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「TPPの恩恵は富裕層に、99%の国民は賃金が低下する」- ライシュが明言、米国民の反TPPも鮮明

2016-03-24 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
日本のメディアはなぜ報じないのか理解できないが、
米大統領選で既にはっきり分かったことがある。
TPPは既に死んだ」ということである。

民主党のリベラル・ポピュリストであるサンダースが反TPPであるだけでなく、
風見鶏のクリントンも世論の風当たりを読んでTPP懐疑派に転じた。
また、伝統的に富裕層・大企業寄りの政策を行う共和党でも、
トップを走るトランプ候補はTPP反対を明言している。

つまり、賃金が上がらない米国民はTPPへの敵意を強めており、
それを敏感に察した次期大統領候補は反TPP姿勢を強めざるを得ない
のだ。
だからTPPが空中分解するのはもはや確定事項である。
いまだにTPPを支持している日本のガラパゴス・メディアも痛撃を受ける。

米国民が貿易協定に敵意を強めるのは、NAFTAでの苦い経験があるからだ。
米企業はNAFTAで儲かったが米国の雇用は増えず、賃金も停滞している。
富裕層や大企業の手先がいかに口先で騙そうとしても、恩恵を実感できないのが実態である。

クリントン政権の閣僚だったロバート・ライシュがニューズウィークに寄稿し、
「TPPは上位1%のためのもの」として富裕層と大企業、ウォール街が
ロビー活動と政治献金によって政策を操り、自分達だけ儲けていると指摘している。
(これは日本も酷似した状況にあり、自民党政権と財界との関係がまさにそうである)

事実、富国生命の市岡繁男氏はアメリカの中高年白人の死亡率が上昇していること、
その殆どが米企業の生産拠点の海外移転で職を失った中・高卒の労働者であり、
所得格差が拡大して中高年男性の自殺・薬物中毒死・アルコール中毒死・肝炎での死亡が急増、
深刻な事態になっていることを報告している。

▽ こちら参照

『週刊エコノミスト』2015年 12月1日号


また、リーマンショック後の米国では所得下位90%の賃金の回復が鈍く、
いまだにリーマン前の水準を回復していないこと、
実は1980年代から米国の下位90%の賃金が上がっていないことが明らかになっている。

▽ こちらに図表がある

『週刊エコノミスト』2015年12月8日号


当ウェブログとしては、以前から繰り返してきたことだから何ら驚きはない。

「民主党政権持代にTPPを「平成の開国」と騒いだメディア・論者は、
 アメリカの走狗に過ぎなかったか、単に「踊らされた」ことが明白になってきた」

「TPP交渉は日本のためのものではなく、
 政治力の強いアメリカ企業や大規模生産者のためのものである」

「TPPが纏まらない原因がかなりのところ強硬な米の圧力団体にあり、
 日本だけでなく他の国もアメリカと利害が対立しており
 ずるずると交渉が長引いて妥協の山になりそうな情勢が見えてきたからだ」

「USTRは強い態度で米企業の利害を代弁している。
 その非妥協的な態度のため、妥結はどんどん遠ざかるであろう」

「これでただでさえショボい経済効果が更に縮小するのは確実。
 喜ぶのが輸出企業と安い輸入食品で稼ぎたい内需企業ばかりである実態が
 益々明らかになり、欺かれたと知り怒る日本国民が加速度的に増えている」

「TPPを「平成の開国」などと偽ったメディアや論者は
 重大な「誤報」の責任を取って謝罪すべきであろう」

「日本より遥かにFTAに積極的だった韓国は、
 周知のように成長率が鈍化し苦境に陥っている」

「レントシーカーやその手先が必死に韓国の真似をするのは見苦しい。
 日本は韓国より内需に依存する比率が大幅に高いので、
 韓国より更に小さい、砂粒のような効果しか望めない」

「当ウェブログは、RCEPの仕組み構築を先行させることによって
 交渉力を高めよと主張してきたが、現政権にはそうした用意すらなく、
 「大して効果がない妥協」か「国内で不満が強まる妥協」のいずれかで終わるだろう」

