みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

少子高齢化と不動産バブル崩壊で中国没落へ、RCEPは竜頭蛇尾に - インドを軽視した自民党政権の失敗

2023-09-19 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
遂に、中国経済の大減速が誰の目にも明らかになった。
中共だけは知らぬ顔を決め込んでいるが、内心は気が気で無い筈だ。
もしかつての日本のように表面的な誤摩化しを続けることになれば
傷口は一層広がり中国経済に及ぶ打撃は益々大きくなるであろう。

日本では不動産市況の悪化ばかりが注目されているが、
より致命的なのは近年の中国の出生数激減である。
日本でも見たことのないような驚くべき減り方であり、
これは2030〜40年代の中国経済に大ブレーキとなるだろう。
(婚姻も子も減ってゆく訳だから住宅や車をはじめ消費に大打撃)
しかも対立関係にあるベトナムやインドからの若年人材受け入れが難しい。

当ウェブログはTPPやインド抜きのRCEPを厳しく批判してきたが、
中国経済の大失速がその正しさを証明したと云えよう。
日本は安倍や菅が悪化させた少子化を食い止めることが急務であるし、
市場としても高度人材の受け入れでも若い人口大国インドを最重要視すべきである。

▽ RCEPはインドを除外してしまうと経済効果が大きく削がれる

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘,文藝春秋)


クリントン政権の労働長官だったロバート・ライシュ氏は、
腐敗した安倍や麻生、菅と違い自由貿易協定の害を明確に批判している。

「1960~1970年代に合意した貿易協定は、世界のアメリカ製品への需要を飛躍的に増やし、アメリカ国内の労働者に支払われる賃金も上がった。しかし今の貿易協定は、アメリカ製品への需要を高めることは同じでも、企業や金融機関の利益を膨らませるばかりで国内労働者の賃金は上がらず、低いままだ」

「アップルのiPhoneは日本やシンガポールをはじめとするアメリカ以外の国や地域で生産した部品を中国で組み立てている。iPhoneに関して唯一アメリカ製といえるのは、カリフォルニアの一握りのエンジニアやマネジャーが開発したデザインや仕様ぐらいだ。その上アップルは利益のほとんど海外に蓄えている。アメリカでの課税を逃れれるためだ」

「近年の「貿易」協定は、大企業やウォール街の金融機関、その経営陣や大株主には巨額の利益をもたらした。なぜなら彼らは、新しく開かれた海外の市場や消費者に直接アクセスできる利点があるからだ。特許権や商標権、著作権といった知的財産権の保護でトクをするのも、海外に工場や設備、金融資産を多く保有する大企業や金融機関だ。世界のGDPの40%を占める巨大な貿易協定である環太平洋自由貿易協定(TPP)を、大企業やウォール街が熱烈に支持するのはそのためだ。TPPによって、大企業はさらに手厚い知的所有権の保護を受けることができるし、企業活動の障壁となるような法制度があれば、それが医療や安全、環境に関わることであっても、異議を申し立てることができる(ISD条項)。だが大多数のアメリカ人にとってここから得るものはほとんどない」

「経済が成長しても、そのほとんどは上位1%の富裕層のものになる。残りの99%は以前より安くモノを買えるようになるとはいっても、その分は賃金の低下で相殺されてしまう。TPPで全体のパイは大きくなるから、理論上は、1%の勝ち組は負け組が被った損失を全て埋め合わせてまだ手元に利益が残るはずだ。だが現実には、勝ち組が負け組のために損失の穴埋めをすることはない」

「私自身はこれまで、ウォール街や大企業が巧みに影響力を振りかざすのを間近で見てきた。その代表が、ロビー活動や選挙への献金、会社での地位を与えるとほのめかすこともあった。TTPのようなグローバルな貿易協定は、ウォール街の金融機関や大企業の利益を押し上げ上位1%の富裕層を一層富ませるだろう。そしてアメリカの中間所得層の凋落は続く」

このようにライシュ氏は真のエリートであるが、
安倍や麻生はその足下にも及ばない劣化二世である。

▽ 新興国の成長は先進国の所得格差を拡大させ社会を蝕む、アメリカがその典型例

『週刊エコノミスト』2019年 2/26号


当ウェブログが前から警告してきた通り、安倍政権は既に霞が関をも腐蝕させている。

「民主党政権持代にTPPを「平成の開国」と騒いだメディア・論者は、
 アメリカの走狗に過ぎなかったか、単に「踊らされた」ことが明白になってきた」

「TPP交渉は日本のためのものではなく、
 政治力の強いアメリカ企業や大規模生産者のためのものである」

「TPPが纏まらない原因がかなりのところ強硬な米の圧力団体にあり、
 日本だけでなく他の国もアメリカと利害が対立しており
 ずるずると交渉が長引いて妥協の山になりそうな情勢が見えてきたからだ」

「USTRは強い態度で米企業の利害を代弁している。
 その非妥協的な態度のため、妥結はどんどん遠ざかるであろう」

「これでただでさえショボい経済効果が更に縮小するのは確実。
 喜ぶのが輸出企業と安い輸入食品で稼ぎたい内需企業ばかりである実態が
 益々明らかになり、欺かれたと知り怒る日本国民が加速度的に増えている」

