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流出雑記 

種をまく

2010年12月06日 | Weblog



蒔いた手は触手のように伸びて、触れてゆく、そこかしこにある、けれど見え難い、破片を集めて、誰も知らない星座を、空にあげる  

土曜日

2010年12月05日 | Weblog

寒くなってあまり見かけなくなってきた無花果をスーパーで見つけた。もう今季最後かなと思って買う。
これは夫は食べないので私用の食物。逆に私は食べない夫だけの食物はジャーキーとかサラミのような乾燥肉。

無花果の、きっぱりと言い表しにくい味覚、これをおいしいと思っているが、ほんとうにものすごくおいしいかといわれるとそうでもないような気がする。もっとおいしいものは他にもある。でもなんだか食べたくなる。
単なる嗜好や食欲と少し違うような感じがあるのだ。
無花果は中心に向かって白いタマシイがわらわら集まっているように見えるので、タマシイの集合体を食べる感じがある。どんな生き物もさまざまないのちを苗床に繋がっているが、それを象徴的にした食物のように思える。いのちの密度がぎゅっと詰まったものを食べる感じ。
これを取り入れるには朝、胃に何も入っていないときがいい。そう思うので起き抜けに食べることにしている。無花果にはそういう儀式的食物という側面がある。単なる私的思い入れです。

午後から仕事。出町柳までゆるく自転車を漕ぐ。
久々のクロッキー会、集う人、鉛のにおい、暖房の良くきいた公民館のにおい。

今日は久々にきちんと夕食を作る。
百万遍を少し北にあがったところにあるスーパーは肉が異様に安い。特に牛肉。
煮込み用の塊肉が売り出しだった。惹かれたが煮込みをしているほどの時間はなかったし、今日は薄切りと牛蒡を買ってしぐれ煮にしたかった。

帰って台所。
なぜか今まで牛蒡をあまり買わなかった。2回目くらいだ。なので牛蒡のささがきが下手。最初のほうは短かったり厚すぎたり、後半は少し要領を得た。

最近定着したかぼちゃの炊き方、かぼちゃを並べた鍋に酒、みりん、塩で蒸し煮のようにして、途中で加減をみて醤油をほんの少し入れる。

お味噌汁は小松菜と白しめじ。ごはんは夫が炊いた(炊飯スイッチをおした)。
しばらくぶりの家で夕飯。
食べてコタツで一寝入りしてしまうのが冬のお約束。



休日

2010年12月03日 | Weblog
今週月曜、京都に帰って以来の休日。ほんとうはこの日ドラマソロジーのスタッフで釣りに行くドラマソロ釣リー計画があったのだが延期になった。昨夜から嵐で昼も豪雨が急に降り出す悪天候だったので今日でなくてよかった。

目覚ましをかけずに寝たら11時40分。ゴミ収集車もとっくに行ってしまった。

昨日の残りのハッシュドビーフを食べ、掃除を済ませ、夕方お能を観に出掛けるまでまだ時間がある。3時にコーヒー豆を挽く。

楽日の翌日、京都に帰る前に荻窪に行った。
夫は大学に入る前、荻窪に2年住んだことがあった。それ以来なのでもう一度行ってみたかったそうで、私も話しに聞いていた町を見てみたかった。
荻窪の住宅街を歩く。
駅前は工事中だったが、よく行ったという松屋、おいしいラーメン屋の前は列が出来ていて、変わらずあった。当時住んでいたアパートへ向かう道に自家焙煎のコーヒー豆を売っている商店がある。そこを通る度にコーヒーのいいにおいがしていたけれど買ったことはなかったらしい。その前は今も香ばしいにおいがしていたので、店の中に入って店主一押しと書いてあったホンジュラスの豆を自分たちのお土産に買った。駅から10分程で着くそのアパートは当時と何も変わっていなかった。夫が住んでいた1階の角部屋、ベランダには男の人の洗濯物が干してある。

近くに神社があったのでお参りして帰ることにした。お賽銭を投げて鈴を鳴らそうと夫が綱を持って揺すった。
次の瞬間上の方で鈴ではない音がして綱がたわみ、そのまま縄は落下して地面に叩き付けられた。埃が舞って夫は咳き込み、綱は巨大ミミズのように地面に横たわった。なんでこんなことに見舞われているのかと笑いがこみ上げるのを肺で止める。
我々の前にお参りしていた老婦人ふたり連れは振り返って、大丈夫?と神社の人を呼びに行った。
綱を固定していた釘と金具が錆びきって落ちたらしい。綱には釘とコの字型の金具が付いていたので頭に当たっていたら大事だった。とりあえず、当たらずに済んだことに手を合わせた。

昨日までの舞台で運を使い果たしたのではなかろうかと言いながら、この珍エピソードを連れて黄色いイチョウの道を歩いて帰り、さっき列の出来ていた春木屋というラーメン屋に入る。煮干しなどのダシのきいた醤油ラーメンで、おいしかった。

と、そんな荻窪散策のときに買ったコーヒー豆を挽いて3時のお茶にする。
挽きたての豆でドリップするともこもこ泡が立つ。豆のいきが良い。

ロイ・フラーの布を使ったダンスの動画を見る。
頭まで布で覆われて姿が見えなくなり、布だけが動いているように見える瞬間がおもしろい。

夫はコタツでまた眠る。よく眠る。

花が咲く

2010年12月01日 | Weblog
数年ぶりに口唇ヘルペスが出ている。疲れているらしい。小さい頃はこれが出ると風邪の花が咲いてると母は言っていた。
昨夜日付が変わる頃に夫の友人とその恋人が来て3時過ぎまでうちで飲んでいた。ふたりが帰ったあとも喋っていて、途中で夫は沈没。
私はその後もすぐ寝る気分にならず、机の上をにぎやかにしているビールの缶やつまみの皿やゴミを朝方の冷えた台所に連れていく。東京に行っていた間の山盛り洗濯物を提げて朝5時に物干に上がる。まだ暗い。鳥だか獣だかわからないものがどこかでキョキョと鳴いた。完全に冷えきった体をコタツに滑り込ませ、そのまま寝てしまい10時に起床。午後モウロウとしながら仕事をする。モウロウとしていたのにボジョレー・ヌーボーを1本くださり持って帰る。ありがたい。おもい。

公演中に思ったことなどを日を遡って書いてみようと思っていたが、今はそれよりこれからのことに思念がせり上がって呼吸が浅い。回想に降りられない感じがある。
ひとつのことが終わったおかげで足りないものがはっきりと残ったような気がする。
今動かなければのちにうまくいかなくなるであろう事が、わりと実感を伴って予見できる。望むままにいるためにしなければならないことに実直に身を投じること。待たない、寄りかからず、なんのための背骨か。

ひらけ~胸骨!