「事実問題として、NAFTAでアメリカは寧ろ雇用を減らしている。
 また輸出依存度の高い韓国ですら効果は限定的だったのだから、
 TPP程度の関税同盟で日本のような内需比率の高い国に劇的な影響があると
 妄信する方が頭がおかしい。対内投資の増加の方がまだましだ」

「以下の当ウェブログの主張も事実で立証されるであろう」と以前書いたが、
悲しいことに完璧に予想通りの展開になっている。

○TPPの経済効果は同一期間の省エネ関連市場の成長規模とさほど変わらない
 (しかもTPPは多額の農業補助金の積み増しが必要になる)
○TPPの経済効果は再生可能エネルギー市場の成長にさえ負ける可能性がある
○TPPの経済効果は女性就業率向上の経済効果に大きく劣る
 (5倍~10倍に達する圧倒的大差で敗北)
○TPPの関税引き下げ効果は対欧FTAに大きく劣る
○TPPの域内人口・経済規模はRCEPに大きく劣る
○後発のRCEPの方が主導権を取れるチャンスが多く、中国の牽制も可能

省エネ促進や女性就労率引き上げの方が遥かに国益に資する。
程度の低い安倍政権と自民党に期待すること自体が
根本的に間違っている、という結論になるしかない。

▽ TPPの背後には知財権で儲けたい米企業の思惑、貿易協定による成長率改善効果は実際には低い

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


米大統領線の後、TPPの旗を振った御用メディアは大恥をかくことになろう。

「TPPが「平成の開国」などと法螺を吹いた論者やメディアは、
 米議会で今、どのような議論がなされているか
 しっかりと目を見開いて見るがいい」

「金権政治のアメリカですら、TPPと枠組みがよく似たNAFTAにより
 大企業は大いに儲かっても労働者や一般国民への恩恵が
 悲しい程に貧相だった事実が誰の目にも明らかで、
 大企業からたっぷり献金を貰ったオバマが必死に旗を振っても
 労組系議員を中心としてTPPへの抵抗が強まっている」

「おまけに元米高官から「アジア版NATO」などと
 (つまり、親米アジア国の経済圏の形成が主目的だという訳だ)
 日本経済にとっての恩恵が限定的であると示唆する発言が
 アメリカ側から出てくる始末である」

「NAFTAで雇用も所得も大して増えなかったという厳然たる事実も知らず、
 (寧ろ米国の中低所得層は実質賃金が低下傾向である)
 米企業の儲けのために推進されたTPPが
 日本経済のためになるかのように大嘘をついた
 日本の衆愚論者や頭脳停止メディアの罪は重い」

「また、日本の経済団体がTPPを支持するのは
 自社の収益のためであり、国益のためではない。
 アベノミクスの2年間で企業収益と国民所得がディカップリングしている事実を見れば明白だ」

としてきた当ウェブログの警告は、米大統領選の反TPPによって裏付けられた。

 ↓ 参考

NAFTAで雇用を減らした米国、TPPに米議会から猛反発 - 白昼夢を見る推進派の嘘は明らか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/741d9795d5d6297161cb1d9a3bb8033f

米の強欲で停滞するTPP交渉、誰のためのものかは明白 -「TPP妥結で対日輸出急増」と皮算用
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/62994c5acb70cd357d60965f50629eba

 ↓ 大国インドも含まれるRCEPの域内人口は34億人で、ショボいTPPを遥かに上回る

「東南アジアで現地市場が拡大」「円高修正でも海外重視」- 経済効果ならショボいTPPよりRCEPだ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1721bcc22dec3f25141db7cc1eb40836

読売新聞も認めた貧相なTPP効果、たったGDP0.05%増 - 女性就労率引き上げの10分の1以下
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4d9cb2bac4667c0d71c6a628b1f26c60

▽ 企業しか儲からないTPPの経済効果は極めて貧弱、域内人口の多いRCEPに大きく劣る

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘,文藝春秋)