「TPPを「平成の開国」などと偽ったメディアや論者は
 重大な「誤報」の責任を取って謝罪すべきであろう」

「日本より遥かにFTAに積極的だった韓国は、
 周知のように成長率が鈍化し苦境に陥っている」

「レントシーカーやその手先が必死に韓国の真似をするのは見苦しい。
 日本は韓国より内需に依存する比率が大幅に高いので、
 韓国より更に小さい、砂粒のような効果しか望めない」

「当ウェブログは、RCEPの仕組み構築を先行させることによって
 交渉力を高めよと主張してきたが、現政権にはそうした用意すらなく、
 「大して効果がない妥協」か「国内で不満が強まる妥協」のいずれかで終わるだろう」

「事実問題として、NAFTAでアメリカは寧ろ雇用を減らしている。
 また輸出依存度の高い韓国ですら効果は限定的だったのだから、
 TPP程度の関税同盟で日本のような内需比率の高い国に劇的な影響があると
 妄信する方が頭がおかしい。対内投資の増加の方がまだましだ」

「TPPが「平成の開国」などと法螺を吹いた論者やメディアは、
 米議会で今、どのような議論がなされているか
 しっかりと目を見開いて見るがいい」

「金権政治のアメリカですら、TPPと枠組みがよく似たNAFTAにより
 大企業は大いに儲かっても労働者や一般国民への恩恵が
 悲しい程に貧相だった事実が誰の目にも明らかで、
 大企業からたっぷり献金を貰ったオバマが必死に旗を振っても
 労組系議員を中心としてTPPへの抵抗が強まっている」

「おまけに元米高官から「アジア版NATO」などと
 (つまり、親米アジア国の経済圏の形成が主目的だという訳だ)
 日本経済にとっての恩恵が限定的であると示唆する発言が
 アメリカ側から出てくる始末である」

「NAFTAで雇用も所得も大して増えなかったという厳然たる事実も知らず、
 (寧ろ米国の中低所得層は実質賃金が低下傾向である)
 米企業の儲けのために推進されたTPPが
 日本経済のためになるかのように大嘘をついた
 日本の衆愚論者や頭脳停止メディアの罪は重い」

「また、日本の経済団体がTPPを支持するのは
 自社の収益のためであり、国益のためではない。
 アベノミクスの2年間で企業収益と国民所得がディカップリングしている事実を見れば明白だ」

「日本のメディアはなぜ報じないのか理解できないが、
 米大統領選で既にはっきり分かったことがある。
 「TPPは既に死んだ」ということである」

「民主党のリベラル・ポピュリストであるサンダースが反TPPであるだけでなく、
 風見鶏のクリントンも世論の風当たりを読んでTPP懐疑派に転じた。
 また、伝統的に富裕層・大企業寄りの政策を行う共和党でも、
 トップを走るトランプ候補はTPP反対を明言している」

「つまり、賃金が上がらない米国民はTPPへの敵意を強めており、
 それを敏感に察した次期大統領候補は反TPP姿勢を強めざるを得ないのだ。
 だからTPPが空中分解するのはもはや確定事項である。
 いまだにTPPを支持している日本のガラパゴス・メディアも痛撃を受ける」

「米国民が貿易協定に敵意を強めるのは、NAFTAでの苦い経験があるからだ。
 米企業はNAFTAで儲かったが米国の雇用は増えず、賃金も停滞している。
 富裕層や大企業の手先がいかに口先で騙そうとしても、恩恵を実感できないのが実態である」

「クリントン政権の閣僚だったロバート・ライシュがニューズウィークに寄稿し、
 「TPPは上位1%のためのもの」として富裕層と大企業、ウォール街が
 ロビー活動と政治献金によって政策を操り、自分達だけ儲けていると指摘している。
 (これは日本も酷似した状況にあり、自民党政権と財界との関係がまさにそうである)」

「市岡繁男氏はアメリカの中高年白人の死亡率が上昇していること、
 その殆どが米企業の生産拠点の海外移転で職を失った中・高卒の労働者であり、
 所得格差が拡大して中高年男性の自殺・薬物中毒死・アルコール中毒死・肝炎での死亡が急増、
 深刻な事態になっていることを報告している」

「また、リーマンショック後の米国では所得下位90%の賃金の回復が鈍く、
 いまだにリーマン前の水準を回復していないこと、
 実は1980年代から米国の下位90%の賃金が上がっていないことが明らかになっている」

「米大統領選を見る限りTPPは「死んだ」と言える。
 共和党支持でも民主党支持でも過半数が貿易協定で「雇用が奪われている」としているから、
 米国民の憎しみを受けたTPPは事実上「終わって」いる」

「安倍政権は、太平洋戦争時の軍部と同じような粉飾された数値で
 国民を騙そうとしている。そしてアメリカと同じ失敗に終わるであろう。
 学習能力が根本的に欠けているから、当然の末路である」

「必死に隠してきたTPP交渉の裏面がかなりの部分明らかになってきて、
 功を焦る日本側甘利代表(当時)が譲歩して妥結させたというみっともない実態が
 発覚しつつあるにも関わらず、しかも米国民も米議会も反対しているにも関わらず、
 満身創痍のTPPを推進し続けるのは流石は「次元の低い」政権らしいところだ」

