3本の高層ビルに屋上プール階(57F)を乗せた巨大ホテルの真向かいには、同様に平面的に巨大な会議場・見本市会場ビルとショッピングモールが出来上がっています。
室内運河に架かるティールーム。この国の有名紅茶TWGの直営店です。
さらには、カジノまで入っていました。
IR法案、日本でのカジノ解禁については、今まさに国会で審議がはじまっています。
(2016-12-01夜のNHKニュースより)
この巨大設備へのイベントや国際学会、見本市(メッセ)を勧誘し、その運営までを引き受けることを「MICE」と呼びます。
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。
40年くらい前に、京都国際会館を使用して2000人規模(外国人8割)の国際学会事務局担当を経験しました。当時はこの種の支援組織も会社もなく(JTBがホテル予約、観光バス、大宴会の受託するだけ)すべて手作りでした。参加者事前登録リストのためにNTT研究所のコンピュータを借りて、ソフトウェアも手作り。もちろんインターネットも存在していませんでした。
論文集は分厚い冊子が3冊となって、その袋詰めだけでも大騒ぎでした。現代は、DVD1枚か、USBメモリ1本に論文が全部はいっています。
そうして誘致された国際学会です。
発表論文数が約1000件。参加者の数はそれ以上で、特にインドからの参加者が30%超、ついで中国、日本の順でしょうか。
電気、電子、情報技術に関するアジア・太平洋諸国の学会です。
同僚の共著論文発表風景。
専門論文は、テーマによって分類されていて、30人程度の部屋に分かれて発表、質疑応答がなされます。
ポスター発表の風景。論文の要約をポスターに印刷して掲示し、その前で見学者に説明し質疑に答えます。
同僚は会場のWi-Fiを利用して日本の大学にテレビ電話、LINEを接続していました。
遠隔授業をやっているのです。事前に教材ビデオを録画してYouTubeにアップロードしてあります。日本側の教室では女子学生アシスタントが機器の設定を手伝っていました。
2コマ分の国際間の遠隔講義が無事に完遂できました。これで帰国後の補講はやらなくても済みます。
昼食会場はビュッフェ形式。インド人が多いので、菜食料理も並んでいて、プレートにベジタリアンと表示されています。
公式晩餐会は、中華料理でした。
論文集はこのUSBメモリに入っています。
MICEからのプレゼント。
シンガポール名物料理、Chili Crab(カニの辛味ソース煮)のマスコットです。
コンファレンス・バッグ。
案外にしっかりした作りでした。帰国時に洗濯物や靴などをつこんでセカンドバッグとして航空会社のチェクインに預けました。
・・・会場ビルは5階建てで、我々の学会は1000人超でもその4階部分の半分を使っていただけです。会場の運営、飲食はすべて、向かいにある巨大な一流ホテルが担当しています。多分そのせいで、参加料が相当に高額でした。経済規模が小さいアジアの小国の研究者や学生にとっては負担が大きいと思いました。10年前にこの学会にて発表したのですが、その時はタイのチェンマイで中規模のシャビーなホテルで実施され会費も安かったと思います。
この写真、入り口の壁に標語が張ってあります:
「当施設は(地球)環境の保護を約束しています」
え、え、うっそー、と思いました。
なぜならば、この巨大なビルの至る所をガンガン冷房していました。外は真夏並みの31度になっていても、室内は寒くて上着が必須。もう一枚薄手のセーターも私は用意しました。同僚は油断して、初日は上着なしで入場したので風邪をひいたそうです。
日本の夏場は「冷房は28度にしましょう」のような標語は、この国では全く見かけません。そのくせやたらと、グリーンとか環境という言葉をアピールしていました。
「環境保護」名目で、ホテルの客室のシーツやタオルの交換が選択性になっていました。それは賛成ですが、そんなところだけ「環境」とか「グリーン」と強調してもホテル運営経費削減だけでしょうと言いたくなりました。