TPP:効果14兆円 政府試算、GDP押し上げ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20151223/k00/00m/020/080000c.html
”環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効に伴う日本への経済効果について、政府が国内総生産(GDP)を実質で約14兆円(約3%)押し上げるとの試算を取りまとめる方針であることが22日、分かった。関税撤廃や通商ルールの統一などで貿易や投資が拡大すると見込んだ。
〔中略〕
 政府はTPP交渉参加前の2013年3月にも経済効果の試算を示し、その時はGDPの押し上げ効果を3.2兆円としていたが、新たな試算は効果が4倍超に拡大する。13年当時の試算は、農産品の関税がTPP発効と同時にゼロになるとの前提で、関税以外の通商ルール統一の効果も勘案していなかった。
 試算は、関税撤廃で見込まれる工業製品の輸出増や小売業や金融分野での外資規制緩和に伴う海外事業拡大を盛り込んだ。域内の外国企業による対日投資が促進され、日本国内の雇用も拡大するとした。農林水産分野は全品目の19%で関税が残るため、マイナスの影響は限定的と判断。ただ、条件の異なる複数の試算と示す方向だ。
 政府は来年の通常国会でTPP発効に向けた国内手続きを進める考えだ。経済効果を最大限見積もることで、審議をスムーズに進めたいとの思惑もあるとみられる。【横山三加子、松倉佑輔】”

安倍政権は、太平洋戦争時の軍部と同じような粉飾された数値で
国民を騙そうとしている。そしてアメリカと同じ失敗に終わるであろう。
学習能力が根本的に欠けているから、当然の末路である。


来年度予算案 TPP 農業保護、根拠に疑問 既存の焼き直し 甘い試算(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151225-00000072-san-bus_all
”平成28年度予算案では、政府の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)政策大綱を反映した関連事業予算の大半が増額された。27年度補正も加えると手厚い措置だが、実効性は見通せない。政府が24日にまとめたTPP影響試算も、農業の保護対策が有効に作用した場合に限るなど前提条件は甘く、経済効果を裏付ける根拠までも疑問視される。
 今回の予算案では、農地の大区画化を進めることを明記した政府のTPP政策大綱を踏まえ、農地や水路など農業インフラを整備する土地改良事業で27年度当初を232億円上回る3820億円を確保。
〔中略〕
 5年の関税貿易一般協定(ガット)の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)対策では、温泉施設など農業の体質強化につながらない土地改良事業に予算の過半が充てられ、バラマキと批判を浴びた。今回も土地改良予算の大幅な増額に、同様の批判が集中する可能性もある。
 農地の集約や新規就農の支援など既存事業の焼き直しも目立つ。これらは現時点で明確な効果をあげたとは言い難いのが実情だ。
また、農家の経営安定対策など「守り」の予算配分に偏り、輸出拡大など「攻め」の農業推進に向けた思い切った施策は見当たらない。
 一方、甘利明TPP担当相は24日の経済財政諮問会議後の記者会見で、TPP影響試算の結果について「期待した数値になった。(今回の試算では)投資の効果をプラスしていないので、この分(効果は)大きくなる」と評価した。
 ただ、TPP発効による国内農林水産品の生産減少額の算出方法に疑問も残る。11月に政府が示したTPP対策が想定通りに実施された場合を前提条件としており、少子高齢化による将来的な農業の担い手減少など慢性的な課題は織り込んでいないからだ。
 TPPに伴う国内農産品の輸出拡大についても輸出戦略の未整備を理由に試算自体を先送りした。農業従事者からは「攻めの農政の観点が欠落した上に、対策が想定通りに進むことを前提にした楽観的な試算」と批判の声もあがっている。
 これに対し、政府は「TPPによる成長メカニズムが経済再生にどうつながるか国民に示すためのもの」と試算の意義を強調する。試算内容も、現時点で定量化できる経済効果を考慮した、「限定的かつ保守的な見積もり」と説明する。
 しかし、TPPで得られるメリットを最大化しなければ、今回の試算も画餅にすぎない。農漁業のみならず産業界すべてにTPPの活用を促す施策の具体化が求められている。(西村利也)”