「経済団体から政治献金をたっぷり受け取っているからその意向に逆らえない。
 いつもながらカネの力に勝てない、利権癒着を断ち切れない病気なのだ」

「NAFTAで雇用が増えなかったため米国民は怒ってTPPに反対、
 大統領候補もTPP反対を唱えざるを得ない情勢である」

「一方、米議会の多数派を占める共和党は経済界の利益を代弁して
 「もっと米企業が稼げるようにしなければTPP反対」である」

「もし利に敏いクリントンが選挙後にTPP推進に転じるとしても、
 米国民と米議会多数派が正反対の理由でTPPを批判しているのだから、TPPに未来はない」

「予言者エマニュエル・トッドは先進国の反グローバル化の動きを捉え、
 エリートが自国民を無視して溝が生まれているのだと捉えている」

「そうした鈍重な「エリート」の典型例が安倍政権の二世閣僚達であり、
 英国民投票や米大統領選に顕著に示された海外情勢の変化を察知できず
 今もTPP推進論をやめない日本の「ガラパゴス」論者である」

「事実、EUには移民や難民受け入れを巡って大きな亀裂が入り、
 TPPを言い出した当事者であるアメリカでTPP反対論が強まっている」

「「米国民と米議会多数派が正反対の理由でTPPを批判しているのだから、TPPに未来はない」
 と当ウェブログが予言した通りだが、海外報道に注意を払っていればごく当然の結論である。
 先を見る力がなくまだTPPに固執する議員は税金にたかるシロアリでしかないから即刻辞任すべきだ」

「欧州では、大した影響が出ない筈の対カナダ貿易協定でも
 ごたごたが続いて締結に苦労している。
 欧米とも「貿易協定は一部の層の利権でしかない」という現実が見えてきて、
 口だけのエスタブリッシュに不満が強まってきているのである」

「しかもそうした先進国の情勢に気付かず苔の生えた古い政策しか出せない安倍首相は、
 「日本がTPPを主導する」という白昼夢に等しいうわ言を口走っているばかりか、
 「日本は人口が減る。社会保障を維持していくためには経済を成長させていく、自由貿易が決定的に必要だ」
 などと相変わらず無責任な言辞を繰り返しており、反省のかけらもない。
 そもそも正しい認識が決定的に欠けているのだから哀れむべきことであるが」

「日本の人口減少と経済低迷の「A級戦犯」は第一次安倍政権を含めた歴代自民党政権であり、
 実質賃金がリーマンショック時より低下しているのは誰が見ても安倍政権の失政である。
 おまけにショボい効果しかないTPPに、情勢の急速悪化にも関わらず固執している始末だ」

「失言製造機の麻生がまた愚にもつかない発言を繰り返している。
 昔、何かの間違いで首相になった時からそうだったが、
 年齢のせいもあろうが、もはや治療できない域に達したと言える」

「TTPを取り上げない日本の新聞のレベルが低いかのように軽々しく罵倒し、
 実際には掲載されていたと指摘されると言い訳を並べるという始末」

「ひょっとして自分にメディアや世間の批判を集中させ、
 その後に辞任することで次の自民党総裁のイメージを良くする高等戦術かと疑ったが、
 かつて麻生政権であれだけ成長率がガタ落ちし、今に至るまで
 当時の実質賃金や所得水準に戻っていないのだから、そのような芸当ができる筈はない。
 (実現できたのは、国民のカネで株価を支え株主を富ませるという最低の政策だけ)」

「半年前にライトハイザーUSTR代表は自由貿易協定によって「雇用が70万人減った」と
 明言しているのだから、自由貿易協定の虚妄にそろそろ気づいても良さそうなものだが」

「これはアメリカ企業の強欲から出た言葉であるが、
 自由貿易協定で雇用が減るという事実を認めた点では参考になる」

「内弁慶でメディア批判ばかりしている麻生は、アメリカに対しては殆ど吠えないのだ。
 いかにもポチ政権らしい権力崇拝主義で、TPPの件もメディアに圧力をかけて
 自分達に都合の良い報道をさせようと図るさもしい根性が隠し切れないと言えよう」

「もし賢いのであれば既に気づいていて国民に嘘をつき企業へ利益誘導しているのだろうし、
 愚かであるのならば何も考えずに自分達の努力を自画自賛しているだけだろう。
 これ迄の実績から考えて前者であるとは考えにくい」

「そもそもTPP11の試算は「10〜20年」で生じるものだから、
 13兆円といかにも巨額に見せかけようとしても年0.6〜1.3兆円でしかない。
 対EUのEPAを足してもGDPで年に最大で0.2%前後という程度にとどまる。
 個別企業にとってはビジネスチャンスだが、これでは国民は殆ど恩恵を感じない水準である。
 女性就業率を引き上げた方が遥かに経済効果(50兆円超とされている)が大きい」

「また、財務省も厚労省も「ヒラメ」で公文書の捏造・改竄を行っていた訳だから、
 TPP11の試算も「安倍に媚び諂って過大な数値を出した」可能性がかなりある。
 そうなるとただでさえ乏しい効果が更にショボい結果に終わることとなろう」

