色』
     自然界には豊かな色が在る。
     色は匂い、移ろい、生きている。
     命の表出である。

というテーマに添ったお話に すっかり魅了されてしまいました。
色への想い、いのちへの、恋にも似たあこがれ。
「アンチエイジング」とか、「かわいい」とかの表現は、まったく似合わない方です。
こういう方を美しい人と言うのであろうと、前列席で お話を伺いながら実感しました。

〇工房に月読み神社の「お守り札」を祀る、飾る。
〇「藍」は生きもの、「藍」は愛さないと立たない。
〇新月の時に「藍」を仕込み、満月を待って染める。
〇染織という復活

こうした お話を伺っていましたら、何かしら縄文時代に立たされているような気持になったのです。
この自然との一体感、話を伺っただけでも実に心地よいものでありました。

講演が済んでから、小半時(30分と言いたくはありません)、
私は周囲が雑木林の小高い山に囲まれた美術館の庭を一人、ゆったり、ゆっくり眺め歩きました。

静かです。
姿は見えませんが小鳥の声がします。
からすが枝に止まっていました。
一羽の からすの黒さが目立ちます。
風は、かすかに、ほんの少しだけ梢の先を通り過ぎて。
緑の洪水です。

「春先の新しい植物からは、うす緑が出る」とのこと。
目には、過剰なほどの緑が映るのに、「どうして」と問いかけたくなります。

帰りのバスを待っていましたら、
日射しが沁みて
空が沁みて
雲が沁みて
風が沁みて
鳥の声が沁みて
沁みて、沁みて、沁みて
取り出せない緑の中で、
私の内の何かが紡がれて一枚の織りものになってしまいました。
                                  〈ゴマメのばーば〉

コメント
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