今週もIMM残高分析活字版をお送りします。
アメリカ時間22日の市場終了後に発表された今週の最新データは、11月13日から19日までが対象期間となっています。
では早速、ドル円相場の推移と取組ネットポジションの変化から見ていきましょう。
<ネットポジションのグラフ>
8日発表のアメリカ雇用統計は好調な結果だったことで、99円台に乗せた相場は、最新データの対象期間中に99円台をこなし、100円台に一時乗せる動きを見せました。NYダウも最高値を更新する動きを見せるなど、市場のリスク志向は向上しつつある中、円売り地合いも小しっかりする展開でした。
こうした地合いの中、ドルのネットポジションは112,216コントラクトと、10万台を大きく上回り、数年来の最高水準という未知の領域にまで積み上がっています。
<全通貨のネットポジション>
続いて全通貨に対するネットポジションのグラフです。
先週の番組では、全通貨共にドル買い方向へ調整が入る動きが示されていましたが、今回のデータは、マチマチとなっています。
円やユーロの売りが進む一方、ポンドやNZ、ペソは僅かに買い進まれ、その他に大きな動きは見られないといった状況です。視点を変えれば、円以外の通貨は概ねスクエアに近い状況とも言えそうです。
<前週比グラフ>
次に前の週と比較した取組高の変化を示すグラフをみて見ましょう。
まず円です。
前回は円を売り越す勢いが強まっている様子が示されていましたが、今回はややペースは下がったものの、高い水準で売り越しが増えています。
円は前の週と比べて、17,109コントラクトが新たに売り越さていました。
続いてユーロです。
ECBの利下げを受けてユーロが一時急落しましたが、今回の対象期間では調整の反転が優勢だった経緯がありました。しかし、シカゴ筋はペースこそ鈍化したものの、引き続き売り越していたのはやや、意外でした。
ユーロは前の週と比べて、7915コントラクトの売り越しとなっています。
一方、ポンドは、残高グラフでも買い越される兆しがあった様に、前回の売り越しから今回は買い越しに方向を転換しています。
ポンドは前の週と比べて、7638コントラクトの買い越しとなっています。
またオーストラリアドルは前回、売り意欲が見られていましたが、今回のデータ期間における相場は底堅く推移していた中、売り意欲は完全に影を潜めています。
ただ、買い戻すまでの動きにば至っておらず、先週比較では、僅かに47コントラクトの買い越しに留まっています。
<総括と考察>
さて、今回のデータが締め切られる19日までの相場は、総じて調整相場となりました。しかし、FOMC議事録公表を境に再び相場が動き出しており、対ドルで買われる通貨と売られる通貨に大きく二分されています。
イエレン次期FRB議長が緩和策を継続するとの見方から、長期金利の落ち着きを受けた株高が、リスク許容度向上の背景となり、対ドルで買われる通貨と、一方でFOMCの議事録公表以降、再び盛り上がりを見せる早期緩和縮小思惑を背景に、対ドルで売られる通貨が混在しています。
ただ、どちらに転んでも、円が売られる方向は理に叶っており、また日本政府の腰が入った景気対策が功を奏し、日本の株高も円売りの支援材料となっています。
こうした流れを裏付けるように、IMMの通貨別残高は円売りだけが異常なペースで進んでおり、投機筋の興味は円売りに集中していることが判ると共に、クロス円の相場が急騰する地合いを物語っています。
今週は円の独歩安に拍車が掛かるのかどうかと、円売りの行き先に選ばれている通貨に変化があるかどうかに注目したいと思います。
以上の内容は、動画でもご覧いただけます。グラフなどを交えると、より一層のご理解に役立つと思います。是非、ご覧ください。
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