勝田台入口から佐倉市に入る。
八千代市内の勝田台駅まで、鋭くえぐりとったように佐倉市が入り込んでいる。
とても不自然で、なにか曰くがありそうだ。
◇道標3基と常夜燈(佐倉市井野1636)
店の真ん前に、石造物が囲いに囲われて立っている。
道標が3基、その後ろの常夜灯以外は、みんな他所から移したもの。
佐倉市教委の説明板があるので、転写しておく。
これらの石塔群は、成田山新勝寺に参拝する旅人のために建てられたもので、向かって右側の道標は
、歌舞伎の名優である七代目市川団十郎が、天保2年(1831)に建立し、ここから北150mに所在する加賀清水を「天はちち 地はかかさまの 清水かな」と詠んだ句と成田山への信心が記されています。
中央の道標は、明治27年に信集講社の岩田長兵衛が建てたもので、成田街道沿いに5基確認されています。
左側の道標は、江戸の豪商・古帳庵夫妻が天保11年(1840)に大和田原(現八千代市)の情景を詠んだ自作の句を刻んで建てられました。
三基の道標は、当初は現在の場所から西側の道路角にあったものを移転しました。
中央奥の常夜燈は、文政10年(1827)に加賀清水の水を汲み、茶をふるまって繁盛した林屋の前に建てられ、今も同じ場所にあります。
林屋は『三峰山道中記図会』(明治4年)に描かれ、「御贔屓の恵みも厚きはやしやと人にたてられ石の燈籠」と詠まれており、当時の賑わいがうかがわれます。
平成25年11月 佐倉市教育委員会
その『三峰山道中記絵図』が、これ。
かなりの賑わいを見せている。
店の左軒下に、今に残る燈籠が見える。
「ここから150mの」加賀清水へ行く。
現在でも清水は湧き出ているという。
この清水を「加賀の清水」と称するのは、佐倉城主大久保忠朝が、江戸参勤の往復に必ず愛飲したから。
忠朝は、加賀の守なので、加賀殿の清水⇒加賀の清水となったというわけ。
加賀の清水の隣は、稲荷神社。
鳥居をくぐった左に、コンクリートを台座にして6基の子安観音と秩父善光寺坂東巡礼供養塔が3基、柵に囲われて立っている。
ここでは、秩父善光寺坂東巡礼供養塔を取り上げる。
出羽三山参拝が男たちのオーシューメーリ(奥州参り)ならば、秩父善光寺坂東巡礼は、女たちのチチブメーリ(秩父参り)。
ほぼ10年おきに行われるが、最近は、秩父札所全部をバスで回るので、日程に余裕が生まれ、善光寺から佐渡へ足を延ばすようになった。
善光寺では、経帷子などを購入し、本人の葬儀の際、副葬品として納棺するのが、習いとなっている。
チチブメーリから帰ると費用を出し合って、供養塔を建てる。
餅をまいて建立を祝い、供養塔の前で念仏を唱えるのが、儀式の流れ。
この3基は、中央が、昭和17年、右が昭和30年、左が昭和39年造立。
ほぼ10年おきに行われていることが判る。
ここから次の宿場、臼井までは約1里。
これと云って見るものは、何もない。
ユーカリが丘駅があり、電車の軌道が街道を跨いでいるが、この駅は、始発駅でもあり、終着駅でもあるという珍しい駅。
ここから街道は、緩やかな上りになって、上り切った所が「上座」。
畑地のような、住宅地のような、そんな場所。
鳥居だけがあって、「皇産霊神社」の扁額がある。
社はなくて、出羽三山供養塔が2列に10基ほど整列している。
「皇産霊神社」は「みむすび神社」と呼ぶのだそうで、この地方ではよく見かける神社らしい。
坂を下りる。
カーブをして前方が開けた地点の左側に、石仏群が点在している。
寺社かお堂の跡地らしい。
一角に15基固まってあるのは、馬頭観音ばかり。
日本に名だたる馬の産地を通り抜けてきたにしては、馬頭観音が少なかった。
15基もあるのは、初めて。
像塔が1基もなく、文字塔ばかりなのが、ちょっと寂しい。
大半は、大正年間造立のもののようだ。
川があり、橋を渡る。
橋を渡った先を左に入る。
そこが臼井宿への旧街道入口。
何も標識がないからそのまま国道を行って、大失敗をした。要注意!
すぐに急坂にぶつかる。
さっきの国道を進めば、坂はない。
旧道は、坂を上って、下る。
坂道の苦手な私は、好きになれない場所だ。
次回更新日は、1月11日です。
≪参考図書とwebサイト≫
〇湯浅吉美『成田街道いま昔』成田山仏教研究所 平成20年
〇山本光正『房総の道 成田街道』聚海書林 昭和62年
〇川田壽『成田参詣記を歩く』崙書房出版 平成13年
▽「成田街道道中記」
http://home.e02.itscom.net/tabi/naritakaidou/naritakaidou.html
▽「百街道―歩の成田街道http://hyakkaido.travel.coocan.jp/hyakkaidoippononaritakaidou.html
▽「街道歩き旅 佐倉・成田街道」
http://kaidouarukitabi.com/rekisi/rekisi/narita/narita.html