-凸凹帖-

写真 奥野和彦

PART2 冬の支度

2021-09-19 20:50:02 | 写真


ちょっと残念なぐらいにバッチい感じで
え?ドブ川じゃんと思うかもしれないけれど
雨が続いて降ると、この程度の用水路にはすぐに水が溢れる。
そして田んぼに水を送る時期はもう過ぎていて
水が抜けていくスピードも早く
ゴミも、水の中の生き物も
この狭い水たまりに集まる事になる。

左側の道路の下が土管になっていて
その土管の上に昨日載せた自分の車が停めてあって
その上の木の枝にタイショウがいて
道を渡った向こう側にも立派な水路があるが
そっちも鯉の背中は出るぐらいに水が抜けていて
この道路の下の暗渠の中で大きなコイもフナも
もしかしたらバスやライギョも一緒に冬を越す事になる。
そのことを知っている人間が
この土管の淵めがけて
魚にとってはたまらない練り餌を落とし
溶かし、匂いをさせて冬籠を控えて食い溜めをしている
魚を釣り上げる。
春が近づく頃、最初に大きなコイやフナが釣れ始めるのも
実はこんな場所である。
ちなみに正面に見える小さな管の向こうにも
溝が繋がっていて
そちらは冬の間、タナゴとモロコの冬籠の場となり
タナゴ釣りのおじさん達が
背中を丸めて並んで座る事になる。

写真の見た目は悪いけれど
水面に浮いているのは
田んぼから風に吹かれて飛んでくる細かい砂埃で
油の類では無い。嫌な匂いもしない。
左側は暗渠、右側にはこの幅からだんだん細くなって
田んぼに伸びていく用水路。
そこに2時間に一度くらいのペースで
カワセミが飛んでくる。
彼らもこの水たまりにメダカ(カダヤシ)がいるのを
知っていて、それを獲りに来るのだろうが
今日は一人人間が陣取っているので
慌ててUターンしていく。

かなり前置きが長くなってしまって
本題はこれからだが


ここにカエルくんが1匹写っているのが見つけられるだろうか。
カラーだとまだ見つけやすいが
白黒フイルムで撮った物を今日現像して
ネガをルーペで見てもなかなか見つけられなかった。
カエルの種類はアカガエルだと思っているけれど
トノサマガエルだろうか。
すっかり周りの枯草色に合わせているので
何ガエルであるにせよ、もう秋冬コレクションなのだ。

静かで、たまに道路を通り過ぎる車と風に舞う枯れ葉の音しか
しないのに、足元でカサリ、カサリと音がする。
釣りをしている人間の側にわざわざ現れて
ましてやこんな意地悪好きな奴に見つけられて
まずはその、フイルムカメラで追っかけ回されて
体に枯れた草の茎がくっ付いてるから
それを取ろうとするからそれをまた嫌がって逃げて
とうとう草むらに入って見えなくなった。

そのカサリ、カサリが隠れていなくなった様で
時折聞こえる。写真に撮ったこいつの他にも2匹ほど
出て来たのだけれど、それは見失い、
また、こいつがしばらくすると現れる。
また突いてやろうかと思うけれど何と無く
何か目的があってここに寄って来ている様な予感もし
そのまま好きにさせる事にした。
初めの写真に写っている位置から
その右側の少し下がったところにどうも納まりたがる。
そこで右へ行ったり、左へ行ったりして
最後にちょっとめくれている
枯れた植物の堆積物の下によっこらしょとばかりに
潜り込んだ。

なるほど、ここで冬を越すんだね君は。
他にゴソゴソしてた奴らもそれが目的だった?
ここは天気が良ければ陽も当たるし、フカフカ柔らかそうだし
冬でも比較的暖かいだろうしね。
そうでしたか、そうでしたか。
じゃ、もう邪魔しないね。



ピシッ!
おぉ?誰だ今度は

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