「試算の内容は、官庁が精一杯積み上げたという印象だ。
 なぜ韓国やメキシコが自由貿易協定を締結した後に成長率低下に陥ったか、
 ドグマに囚われず真剣に考察する暇も気力もなかったのだろうか。
 (例え真剣に考察したとしても、安倍の「報復」を受けた前川氏の二の舞を避け隠蔽だろうが)」

「政府によるTPP11の経済効果の試算は、まるで戦前のようだ。
 数値がTPPよりも増加して「年8兆円」というとんでもない数字まで出ている」

「もしそれが本当なら、TPP11単独で成長率が1.5%以上改善する。
 日本はそもそも輸出依存度が低い国だから、これは大変な数値である。
 第二次安倍政権下において低迷する成長率平均よりも高いという、驚愕の数字だ」

「この捏造数値を出した官僚は、その通りの効果が出なかったらどうするのだろうか?
 バブル崩壊の時も、福島原発事故の際も、金融危機の際もそうだったように、
 彼らは何一つ責任を取らず、国民を騙しても平然とその地位に居座るであろう」

「霞が関が安倍に媚び諂って「大本営発表」を行い、
 嘘の数字で国民を欺いているのは確実と言えよう」

「太平洋戦争で惨憺たる敗北を喫する前の、
 「昭和16年夏の敗戦」の際より、高級官僚の質は落ちたと言える」

「そもそも、NAFTAでも成長率が顕著に改善しなかったメキシコ、
 対米FTAでも成長率の落ちた韓国を見れば、貿易協定の効果の過大な見積もりが
 事実を直視しない愚者の妄想であるのは明々白々である」

「国益や国民を無視し、官邸に気に入られるかどうかばかり気にするヒラメが、
 まともな数字を出す訳がない。経済効果を極限まで誇張しているのだ」

「ヒラメ官僚は「米国は焦る」だの「トランプに翻意を促す」だの
 妄想全開で安倍のための空想ストーリーをバラ撒いている」

「勤労統計の「偽装」が発覚して大問題になっているが、
 更にはGDPの偽装の疑いも濃厚で(恐らく実態は「改竄」の可能性大)
 官邸に媚び諂う官僚組織の劣化が否応無しに露呈しつつある」

「実は他にも「偽装」「捏造」の疑いが濃厚な分野があり、
 TPP11や日欧EPAといった貿易協定による経済効果も
 安倍に媚び諂って過大な数字で国民を欺いている可能性が高い」

「と言うのも、既にTPP11へ加盟している5ヵ国との貿易は
 前年前月比で輸出が13.5%も減り、輸入が9.7%増加しているのだ」

「嘘と捏造と阿諛追従が生み出した偽装の数字だから、
 こうした惨めな結果に陥るのは明白である」

「政府は年7.8兆円という巨額の経済効果を謳っているので
 (もしこれが真実なら年1%以上も成長率が改善する)
 この段階で既に試算は「大嘘」「捏造」と言うべきであろう」

「このままでは「エルサレムのアイヒマン」のように
 自己の保身のためなら倫理に反して幾らでも悪事を行う
 「悪の凡庸さ」が霞が関で黴のように拡大するであろう」

「こうした日本版アイヒマン達の保身の結果、じわじわと日本社会が蝕まれている。
 アメリカ経済はグローバル化の恩恵を受けて日本より高い成長率を維持しているが、
 それは株高つまり富裕層の資産増には繋がっても下位50%には全く恩恵がないのである。
 労働生産性が上昇しても富は株主に奪われ、実質所得は40年以上停滞したままだ。
 これこそまさに第二次安倍政権下で起きている腐敗した現実と瓜二つである」

「OECDによる世界の経済見通しが発表され、
 改めて日本経済の脆弱さが証明された」

「只でさえ日本は主要国で最悪の成長率なのに、
 下方修正された成長率でも日本が最悪なのだ」

「勿論、米中貿易戦争・関税戦争が下方修正の原因だが、
 中国経済や米国経済は相対的に高い成長率を保っているのに、
 日本経済はほぼゼロ成長のままなのである」

「実は中国への依存度の高い韓国の方が日本より打撃が大きいかもしれないが、
 例えワースト1が2になっても何ら慰めにはならないのは言う迄もない」

「他方、インドのムンバイ市場ではセンセックス指数が史上最高値を記録した。
 製造業が未発達のインドの強みは得意のICTだが、
 同時に人口で中国をキャッチアップしつつあるのも見逃せない」

「2020年代は中国の没落、インド台頭となろうが、
 腐敗した安倍の悪政のために日本は中国より急激に衰退しかねない」

「当ウェブログは前々からRCEPを優先し、インドを重視すべきと主張してきたが、
 愚かで無能な劣化二世の安倍はTPP11を優先しその愚行の報いで日本衰退を加速させている。
 OECDの数値は明々白々で安倍が日本経済の癌細胞であることを示していると言える」

