20日㈫、10時過ぎに事務所を出て京都へ。12時半から自民党府議団の議員団会議。13時半から政策環境建設常任委員会に出席し、「少子高齢化社会における地域公共交通の在り方について」をテーマに、京都府建設交通部長や龍谷大学文学部歴史学科の井上学教授のお話を聴いた。
なぜ、文学部歴史学科の先生が公共交通を?と思ったが、地理学の先生で龍谷大学にはそういった学部がないので文学部歴史学科に所属しておられるそうだ。
井上教授の説明の中で、伊根町の「いねタク」という取り組みの話に興味が湧いた。
年間の利用回数が初年度(2022年)は約8700回と多かったが、2年目(2023年)にいきなり約5800回に下がっていたので、その理由を質問したら「学生の毎日利用が減ったのではないか」ということだった。
私は25年前の1999年(平成11年)にNPO法人あやべ福祉フロンティア(当時は曽根庸行理事長。現在は玉川弘信理事長。事務所:綾部市里町)を立ち上げ、副理事長兼事務局長として約21年、活動の立ち上げと軌道に乗せることに関わった。
現在も約70名の運転ボランティアの方々にお世話になって、約1400名の利用会員を約4万回/年の送迎を実施している。(往復は2回として計算)
私は今はできていないが、立ち上げ当初からの10年ほどは運転ボランティアも時々していた。その中で利用者の方々の生活実態などについてお話を聴いたり、目の当たりにしたりした。
「いねタク」は伊根町から年に約1100万円の補助金を受けており、あやべ福祉フロンティアも同様に綾部市から約1100万円の補助金を受けているが、受益者数から考えると綾部市では有効に活動できているのではないかと思う。
あやべ福祉フロンティアは道路運送法の改正以前からこの規模で活動していたため、法改正の時にはずいぶん国交省や運輸支局と話し合いをした。その際に、ずいぶん細部まで詰めて話して、現在のあやべ福祉フロンティアの活動の基礎を作った。
地方都市での昼間の利用者は、ほとんどが「福祉有償運送」の対象になれる方であるのに、わざわざ制約の多い「交通空白地有償運送」を使うのか?と井上教授に質問したら、教授は「福祉有償運送」の対象者を過少に考えておられたようだった。
立ち上げ期からのあやべ福祉フロンティアの歴史は「法や規制との闘い」でもあった。国交省は「安全第一」と言うが「それなら地方都市の農村部で移動ができずに亡くなっている命に手を差し伸べてから言うべきだ」と幾度も抗議した。
公共交通の財源の話になると「安全」は置き去りにされて「経済効率」先行で話が進むのに、規制を崩そうとすると現実的でないそういう話になって堂々巡りだった。
地方を放っておくなら「一切の公共交通に関する規制は地方自治体に委ね、地方住民が相互に話し合って決めたことに口出ししないで欲しい」と東京の国交省にも行って主張したが、なかなか首を縦には振ってもらえなかった。
東京に行った際に谷垣禎一代議士の事務所に寄って、そのことを説明していたので、許可の最後の局面では福田康夫内閣で1ヶ月半ほど国交大臣に就任されていた谷垣先生に助けていただいた。
また、新設された「ライドシェア」制度は「中山間部では機能しない」と井上教授はおっしゃったが、私は「そうではない」「地方都市の夜間の移送に可能性がある」という持論を説明した。「先生にもそういう考えを変えてほしい」と言ったら、「私も今の制度のままであれば…という前提でお話したが、制度が変わればおっしゃるように中山間部にも十分可能性がある」と言っていただいた。
「規制」は「安全のため」だと言われるが、一方では「既得権保護のため」でもある。「我々も国に声を上げますが、井上教授のような学者の意見は国によく通じるので、先生もぜひ声を上げてほしい」とお願いした。
委員会終了後は何件かの協議等の後、綾部に帰った。明日は綾部市から京都府への要望活動のため、朝一番で再び府庁に行くことになっている。