10日東京市場
先週末の雇用統計発表で、ドルが全面高となって迎えた東京市場は、時間中は概ねドルを売り戻す調整の動きとなりました。一方で株式市場は、先週末の流れを引き継いで終始堅調な動きで、途中高値警戒感から下落する局面もあったようですが、日経平均は前週末終値に比べて112円強、高く引けました。
欧州市場
欧州時間に入って、ポンドドルが先週末のドル高値を割り込むと、ドル高が加速して相場は下落する一方で、ユーロドルは底堅く推移しました。ドル円相場は軟調地合を維持したため、ポンド円が目立って下落するなど、ポンドが弱い相場展開となりました。
背景として、欧州株式市場が総じて軟調だったことに加え、英系大手金融機関の増資の噂などが、ポンドの上値を重くした一要因だと考えられます。
米国市場
米国時間に入っても、昨日は目立った経済指標も無く材料難の中、株式市場が欧州の流れを引き継ぐように軟調な展開となると、それまで底堅かったユーロでもドル買いとなり、JST夜半過ぎに、先週末のドル高値を上回ると、為替相場はドル全面高となり、ユーロドル相場は下落しました。
対ドルでユーロが1.410水準、ポンドが1.6430水準を付けましたが、以降は調整気味にドルが売り戻されながら、引けています。
株式相場の終値は前日比で下落。債券市場は上昇して利回りは低下しています。
主要な資源相場は軟調な株式相場に歩調を合わせるように、下落して終わっています。
総括
24時間を通して、基本的には週末の調整相場と見ることができますが、欧州通貨の弱さが目立っています。週末のドル円上昇に牽引されてオーバーシュートしたクロス円は、概ね上昇前の水準へ戻すなど、円安熱はかなり冷やされた印象です。
本日8月11日午前の東京外国為替市場
ドル円相場は急激な戻しが無かった結果、昨日と同じようなテンポで着実に円高推移しており、その他対ドル通貨は昨日進んだドル高を売り戻す調整相場となっています。クロス円は結果的に円高値圏で小動きとなっています。
株式市場の日経平均は、前日比で10円弱安く始まりましたが、急激な動きは無く揉み合い相場を継続し20円強高く、前場を引けています。
今後の予想
ファンダメンタル
これからヨーロッパ市場にかけて予定されているイベントでは、以下のような経済指標発表などが材料となりそうです。
15:00 独7月消費者物価指数確報
15:00 独卸売物価指数 (MoM)
17:30 英6月商品貿易収支
予想はインフレ方向を改善とするなら、卸売物価指数が悪化、その他は概ね横ばいとなっています。
テクニカル
資金の流れだけを見ると、投資意欲の低下を意味する方向をたどっている各市場の動きです。ただ、株式市場の下落は限定的であり、調整の範囲と考えられそうですが、やや欧州通貨の弱さが目立っています。現状ではまだ短期上昇トレンドの下限で踏みとどまっていますが、下値割れとなれば、対円、対ドルで、もう一段の下落があり得そうです。
こちらはポンドドルの日足チャートです。
本年3月から反転上昇してきた相場は6月から概ね2ヶ月間の揉み合い後、上方へブレークアウトしました。しかし、5日かけて上昇し概ね目標値幅を達成した後は、本日5日目にして概ね上昇幅を戻す、V字回帰を達成しようとしています。このことはブレークアウトの意義を概ねニュートラルにしたことになり、下落トライもあり得る状況となってきました。
幸い、下方には一目均衡表と下値支持線があり、下げ止まっている状況です。
7月30日の安値1.6340/45割れは、下値線割れとなり、1.6340/45が上限となっている雲入りとなればそれなりの下押しを伴う可能性があります。1.6330あたりに売りのストップエントリーを設定し、雲の上に出直すようなら一旦はあきらめる戦略。
一方でトレンド維持を予想する場合は、ここから雲の上限近くで下値を拾う絶好の位置に見えます。雲の中へ入り込んだ時点でギブアップします。
下落相場となった場合は、ポンド円も追随する可能性があり、一時的な円全面高の展開も想定できます。