「日本経済にとって決定的に重要なのが人口・積極的労働市場政策であることは、
 インド経済の急成長を見れば明白である。そして安倍が大失敗しているのもこの分野だ」

「2020年代は間違いなく中国の没落、インドの台頭の時代となる。
 日本は強力な人口政策と積極的労働市場政策を断行するとともに
 インド経済(人口が日本の10倍を超える)とともに成長しなければならない」

「安倍が対米だけでなく対露でもポチ外交を展開しているのは、
 リテラシーのある者にとっては「常識」で疑問の余地はない。」

「ポチ外交を認めない者は安倍の情報操作に騙されるB層か、
 根本的に政策リテラシーも先見の明もない輩である」

「見え透いた「大本営発表」を信じる、80年前と同じ進歩のないB層は、
 日本社会に甚大な打撃が与えられないと目が覚めないものと見える」

「90年代初頭のバブル崩壊、今世紀初頭のITバブル崩壊、
 リーマンショック時の米住宅バブル崩壊、全て愚かな楽観が横溢する中で起きた。
 今回も同じだ。愚者の楽観は、災厄が接近している予兆である」

「RCEPでインドを取り込めなかっただけでなく
 チャイナリスクを高めるという愚行を重ねるという菅だが、
 安倍と同様に日本経済を衰退させるしかないものと見える」

「ヒラメ官僚は肝心のインドが抜けたのにGDP2.7%分の効果と吹聴しているが、
 これ迄の実績から見て信用出来る筈がないのは勿論である」

「権力に媚び諂って捏造した数値だと疑った方が常識的であり、
 TPP11でも対欧EPAでも先進国中で最低最悪の低成長が続く
 日本経済の現状から考えて「大本営発表」と判断するのが妥当だろう」

「以下の当ウェブログの主張も事実で立証されるであろう」とも書いたが、
安倍政権下の低成長を見ると矢張りこれらの指摘も完全に正しかった。

○TPPの経済効果は同一期間の省エネ関連市場の成長規模とさほど変わらない
 (しかもTPPは多額の農業補助金の積み増しが必要になる)
○TPPの経済効果は再生可能エネルギー市場の成長にさえ負ける可能性がある
○TPPの経済効果は女性就業率向上の経済効果に大きく劣る
 (5倍~10倍に達する圧倒的大差で敗北)
○TPPの関税引き下げ効果は対欧FTAに大きく劣る
○TPPの域内人口・経済規模はRCEPに大きく劣る
○後発のRCEPの方が主導権を取れるチャンスが多く、中国の牽制も可能

当ウェブログが予言した通りの惨状であり、菅も所詮は同類だった。。

▽ 安倍は国民に隠して米国と密約を結び、甘利はフロマンに大幅譲歩して公益を損なった

『亡国の密約 TPPはなぜ歪められたのか』(山田優/石井勇人,新潮社)


安倍はトランプに尻尾を振るだけでなく、
愚かな利益誘導政策で国益を盛大に毀損し続ける元凶となったのである。

「経済面における日中関係で何よりも問題なのは、
 中国側の日本への依存度が低下しているの対し
 日本の中国経済への依存度は高まっていることだ」

「只でさえ安全保障や台湾問題で日本は完全にアメリカ側の国なのだから
 現下のウイグル問題での対立が深刻化して北京冬季五輪ボイコットになったら
 中共が日本を含めた西側諸国に厳しい報復行為に出るのは必至である」

「そうしたチャイナ・リスクの増大に対し無能な菅自民は能天気で、
 リスク分散のためアセアンや南アジアとの経済関係強化という
 喫緊の課題をサボっている始末なのだ!」

とした当ウェブログの警告通りとなった。安倍や菅が首相の座から逐われても日本経済の先は暗い。

 ↓ 参考

日本企業のチャイナリスク増大、節穴の菅自民がリスク極大化 - 北京冬季五輪中止と中共の報復に要警戒
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4a982b603c65ea5e61720cacf0518e47

RCEPで露呈した日本の外交無策、インド取り込みに失敗 - 中国への対抗策でも経済効果でも下策
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6601769d6d8068c1081ee7f14bbb4f81

TPP締結したのに輸出が急減し輸入増、霞が関の「大本営発表」を立証 - 日欧EPA試算も「偽装」濃厚
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/86cd00cc2be23eb4b12f8e98bc5d2318

「自由貿易協定で雇用が70万人減った」-TPP粉飾試算に騙される麻生、捏造しても効果は僅か年0.2%
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/91f5308ff957df793202827af3fe7314

「TPPの恩恵は富裕層に、99%の国民は賃金が低下する」- ライシュが明言、米国民の反TPPも鮮明
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d9d9047e2205899b5d8052d9223128b8

読売新聞も認めた貧相なTPP効果、たったGDP0.05%増 - 女性就労率引き上げの10分の1以下
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4d9cb2bac4667c0d71c6a628b1f26c60

 ↓ 大国インドも含めればRCEPの域内人口は34億人で、ショボいTPPを遥かに上回る

「東南アジアで現地市場が拡大」「円高修正でも海外重視」- 経済効果ならショボいTPPよりRCEPだ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1721bcc22dec3f25141db7cc1eb40836

