今週もIMM取組残高分析の活字版をお届けします。
では早速、ドル円の相場と取組ネットポジションの推移から見ていきましょう。
<ドル円相がとネットポジション>
10月のアメリカ雇用統計が、予想よりも好調な結果だったことを受けて、ドルが底堅く推移していましたが、今回のデータ締切時点のドル円相場は、久しぶりに100円台を目指す動きとなっていました。
こうした地合いの中でドルのネットポジションは、95,107コントラクトの買い越しと、持ち高は一段と増加しており、10万コントラクト目前という水準は、年初来の最高水準となっています。
<全通貨のネットポジション>
続いて全通貨に対するネットポジションのグラフです。
先週の番組では、全通貨共にドル買い方向へ調整が入っている状況が示されていましたが、今回のデータからは、主要通貨に対するドル買いがもう一段進んでいることが確認出来ます。
一方で、オーストラリア・ドルを除いた資源国通貨や高金利通貨では、ドルが売り戻される兆しが、僅かに見られています。
<前週比グラフ>
次に前の週と比較した取組高の変化を示すグラフをみて見ましょう。
まず円です。
先ほども述べたように、アメリカの雇用統計が好調な結果だったことを受けて、ヘッジファンドなど投機筋も、円売りドル買いを加速させていたことは、グラフからも一目瞭然です。
円は前の週と比べて、21,315コントラクトもの売り越しとなっていました。
続いてユーロです。
先週、大きな調整を迎えていたユーロは、それまでドルに代わる「買い通貨」として暫く選択されていましたが、今回も勢いこそやや弱まったものの、依然として強い調整の動きは続いているようです。
ユーロは前の週と比べて、16,317コントラクトの売り越しとなっています。
更にポンドやオーストラリアも
ドル買いの影響を受けて、通貨売り意欲が強かったようです。
ポンドは6,911コントラクトが、
そしてオーストラリアドルは10,742コントラクトが、前週比で売り越される結果となっています。
<総括と考察>
さて、先週は次期FRB議長に就任予定のイエレン氏の公聴会がありました。同氏は現在の緩和姿勢を暫く続けて行く考えを表明しており、金融緩和に対する市場の思惑も、早期縮小から再び緩和継続へと、期待感が変化しつつあります。
しかし、今回の緩和維持思惑は、ドル金利に対する先高観の否定によるドル売りとはならず、緩和維持を好感したアメリカの株高が、リスク許容度の向上に繋がり、対円を中心にドルが買われる流れになっています。
市場の反応はいつも同じではないものの、リスク許容度の向上は本来ドル売りと円売りの材料だった中で、現在の市場はドルに対する安心感が「ドル買い」ムードを促す要因となっているようです。今週はこうしたドルの好感買いがこのまま継続するかどうかに注目したいと思います。
以上の内容は、実際のグラフなどを交えた動画番組で試聴頂けます。
是非、こちらもご覧ください。
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