産経ですら政府試算を批判している。
この産経記事の主旨はTPPに乗じた予算バラ撒きへの批判であるが、
(それで何故、国土強靭化のバラ撒きを批判しないのかが不思議だが)
TPPそのものの効果が貧相で、日本国民にとっての恩恵が雀の涙という
「不都合な真実」は依然として理解できていないようだ。


【米大統領選】トランプ氏の“日本たたき”80年代の日米摩擦を彷彿 「旧時代をしのばせる」(産経新聞)
http://www.sankei.com/world/news/160309/wor1603090044-n1.html
”【ワシントン=加納宏幸】米大統領選の候補指名争いで8日、自動車産業の集積地、デトロイトを抱える中西部ミシガン州を制した共和党の不動産王、トランプ氏、民主党のサンダース上院議員は、いずれも米製造業の雇用を奪うとして自由貿易を強く批判している。
〔中略〕
 トランプ氏はフロリダ州での勝利宣言で「日本からは数百万台の自動車が来るのに、米国はほとんど売っていない。(建機大手)コマツのトラクターにキャタピラーが痛めつけられているのも為替操作のせいだ」と日本をやり玉に挙げた。
 米国の日本専門家、トバイアス・ハリス、ジェフリー・ホーナン両氏は米誌ナショナル・インタレスト(電子版)でトランプ氏の論法を「日本から米国への累積直接投資は英国に次ぐ2位。日本の自動車メーカーは米国各地に工場を作り数千人の米国人労働者を雇用している」と批判した。
 また、米紙ニューヨーク・タイムズはトランプ氏の日本たたきが「旧時代をしのばせる」と指摘するとともに、識者の「トランプ氏は80年代を生きている」との見方を紹介した。
 サンダース氏もライバルのクリントン前国務長官が積極的だった北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を批判し、雇用を守ると強調。クリントン氏も一転してTPPに反対を表明し、最近は国内の工場をメキシコに移した企業を名指し批判している。
 ミシガン州予備選に関する米CNNテレビの出口調査によると、共和党では55%が貿易で雇用が奪われていると答え、そのうちトランプ氏への支持が45%でトップだった。民主党は58%が同様に答え、うち58%がサンダース氏支持だった。

 予備選・党員集会は今後、オハイオ、イリノイ両州など「ラストベルト」(さびた工業地帯)と呼ばれる米中西部から東部の製造業が衰退している地域での戦いが活発化するため、貿易をめぐる孤立主義的な議論が続くとみられる。”

この通り、米大統領選を見る限りTPPは「死んだ」と言える。
共和党支持でも民主党支持でも過半数が貿易協定で「雇用が奪われている」としているから、
米国民の憎しみを受けたTPPは事実上「終わって」いる。


TPPは上位1%のためにある(ニューズウィーク日本版)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/tpp-8.php
”かつては私も自由貿易協定はいいものだと思っていた。だがそれは、アメリカの経済成長の恩恵をごく少数の富裕層が独占し、その他すべてのアメリカ人の賃金が伸び悩むようになる前のことだ。
 1960~1970年代に合意した貿易協定は、世界のアメリカ製品への需要を飛躍的に増やし、アメリカ国内の労働者に支払われる賃金も上がった。
 しかし今の貿易協定は、アメリカ製品への需要を高めることは同じでも、企業や金融機関の利益を膨らませるばかりで国内労働者の賃金は上がらず、低いままだ。