▽ 自由貿易のイギリスより保護貿易のアメリカの方が成長率は高かった、これが明白な史実

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


TPP加盟、GDP3600億円押し上げ 英政府が試算(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR172OU0X10C23A7000000/
”【ロンドン=江渕智弘】英政府は17日、正式に承認された環太平洋経済連携協定(TPP)加盟で同国の国内総生産(GDP)が長期的に20億ポンド(約3600億円)増えるとの試算を公表した。18億ポンドとしていた従来推計から上振れした。
 TPPによる押...〔以下略〕”

イギリス政府の試算は日本政府より誠実だ。
兆単位の経済効果があるように偽ったヒラメ官僚の試算は
矢張り針小棒大だったとの結論にしかならない。
「長期的に」だから仮に米国が加わって数字が倍増したとしても大差ない。


中国住宅、将来不安で値下がり拡大 7月7割の都市で下落(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM111PB0R10C23A8000000/
”【北京=川手伊織】中国でマンション販売価格の下落が広がっている。7月は主要70都市の7割で新築物件が前月比で値下がりし、各都市平均の下落率は0.23%に拡大した。先行き不安から販売不振が長引いており、資金繰りが悪化した不動産大手に対する市場の不安も高まっている。値上がり期待が弱まり投資用物件などを売り急ぐ人も多い。
 中国国家統計局が16日発表した。新築価格が前月を下回ったのは49都市で、6月から...〔以下略〕”

中国経済は愈々悪化が鮮明になっており、
RCEP効果もかなり怪しいものとなりつつある。


中国、22年の出生率1.09 現地報道、日本を下回る(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1647U0W3A810C2000000/
”【上海=渡辺伸】複数の中国メディアが16日までに、同国で1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数を示す「合計特殊出生率」が2022年に1.09に下がったと報じた。人口1億人を超える国の中では中国が最も低いという。20年は1.3、21年は1.15だった。少子化や人口減少が労働力の不足につながり、経済成長を抑制する要因になる。
 毎日経済新聞などが政府機関の中国人口・発展研究センターがまとめた初歩的...〔以下略〕”

中国経済で最も致命的なのはこの出生急減である。
10年前から推移を見れば恐ろしい程の減少であり
移民で補い得ない人口超大国であるだけに、確実に経済を蝕むこととなろう。


中国経済に漂う「日本化」 デフレ懸念、高齢化も(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20230817-VZZVFXZSJ5I2LI67T54HHIU7PQ/
”【北京=三塚聖平】景気悪化に直面する中国経済が、バブル崩壊後の日本と重ねられて「日本化」と指摘されている。経済の先行きに悲観ムードが広がり、需要不足からデフレ懸念が台頭しているといった見方だ。少子高齢化という構造問題も抱え、中国経済が長期停滞に入った可能性も意識され始めている。
〔中略〕
 習近平政権は今年1月にゼロコロナ政策を正式に終えて経済回復を急いでいるものの消費はさえない。消費動向を示す小売売上高は7月に前年同月比2.5%増で、伸び率は3カ月連続で縮小した。高額な自動車など耐久消費財は低調だ。
 ゼロコロナ政策の後遺症もあって若者を中心に厳しい雇用・所得環境に見舞われている。都市部の16~24歳の失業率は4月から6月まで20%超の過去最高水準が続いた。国家統計局は7月分の発表からこの統計の公表を停止しており、中国経済悪化を示す数字に敏感になっているもようだ。
〔中略〕
 7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0・3%下落と2年5カ月ぶりにマイナスに陥った。物価が継続的に下落し続けるデフレ懸念が強まっている。中国政府系シンクタンク、国家金融発展実験室の殷剣峰副主任は6月に発表した論考で、食品とエネルギー価格を除くコアCPIの伸びが昨年4月から1%以下となっていることなどから中国の状況はデフレに当てはまると指摘。「中国にも日本病の兆しが表れている」と表明した
〔中略〕
 少子高齢化の進展も日本の状況と重なる。中国は2022年末に61年ぶりの人口減少を記録しており、消費市場の縮小が見込まれる。かつて2桁台も記録した中国の経済成長率だが、国際通貨基金(IMF)は24年に4.5%にまで落ち込むと予想している。〔以下略〕”

中国は「日本化」と呼ばれているが、少子化は日本より急激だ。
経済成長率の落ち込みは日本以上に深刻となるであろう。
当然乍ら、それは日本企業にも打撃を与えることとなる。


