ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

背後に潜む好戦性

2014-05-30 07:46:32 | 日記
井上ひさしさんの次の言葉が大好きです。
    むずかしいことを やさしく
    やさしいことを ふかく
    ふかいことを おもしろく
    おもしろいことを まじめに
    まじめなことを ゆかいに
    ゆかいなことを いっそうゆかいに
特に最初の二連、私の努力目標でもあるのです。

でも、私が誰かに何かを伝えようとする時などは、ほとんどこの逆になってしまいます。
「むずかしこと」はより難しくなってしまいますし、
「やさしいこと」は軽薄に流れてしまいがちです。

難しいことを易しく、相手が理解できる言葉やしぐさで伝えるという事は
容易なことではありません。
だいたい、自分が伝えようとしている事柄を真摯に見つめてみると、自分自身が
良く理解していないという場合が結構多いのです。
だから、自分の不明を覆い隠す「煙幕」として、難しい用語を使ってしまう場合が
多いような気がします。
流行りの横文字や、カタカナ文字で説明してしまったりすることなどは、こうした「煙幕」の
一つなのかもしれません。

一つのことを相手に説明するということは、機器操作のマニアル本の説明のようにはいかない事柄で、
本来的に「難しい」ことなのでしょう。
そして、私たちは「伝える」という本来難しい事柄が相手に伝わらないと、つい相手を
なじったり、相手の不明さかげんを責めたりしがちなのです。

「むずかしいことを やさしく」
難しいことです。
だからせめて、人と接する時の会話だけでも、トゲのない「優しさ」を心がけたいとは
思っています。
でも、これも「言うは易く、行うは難し」で。

良寛さまは『自戒のことば』で言っています。
    《こころよからぬものは―――
         ことばの多き、口のはやき、さしで口、手がら話し、へらず口》
などなど。
みなみな思い当たるしだいで…………恥ずかしい限りです。

ところで、安倍首相の衆院予算委員会等での応答も、かなり《こころよからぬもの》でした。
自らが、応答をリードしたかったのでしょう。
    的確に答えない
    はぐらかす
    「ことばの多き」
    「口のはやき」
などなど。

国の規範の根幹を為す「憲法」に関しての論議です。
ただ一点、
「時の内閣の解釈で憲法を変えられるものなのか」
に、しぼっての論議を望みます。
首相の答弁を観ていて、私は、かなりの《こころよからのもの》を感じました。
また、『国民の安全と平和を守る』と繰り返す総理の言葉の背後に潜む好戦性に、
恐ろしさを覚えたのです。
                                   〈ゴマメのばーば〉
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