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個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

日本企業には外国人の一流人材を使いこなす能力があるのか - 急増する外国人留学生の採用

2010-11-04 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
日本企業が外国人留学生の採用を増やしています。
グローバル展開のための人材を欲しがっているようです。

しかし残念ながら、多くの体質の古い日本企業には
優秀な外国人留学生を使いこなす能力はありません。
成長して力を付けたら外国人はすぐに辞めます。

社会に出たばかりの若年労働者を睥睨して
「お前達は内向き人材で情けない」と言わんばかりな企業自身が
自分たちの人事制度や権限委譲こそが内向きでスピードが遅く、
世界のトップ水準より遥かに劣っていることに気付いていません。

外交官の道上尚史氏は、優秀な中国人から
「日本企業の欠点はマネジメント」と明確に指摘されたそうです。





『外交官が見た「中国人の対日観」』(道上尚史,文藝春秋)


「1980年代の日本ビジネスは確かに世界最高レベルで、雲の上の
 存在でした。ただ90年代以降は、失礼ながら長期停滞する日本の
 ビジネスへの関心は急速に薄れています。中国のビジネスマンも
 大学の研究者も、欧米の企業に目が向いています」

「中国での日系企業のシェアも減っており、日本の方が思うほど”日
 本製”が突出して優秀だとは思われていません。価格帯ごとの品質
 や品揃え、モデルチェンジのスピードなどの面で中国マーケットの
 ニーズに応えきれていない。他国企業に差をつけられているという
 話も聞きますが、苦戦しておられるようですね」

「”もの作り”だけに熱意を燃やすのではなく、外国市場のニーズの
 把握や、人の使い方など、ビジネス手法を少し工夫された方がいい
 でしょう。日系企業に就職した学生によると、ネクタイやマナーを
 こと細かく言われるのはまだしも、若い者が新しい提案をすると
 迷惑がられるという話です」

「『組織で仕事をする』という名のもとに、個人の能力や発想が十分
 活用されず、リスク回避することでビジネス・チャンスも逃してい
 るのではないですか。『トップがあまり動き回るべきではない、関
 係各所の皆さんとよく相談して』と何ヵ月も会議ばかりしてすぐに
 決断できないようでは、国際的な競争では勝負になりません。日本
 は、技術はいいものがあるのに、勿体ないですよ。マネジメントさ
 えよくなれば、もっと世界で戦えるのに」

私の知る限りでは、これらの指摘は極めて正確だと思う。
悪いのは末端の労働者ではない。マネジメントである。


外国人留学生を採用する企業、前年度比2倍に(Business Media 誠)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1009/10/news079.html

”就職情報・人材サービスのディスコは9月9日、外国人留学生採用に関する調査結果
 を発表した。2010年度の採用実績と2011年度の採用見込みを聞いたところ、2011
 年度に外国人留学生を採用する企業は21.7%で、2010年度の実績(11.7%)のほ
 ぼ2倍であることが分かった

 これを海外拠点の有無別に見てみると、海外拠点を持つ企業が2010年度の19.8%
 から2011年度は36.1%、海外拠点を持たない企業でも6.4%から12.3%に。企業の
 間で、外国人留学生を採用する意欲が強まっている傾向がうかがえた。
   ●外国人留学生の配属先
 2010年度に新卒採用した外国人留学生の配属先を聞いたところ、「日本での勤務」
 と答えた企業は80.8%。「日本での勤務だが、将来は海外を予定」という企業も
 23.2%あったが、「海外での勤務」は1.0%にとどまった。
 また2011年度に外国人留学生を採用すると答えた企業に、その目的を聞いたところ
 「優秀な人材を確保するため」(72.8%)と答えた企業が最も多かった。このほか
 「海外の取引先に関する業務を行うため」(40.9%)、「自社(またはグループ)
 の海外法人に関する業務を行うため」(39.7%)と続いた。
 採用したい外国人留学生の出身国・地域を尋ねたところ「中国」(59.0%)と答え
 た企業が最も多かった。
次いで「東南アジア」(38.5%)、「韓国」(30.0%)
 と、「アジアを中心とした新興国でのビジネス展開を意識している企業が多いこと
 がうかがえた」(ディスコ)
 インターネットによる調査で、923社が回答した。調査期間は8月23日から8月31
 日まで。【Business Media 誠】”

 → 優秀な人材が欲しいのは当然だが、
   定着してくれるかは別の話である。

   私の個人的な見解としては、本当に優秀な企業であれば
   優秀な人材の確保に苦労することはまずあり得ない。


副社長、本部長も採用=約20人に枠拡大-社長公募のユーシン(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Dind_30%26k%3D2010083100787

”新聞広告で次期社長を公募して話題となった自動車部品メーカー、ユーシンは31
 日、応募者の中から副社長や本部長ら幹部約20人も同時に選ぶ方針を明らかにし
 た。社長には予想を大きく上回る1722人が応募。外務省課長や前県知事ら「さ
 まざまな分野から優秀な人が集まった」(田辺耕二社長)として採用枠を広げる。
 選考は社長候補と並行して行い、来年2月をめどに登用する。「英語が堪能な30
 ~40代」などが条件で、年収は社長の6000万円に対し、副社長は2500万
 ~3000万円、本部長は1500万~2000万円。
 公募による幹部の大量採用は極めて珍しいが、田辺社長は「海外での販売が増える
 中、海外営業ができる人間を選ぶのは自然な流れ。年功序列ではグローバルな競争
 に負ける
」と話している。”

国内でも人材はいくらでもいると思いますけれどね。
この事例を見れば分かるように、「優秀な人材がいない」のではなく
「企業が優秀な人材に選ばれていない」ということに過ぎないのだ。
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