なぜ社員が拘束されても撤退しないのか…日本の製薬会社が中国市場を捨てられない切実な理由(president.jp)
https://president.jp/articles/-/71451
”今年3月、アステラス製薬の社員が3月に中国当局に反スパイ法違反の疑いで拘束された。製薬企業の社員が拘束されたのは今回が初めてだが、各社には中国市場から撤退するような動きは見られない。ジャーナリストの村上和巳さんが、その背景をリポートする――。
■拘束リスクをおかしても中国から撤退しないのか
 アステラス製薬の社員が3月に中国当局に反スパイ法違反の疑いで拘束された事件は、日本企業全体に中国でのカントリーリスクを再認識させた。これまで中国の反スパイ法に関連した日本人の拘束は、地質調査会社社員、商社員、大学教授、日中友好団体関係者などさまざまな事例があるが、製薬企業の社員が拘束されたのは今回が初めて。
 製薬企業関係者の中には「何が原因で捕まるかわからない」との懸念の声も聞かれるが、企業単位としては当のアステラス製薬も含め中国で事業展開する日本の製薬企業は、事件以後も中国での事業展開を躊躇する気配はない。むしろ各社とも中国事業拡大に邁進していると言ってよい。なぜ日本の製薬企業はそこまで中国を重視するのか?
〔中略〕
 各製薬企業が中国事業の売上高を常時公開しているわけではないため、やや虫食いデータにはなるが、それでも過去10年で売上高が2~3倍超になっていることがわかる。ちなみにここで示した売上高のほとんどは医療機関で処方される「医療用医薬品」である。
 一方で世界の医薬品市場の概況を医療・ヘルスケアデータの分析とコンサルティングなどを行う国際企業IQVIAのリポート「The Global Use of Medicines 2022」から見ていく。
 2021年の全世界医薬品市場規模は1兆4235億ドル(約185兆550億円、1ドル=130円で換算、以下同)。国別トップはアメリカの5804億ドル(約75兆4520億ドル)、日本は3位の854億ドル(約11兆552億円)で、4位以下にはヨーロッパ各国が続く。実は日本は長らく国別では2位だったが、市場規模拡大が著しかった中国が2013年に2位になったのを機に3位に転落した。
〔中略〕
 日本の製薬企業が成長性の高い中国を重視する背景で欠かせないのが、近年の日本国内の医薬品市場衰退である。
 前述のIQVIAのリポートでは2017~2021年の医薬品市場の年平均成長率は-0.5%。実は同リポートで取り上げられた主要先進国・新興国14カ国の中で唯一のマイナス成長国だ。少子高齢化で医療を必要とする高齢者の人口が増加しているにもかかわらずだ。
 主な理由は2つある。
 まず、1つ目の理由は日本の薬価制度にある。日本では厚生労働省が承認した医療用医薬品は、あらかじめ定められたルールに基づき公定薬価が決定し、その後は市場実勢価の調査を基に多くの医薬品で薬価が引き下げられる。従来はこの引き下げは2年に1度だったが、2021年以降は毎年行われている。
 この薬価引き下げではこの市場実勢価に基づく引き下げ以外にいくつかの例外ルールがある。中でも日本の薬価制度で特徴的と言われるのが「市場拡大再算定」というルールだ。
〔中略〕
 このルールの最大の目的は、特定薬剤の売り上げ伸長が社会保障費を圧迫する懸念を軽減することにある。同時に製薬企業に対する国の論理をざっくり表現すると、「予想以上に売れているのだから、薬価引き下げで利益率が低下しても十分利益は確保できるだろう」というもの。
〔中略〕
 しかも、市場拡大再算定では通称「共連れルール」というものがある。
 例えばA薬という新しい効き方をする薬があり、これと効き方が同じだが有効成分が異なるB薬、C薬という薬があるとする。この時にA薬で市場再算定が適用されると、バランスをとるためにB薬、C薬も同時に薬価を引き下げられるのだ。
〔中略〕
 2つ目の理由は、近年のジェネリック医薬品(以下、ジェネリック)の急速な浸透である。
 新薬の特許失効後に登場する同一成分で安価な薬であるジェネリックの国内での数量ベースのシェアは15年前の2007年時点で約35%だったが、現在ではこれが約80%となっている。
 これも少子高齢化による社会保障費増大を懸念した政府が、2007年に閣議決定した「経済財政改革の基本方針2007(骨太の方針2007)」以降、ジェネリック数量シェア目標を定めて使用推進を掲げた諸政策の結果だ。
 そのため最近では新薬の特許失効でジェネリックが登場してから半年程度で新薬市場の6~7割がジェネリックに置き換わることも少なくない。
〔中略〕
 さらに先進国トップの少子高齢化が進行する日本は、2010年の総人口1億2750万人をピークに人口減少の一途をたどり、半世紀後の2060年には9615万人。2070年には9000万人すら下回ると推計されている。このようにそもそも購買人口が今後減少する以上、製薬企業はもちろん製造業の多くは日本市場のみに執着すれば、必然的に衰退することになる
 そこで目が向くのが海外市場である。
■アメリカ、EU市場は「メガ・ファーマ」の主戦場
 ただ、医薬品の場合、前述のように一般市民に一定の購買力がある国・地域であることが求められる。この点では世界最大のアメリカ市場や地域単位で見ると日本より規模の大きいEU市場が理想的だ。しかし、これらの地域は日本トップの製薬企業・武田薬品を年間売上高や年間研究開発費の規模で最大3倍は上回るグローバル製薬大手、通称・メガ・ファーマ各社の主戦場。そこで互角に渡り合える日本の製薬企業はごく一部に過ぎない。
 昨今は製薬企業による新薬開発の成功率は年々悪化している。