 実のところ、近年の貿易協定は、輸出入という意味での貿易というよりグローバルな投資が主たる対象になっている。
 アメリカの大企業は、もはやほとんど国内では生産していない。海外で売るものは海外で生産している。
トクをするのは大企業と銀行だけ
 そんなアメリカ企業が今も「輸出」しているものと言えば、ごく少数のクリエイターやエンジニアの手になるアイデアやデザイン、フランチャイズ、ブランド、ソフトウエアなどだ。
 アップルのiPhoneは日本やシンガポールをはじめとするアメリカ以外の国や地域で生産した部品を中国で組み立てている。iPhoneに関して唯一アメリカ製といえるのは、カリフォルニアの一握りのエンジニアやマネジャーが開発したデザインや仕様ぐらいだ。
 その上アップルは利益のほとんど海外に蓄えている。アメリカでの課税を逃れれるためだ。
 近年の「貿易」協定は、大企業やウォール街の金融機関、その経営陣や大株主には巨額の利益をもたらした。なぜなら彼らは、新しく開かれた海外の市場や消費者に直接アクセスできる利点があるからだ。
 特許権や商標権、著作権といった知的財産権の保護でトクをするのも、海外に工場や設備、金融資産を多く保有する大企業や金融機関だ。
 世界のGDPの40%を占める巨大な貿易協定である環太平洋自由貿易協定(TPP)を、大企業やウォール街が熱烈に支持するのはそのためだ。

 TPPによって、大企業はさらに手厚い知的所有権の保護を受けることができるし、企業活動の障壁となるような法制度があれば、それが医療や安全、環境に関わることであっても、異議を申し立てることができる(ISD条項)。だが大多数のアメリカ人にとってここから得るものはほとんどない。
 貿易協定によって企業の海外生産がより自由になった結果、アメリカ人の労働者はますます海外の低賃金労働者との競争を強いられ、賃上げ要求はいっそう難しくなっている。
 また、TPPには進出企業を保護する規定があるため、企業は海外投資のリスクを軽減できる。米シンクタンクのケイトー研究所は、こうして本来取るべきリスクが低下すると、アメリカで労働者のスキルを向上させながらモノ作りをしようという企業のインセンティブは後退すると指摘する。
 TPPの支持派は、巨大貿易協定はアメリカ経済の成長に寄与すると主張する。だがそれは誰にとっての成長なのか?
共和党がオバマを支えるブラックジョーク
 経済が成長しても、そのほとんどは上位1%の富裕層のものになる。残りの99%は以前より安くモノを買えるようになるとはいっても、その分は賃金の低下で相殺されてしまう。
 TPPで全体のパイは大きくなるから、理論上は、1%の勝ち組は負け組が被った損失を全て埋め合わせてまだ手元に利益が残るはずだ。だが現実には、勝ち組が負け組のために損失の穴埋めをすることはない。
〔中略〕
 共和党は、賃上げの試みにことごとく反対してきた。最低賃金の引き上げや(インフレ調整後の実質賃金は1968年比で25%低くなっている)失業給付の拡大、職業訓練の拡充、勤労所得控除の拡大、国内インフラの改善、公立の高等教育機関へのアクセス改善など、すべてに反対したのだ。
 共和党が主張する緊縮型の予算案は、雇用増加や賃金上昇の足かせとなってきた。そのうえ同党は「トリクルダウン(富裕層が豊かになればその恩恵が貧しい者にもしたたり落ちてくる、という理論)」を根拠に富裕層の税率を低く抑え、税の抜け穴を守り、富裕層の相続税を2000年以前の水準まで引き上げるなどのあらゆる試みを阻止し続けている。
 私自身はこれまで、ウォール街や大企業が巧みに影響力を振りかざすのを間近で見てきた。その代表が、ロビー活動や選挙への献金、会社での地位を与えるとほのめかすこともあった。
 TTPのようなグローバルな貿易協定は、ウォール街の金融機関や大企業の利益を押し上げ上位1%の富裕層を一層富ませるだろう。そしてアメリカの中間所得層の凋落は続く。


*筆者は、カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授。ビル・クリントン政権で労働長官を務めた

Robert Reich is the Chancellor's Professor of Public Policy at the University of California at Berkeley. He served as Secretary of Labor in the Clinton administration
This article first appeared on RobertReich.org.”

TPPに尻尾を振っている忠犬ポチのような日本のメディアは、この記事をよくよく読むがいい。
ライシュは当初、貿易協定に期待していたがそれだけに「裏切り」に怒っている。
NAFTAで裏切られたのだから、TPPで騙される訳がない。
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