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優れた科学論文は若手と外国人が支えている - 特に生命科学系で顕著、ポスドクの高い「生産性」

2010-11-16 | いとすぎから見るこの社会-全般
興味深い調査結果が明らかになりました。
高齢化が進む日本の研究界に強く警鐘を鳴らす内容です。

文部科学省が、全世界で引用される日本の論文を調べたところ、
研究チームの筆頭著者がポストドクターであることが相対的に多く、
外国人研究者が加わっている確率も高いと分かったのです。

日本の大学が安易にテニュアを濫発し過ぎたため、
研究界の若手が昇格できずに強烈な閉塞感が漂っています。
経済停滞で税収が伸びなければ、研究界でも既得権が優先されるのです。

このままでは日本の研究界が動脈硬化に陥る危険性があります。

先週の『週刊エコノミスト』での大和総研の渡辺浩志氏の論考も
同様に高齢化する日本の研究界に警鐘を鳴らす内容であり、
真摯に受け止めなければならないと思う。

▽ 実は研究界にも固有の病巣があり、予算額だけの問題ではない。





『理科系冷遇社会―沈没する日本の科学技術』(林幸秀,中央公論新社)


論文:優れたものほど若手・外国人が支え 文科省など調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20101105k0000m040055000c.html

国内外で引用される回数が多い優れた科学論文ほど、「ポスドク」と呼ばれる任期
 付きの若手研究者や外国人研究者が多く参加している
ことが4日、文部科学省科学
 技術政策研究所と一橋大イノベーション研究センターの調査で明らかになった。
 研究チームの人材の多様性が成果の差に表れることがデータで裏付けられたのは初
 めてという。
 科学論文の多くは、複数の研究者のチームによる成果だ。ポスドクは博士号を取っ
 た後、任期付きで研究に当たる若い研究者で、貴重な「戦力」となる一方、低収入
 で不安定な地位にあるとして4月、日本学術会議が政府に待遇改善を求めている。
 調査は、01~06年に発表された日本発の科学論文約45万本のうち、全世界で
 被引用回数が上位1%に入る「トップ論文」2906本と、その他の「通常論文」
 から無作為に選んだ約1万本を対象に、著者にアンケート調査した。
 研究チームに外国人がいるのはトップ論文の48%に上り、通常論文の31%より
 高かった。ポスドクが筆頭著者というケースは、トップ論文の20%に対し通常論
 文は9%。特に生命科学系では、トップ論文32%、通常論文11%と差が大きく、
 若い研究者の活躍が成果を支えていることが明らかになった。
 また、トップ論文の研究チームは通常論文のチームに比べて論文数が約2倍と生産
 性が高く、特許出願や企業との共同研究、商業化など幅広い成果を多く生み出して
 いることも分かった。同研究所は「若い研究者の参加など、多様性の高いチームを
 作ることが知的生産性と深い関係があることが分かった」
と説明している。
 【山田大輔】”

どこからこのような情報を探し出してくるのか、
毎日新聞の記者の方々には感心させられます。

「多様性の高いチームが知的生産性が高い」ということは、
日本企業の地位が相対的に沈んできているのも理の当然なのでしょう。

恐ろしいほど従業員の平均年齢が上がっている企業も増えていて、危険だ。
(若手を育成せず、将来性を食い潰している明白な証拠)
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