 医療用医薬品は飲み薬に代表される低分子薬と注射薬に代表される高分子薬に大別される。2000年半ばくらいまでは、国内外の製薬企業の新薬開発トレンドは、市場規模が大きい高血圧症、糖尿病などの生活習慣病領域を標的にした低分子薬だった。しかし、これら領域は新薬が開発され尽くした状態となり、現在はがんや難病を標的にした高分子薬、なかでも病気の原因たんぱく質の働きを抑える人工的な抗体を医薬品とした「バイオ医薬品」が主流となりつつある。
 その結果、低分子薬でも高分子薬でも開発難易度は高くなり、開発の成功確率も低下。加えて高分子薬の開発経験で日本の製薬企業は、メガ・ファーマに一歩後れを取っている。
 結果的に日本の製薬企業が注目するのはまだ低分子薬のラインナップすら十分とは言えないアジア地域、中でも購買力と巨大な人口を要する中国市場となる
。中国はメガ・ファーマに比べ、物理的距離が近くヒト・モノのロジスティックスの観点でも日本の製薬企業には一定のアドバンテージがある。
■国内市場のライフサイクルが終了してもまだ売りに出せる
 また、中国国内の製薬企業事情も日本の製薬企業にとっては有利に働いている。
 今から10~20年前の中国の製薬企業は、日米欧の製薬企業に比べて研究開発力も乏しく、研究開発から販売まで一貫した機能を持つ企業も極めて少なかった。結果的に日米欧で日常的に使われている新薬は、特許失効後にようやく中国国内の製薬企業がジェネリックを製造・販売する状況で、それすらも品質上は日米欧の基準で見れば、粗悪品と報告される頻度も多かった。
 しかも、人材不足などにより医薬品の承認審査体制も貧弱で、製薬企業が臨床試験のデータを取り揃えて承認申請後、その可否が決定するまでに3年程度かかることも珍しくなかった。
 ちなみに日米欧の場合、よほど大きな問題がない限り、製薬企業の承認申請から1年前後で承認可否が決定する。
 この状況では、日本の製薬企業が自社の新薬を日本から数年遅れで中国に投入してもビジネス上は十分に勝機があったのである。加えて言えば、爆買いに代表されるように中国国内では富裕層を中心に日本製の品質に対する信頼感が高かったこともアドバンテージだった。
■「中国製造2025」製薬産業の本格育成を始めたが…
 中国側も習近平政権下の2015年に発表した製造業振興方針「中国製造2025」で製薬産業の本格的な育成を開始。これに応じて世界各国の研究機関に在籍していた中国人研究者やメガ・ファーマ勤務経験のある者が帰国して製薬企業を設立し始め、現在は日本の製薬企業との研究開発力の格差は急速に縮小している。停滞していた審査体制も大幅に拡充され、今は承認申請から半年程度で可否が決定されるようになった。
 とはいえ、長らく中国国内の製薬業界が空洞化していた影響は今も引きずっており、現在でも医療機関に流通している医薬品はまだジェネリックが過半数を占める。このため品質で下馬評が高い日本の製薬企業の医薬品は、日本国内で特許失効によるジェネリックとの競合で半ばライフサイクルが終了していても、中国市場ではまだ一定の競争力を有する。
〔中略〕
 今回のアステラス製薬社員の拘束は、中国に注目する日本の製薬企業にやや冷や水を浴びせたことは確かであり、他にも今後の中国市場では(1)日本の製薬企業と肩を並べるレベル・規模感の国内製薬企業が登場による競争激化、(2)日本を追う高齢化による人口減少、といった警戒要因はある。
 しかし、(1)に関しては、広大な国土と巨大な人口を抱える結果として中国が複雑なサプライチェーンを抱えていることを考えれば、日本の製薬企業にとってはまだ十分に競合余地を残している。
(2)に関しては、1979~2014年まで続いた中国の「一人っ子政策」の反動で、確かに2023年1月に中国国家統計局が発表した中国の65歳以上の高齢者率は、高齢社会のレッドラインと言われる14%を超え14.9%となった。
〔中略〕
 そもそも少子高齢化の人口減少に突入しても、中国市場は日本よりはるかに巨大だ。また、国際通貨基金(IMF)が公表している2022年の国民1人当たり購買力平価GDPで見れば、日本の4万9044ドルに比べ、中国は2万1392ドルとまだ半分以下であり、今後の経済成長によって医薬品購買層の拡大が期待できる。
 つまり、今の中国の医薬品市場はカントリーリスクを考慮しても魅力的な市場であり、今回のアステラス製薬事件の影響で二の足を踏む日本の製薬企業はほぼ皆無だろう
 一方、中国当局は、7月1日からスパイ行為としての摘発範囲を拡大した改正反スパイ法を施行した。その意味で同法違反で拘束される懸念はむしろ高まっている。日本の製薬企業は、中国リスクを本当に無視しつづけられるのか。今後の展開に注目すべきだろう。
----------
村上 和巳(むらかみ・かずみ)
ジャーナリスト
宮城県出身。中央大学理工学部卒。医療専門紙記者を経てフリーに。専門は国際紛争・安全保障、医療分野、災害・防災など。〔以下略〕”

これは日本の製薬企業が置かれた隘路を的確に分析した優れたレポートだ。
これから中国経済のスローダウンと中国人民の不満の高まりは必至であるから、
日本企業が無傷で済むとは考えられないし、カントリーリスクの高まりも確実である。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2023年9月第2週チャート | TOP | 『週刊東洋経済』9月23日号 ... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界