-写真の部屋-

奥野和彦

写真クラブ いいね

2018-07-10 21:32:07 | 写真


誰にでも出来ることになって写真の在り方が変わり
中でも商業的採算とは関係ない、
芸術的分野の『写真』は見ることが少なくなった。

商品を売るための写真は手を替え、品を替え
相変わらずあるけれど、私のしている仕事も含め
何かを説明するためのイラストレーションとしてあれば良いもので
人間の生き様や、己の中に湧き上がってくる何かとか
世界の有様を暴き出すような
『写真』の発表を見る事がない。
一口に 写真 と言ってもその違いがある。

なお言えば、この世界中が
インスタ映え だの いいね だのと言ってることそのものが
現代の人の生き様で、世界の有様なのであって
なぁんだ、それが私が勉強して来た写真の
行く先はここだったのかも知れない。
写真てのはそういうもんだと、
写真を分かっていれば分かっている人ほど、そう言って来た。
世界の各人が日々それぞれ発表しちゃっているのだから
写真家でござい、とカッコつけたって
ちゃんちゃら可笑しいのだ。
何年もかかって「作品」やらを撮って
全倍にプリントして飾ったところで
誰が電車賃払って見にくるものか。
そんなものは自分のスマホに沢山入っている。
自分の見たい、自分の表現したい、自分の生きている世界は
自分のスマホに入っていて、それでいい。
日々進化して、日々生まれ変わって
それが写真なのだから
写真家は要らない。私が写真家なのだから。

それでも写真を使った表現者であろうとするならば
スマホもwebも銀塩も是も非も超越したものを
まだ誰も気づいていない実験を繰り返して、
遥かな孤高を行くしかない。