ヒヨコ・イン・ザ・ワールド

Fukunosukeとhiyokoが綴るブログ。バリ島旅行記とスペイン旅行記だったのですが、最近は色々増えました。

バリ旅行2006番外編(バリの今)

2006-07-03 12:57:28 | バリ旅行2005&2006
■ 苦悩するバリ

バリの経済は、今最悪だそうです。1回目のテロは何とか克服したものの、2回目の
テロ以降、観光客の数が元に戻らないのだとか。なんと言っても観光で島の経済が成り
立つバリ。この状況では、島ごと倒産してしまうのでは? という位、危機的な状況の
ようです。

アマヌサも、35室のキャパに対し、この時宿泊客はわずか10組。スロウなシーズン
とは言え、客室稼働率が3割を切っているというのはかなり深刻な状況じゃないでしょ
うか。昨日の運転手が今日はショップの店番という事も、内情はスタッフの数を減
らしているためかも知れません。そう言えば、当初4月にオープン予定だったブルガリ
ホテルも、始業を10月に延期してしまったみたい。


下の写真はディスカバリーモールです。この最新のモールも、半分はすごく
繁盛しているようですが、巨大な施設の半分はテナントが入っておらず、クローズ状態。
明らかに、デベロッパーの誤算がみてとれます。

バリそのものの魅力が廃れたわけではないとは思います。ひとえにテロの恐怖が、多く
の人達の行く気を削いでいる。観光客でごった返すというのもなんですが、廃れている
バリも、なんだか忍びない。





■ 「出稼ぎ」の夢

この人は、タクシー運転手のワヤンさん。元体育の教師でしたが、食い詰めて今は
タクシードライバーに。観光客相手に仕事をするバリニーズらしからず控えめで、
「いいお土産屋に連れて行ってあげる」などと強要しない。とても誠実な人なので、
今回も指名してお世話になりました。

彼も、バリの現状を憂いています。ただ、彼の問題の捉え方としては、不景気なバリ
で、今後どのように生計をたて、暮らし向きをよくして行くかという事が課題。

彼は、チャンスがあれば、日本またはアメリカ等、先進国への「出稼ぎ」をしたいよう
です。空港まで送ってくれたアマヌサのスタッフからも、殆んど同じ話を聞きました。
すなわち、海外へ出稼ぎに行ったバリニーズが、大金を貯めて帰ってきて、お城のよう
な家を建てて住んでいる。チャンスがあれば、自分も、、、。


ワヤンさんのような、純朴そうな人まで、そんな事を思うようになってきている。
素朴な南洋の島が、西欧の文化や経済と接触し、刺激を受けることで何かが変わって
いく。我々は、バリに行きたいのだけど、その事によって、我々がバリに望む何かが
薄れていく。そんな風に思われて仕方ありませんでした。




■ 失われていくバリ。再生するバリ

ワヤンさんの事は、失われつつあるバリの一例かも知れません。その他にも、例えば
海のゴミには、ちょっと閉口しました。アマヌサのビーチの事です。とてもきれいな
砂、水なんだけど、ゴミがいっぱい。砂浜には、タバコの吸殻、ビールの王冠、プラス
チック等、ゴミが目立つ。さらには海にも、クラゲみたいに漂うビニール袋が必ず。


テロの恐怖、経済の沈滞とそれに反して進むインフレ、汚れていくビーチ。バリを
待ち受ける未来には、明るい兆しが無い様にも思われてしまいます。


しかし一方で、そういう現状を改善しようとする様々な試みも見られます。例えば
フォーシーズンズでは、現地女性を雇ってビーチのクリーニングが常時行われていま
す。これは遠目には、現地の女性が岩ガキかなにかの磯漁をしている情景にも見え、
風物詩っぽく演出されていていい眺めです。

このビーチクリーニングだけでなく、ヌサドゥアの砂浜再生、タートルリリースや、
Jegog等の民族音楽の再認識、アタ製品産業の復興なども、大きな文脈の中では、
バリの魅力を維持し、高めてゆくための試みと言えるかも知れない。


バリの自然や風物は大事な観光資源。そういう事を、誰より彼ら自身が認識している。
だから、観光地としての繁栄のための開発をする一方で、一部では、汚れていくバリ、
失われていくバリを再生、維持しようとする努力がある。旅行者の身勝手かも知れな
いけれど、バリの未来はそういう取り組みの延長にあって欲しいし、いつまでも輝き
つづける、平和な楽園であって欲しい。今回の旅を通じて、そんな風に思いました。


*バリ旅行2006は、これでおしまいです。