-写真の部屋-

奥野和彦

スマホマン

2018-07-09 21:42:37 | 写真


13年の間にもボソボソと書いてあるが
当初はフィルムを使う事だとか
暗室でプリントをする事だとかにこだわっている。
そのうちに材料そのものが作られなくなって行き
こだわることも物理的に不可能となる。

フィルムからプリントに焼き付けて写真を見る、見せる
ということがなくなった。
始めの内はフィルムを使わなくなっただけだったのが
写真はスマホで撮ってスマホで送り、スマホで見るものに変わった。
ので、写真を職業としていた人たちから
感材の製造者(プロフェッショナル)が必要なくなり
現像、プリントを専門にする職業(プロフェッショナル)の人がいなくなり
写真は皆さんが口にするとおり誰でも(素人でも)出来るモノになった。

パソコンで写真のトーンを整える技術は人間が習得する横から
アプリに置き換えられてスマホに搭載されて
撮った瞬間に綺麗な画像が得られる。
僕たちカメラマンは、あんなのは情報量的に
写真とは呼べない、などというけれど
さっき書いた通り、写真はスマホの画面で見るものだから
一般市民はそれで不満がない。
一般市民のみならず、編集者にも
もはや従来の写真を、原稿を見たことがない若い人が多いものだから
素人と、写真技術者の撮ったものの違いは分からない。

素人がフォトグラファーと名刺を持って売り込めば良くて
安く働いてくれればそれで良くて
そういうカメラマンが私の周りにもたくさんいる。
カメラを扱えるものがカメラマンであったが
カメラを扱えない者がカメラマンと名乗っている。
スマホマンとかコピーマンとジャンルを明確に作ってあげたら良い。
カラーバランスの狂った変な画像をメール添付で
送りつけさえすれば「デザイナー」がポンと修正してくれて使われる。
写真の調整は「俺の仕事じゃない、デザイナーの仕事」
なのだそうだ。 デザイナーもそれでいいのか。