福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

為空也上人供養金字大般若經願文(三善道統)

2024-05-20 | 諸経

「為空也上人供養金字大般若經願文(三善道統)」(これは空也上人が天歴四年950に衆生の疫病災害苦を抜かんと欲して14年かけて大般若経の書写を完成し鴨川で仮設の仏殿を建て六百人の高僧を招して供養するとともに伎楽説法授戒を行ったことを大般若経の内容を基に書いたもので空也上人の意を体して書いたものです。上人の庶民の苦しみへの思いが切々と伝わる内容です。)

「敬白。奉書寫供養金字大般若經一部。

 夫れ以んみれば,覺花承步,應化之跡は長く芳し。佛日光を懸け,真空の理は已に顯はる。大千世界は遍く慈悲之雲を戴せ、一切衆生は悉く智惠の雨に潤う。嗟呼,諸法は無相,四生は無常なり,五蘊六根は陰陽の陶冶と雖も,真如は㮈落(ならく)、善惡の因緣にあり,成劫の後身、前身後身,禽獸魚虫,何物か流轉之父母にあらざらんや。山川藪澤,何處か生死之形骸なからんや。是を以って四恩六道成佛得果の為の故に,天曆四年950九月より始めて,應和三年963今朝に至る迄,星霜十四迴,胸臆千萬緒,常啼大士(衆生の苦しむ姿を見て、常に泣いているといわれる菩薩・大般若波羅蜜多經)の本誓,晨昏に心を懸け、法涌菩薩の對揚,思いを寄せて開示す。市中賣身,我願在りと雖も(常啼菩薩は般若経や法涌菩薩を供養するために市中に身を売る)、人間に信を催し,既に群緣を寄す。半錢の所施,一粒の所捨,漸漸の合力,微微に成功す。紺瑠璃の紙,教垂の跡を象す。紫磨金の文,鴈行字を成す。烏瑟は暗に護持を加ふ,羊柱適ま書寫畢る。抑も空也の齡、年暮を逐ひ,身は雲と浮く。禪林霜を戴き,有漏之質已に老ふ。意蘂發露,無上之果を求めんと欲す。先彼後我の思を以て思と為し,利他忘己之情を以て情と為す。薛服防風之外,更に何謀か企ん。麻飡送日之中,復た何力か施さむ。曾って一鉢之儲無し,唯十方之志を唱ふ。是に於いて,幽明共動し,遐邇普く驚く。長安洛陽,貴賤上下,共に歸依を致し,遂んじて供養せしむ。昔一婆、聲聞之齋筵を展べ,廣く三明之炬を勤む。曇无比丘之傳法の水,遍く六度之舟を廻す。或功德を人民に催し,或は恭敬を草木に得。仍ち為廣集會廣隨喜,殊に王舍城之東河に於いて佛世尊之月殿を假立す,忝くも六百の高僧の龍象を啒し,將に十六大會之煙霞に歸す。白足青眼之輩,鍱腹乘坏之人,或は自ら雪嶺香山を降り,或は至ら菴園奈菀に至る,甚深之義,海象吐明月之珠,精欵之誠,天人、栴檀の水を湛ふ。白浪咽石の岸は鷺池に相同し、青草敷煙之堤は宛も鷲嶺の如し。方今、聊か伎樂を設け,音聲を以て供す。洞簫羌笛の管,晴天曲沸し、龍頭鷁首の舟は秋水を棹穿す。況んや亦た說法の後,更に夜漏に臨み,萬燈會を設け,菩薩戒を修し、彌陀を專念し,永く極樂に帰す。苦空の傳音は命命之鳥を聞く如し。禪波は意を澄し,上上之蓮を開んと欲す。皆な勝業を以て,先ず神祇に資し、無明の夢を驚かし,長く苦海に別る。習怨盡有り,應に稠林に謝す。此の善根を以て,聖朝を祈り奉る。金輪千幅,道被飛帝之先、玉體萬機,哥王之表を化出す。蘭殿椒房,鶴禁兔園,母儀之砌,蛇齒、駐老之方を獻ず、少陽の宮,龍は延年の術を胎勸す。三台九棘,百辟千僚,華夏遠近,緇素尊卑、同じく佛海之無邊に浴す,須く壽木之不老を保つ。乃至、有緣無緣,現界他界,無始以來,所有(あらゆる)群類,動(ややもすれば)五逆四重之辜,三惡八難の苦を免れ、荒原古今之骨,東岱(死霊のあつまる泰山)先後之魂,薰修を併關し,咸く妙覺を證せんことを。敬白。

應和三年963 八月廿二日」

 

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