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外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

浅野のつぶやき-不可解なドル買い

2010-08-12 12:18:24 | ☆外国為替を読む
こんにちは、ForexTVジャパンの浅野です。

昨日は久しぶりに更新ができず、失礼しました。

早速ですが、昨夜はドルが急騰しました。このところリスクを回避する動きは、ドル売りが定説になりかけていましたが、本来の、ドル買い円買いが噴出した格好です。いくつか解説等に目を通したものの大方は、米国の景気後退懸念が欧州にも飛び火し、世界的な懸念がドル買い債券買いを促した・・・という内容が目立ちました。

特段の材料もなく、FOMC明けだっただけに、確かに唐突感は否めません。そこで、自分なりに要因を時系列に探ってみました。

1つ目として、東京時間中に発表があった、豪州の消費者信頼感が大きく下落したことで、オージーが下落して円高基調が再燃したことに加えて、中国の生産者物価指数の低下で、中国の経済成長が弱まるとの懸念が連想されたこと。

2つ目に、英国のインフレレポートでは、目先の金利上昇は抑えられるといったやや弱気な内容だったことで、ポンドが下落したことに加え、欧州圏からは一部の銀行の損失額が急増する類の報道がユーロ売りを誘ったこと。また、一部からは、欧州の中央銀行は、今後可能性がある日銀の介入について、批判的な内容のコメントがあったとの報道も、円買いを誘い、クロス円の売りがパニック的に持ち込まれた印象があります。

3つ目には、米国時間に入ってFOMCの声明を裏付けるように期間が中期程度の債券価格が上昇。終盤に発表があった先月の財政赤字が大きく減少したことも、債券買いを支援した可能性があります。

このように、特に決め手はないものの、総合的に昨日はドルが買われやすい材料が重なったことが指摘できますが、強気だった米株市場までもが大きく崩れたのは、やや意外でした。欧州の下落までは納得はできるものの、通常であれば米株へシフトすべき資金が、ついつい債券に流れてしまったような印象さえあります。たしかに、資金需要がさほど高くないとされている中での金利の更なる低下は、デフレ懸念に満ち溢れており、そのあたりが株価下落の主要因とする見方は、納得できます。

いずれにしても、ドル安懸念で下落し、低リスク投資が選好される中で円買いを受けていたドル円は、苦難のスパイラルに突入した観があります。まだ何もアクションを起こしていない日銀に対して、介入をけん制してきた欧州ですが、コメントの内容は、好調なアジア市場の恩恵を大きく受けるのは日本であって、その通貨が上昇するのは当然だというニュアンスで、もはや“ねたみ”に近いトーンになっていますが・・・
本当にそうなのでしょうか。

さて、その国民である私たちはどう感じますか?

恩恵を受けている企業は山ほどあるのは事実でしょう。しかし残念なことに、その恩恵は国全体に還元されている状況ではなさそうです。加えて一層ガメつくなった企業は、企業減税を脅迫状に、国からさらにガメようとしているのが現状です。どうせ恩恵が還元されないのであれば、円高低金利の今こそ恩恵を受けている企業からしっかりと税金をいただき、、400兆の借金を返す良い機会だと思いますが、いかがでしょうか。もうそろそろ、輸出大国日本の呪文から目を覚ますべきと考えます。

ForexTVジャパン
浅野 敏郎


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