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流出雑記 

326が流行った頃

2008年07月31日 | Weblog
夜は網戸にして寝ている。昨夜はいい風が入ってきて気持ち良く寝入った。

深夜目が覚めた。
体が10センチくらいベッドから浮いている。
そういえば居間で服のまま眠り込んでしまったダーリンを起こしにいこうとベッドから起き上がる。
床を踏んでいる感触がない。
足を前に出すが踏み込めない。足を水の中で浮きながらぷらぷら前後しているようだ。空気に水のような抵抗感があり普段歩くより倍くらいのろいが前には進む。
階段から降りようとしたが、ちょっと戻ってベッドの方を見た。
暗くてかすんでいる。でも人らしき布団の盛り上がりは確認できた。
ああやっぱり幽体離脱してる。
これは夢だ とここでやっと自覚する。

夢を見ながら夢だと分かることがたまにある。
ありきたりだがそういうときはいつもほっぺたをつねる。
痛くない。
その後のことは覚えていない。

今日は母校の高校で仕事。午前午後続きで8ポーズ。オープンスクールで、中学生が美術実習を体験しに来る。
その中の「モデルを描いてみよう」の講座。
事前に担当の先生から出来るだけ派手なワンピースで、と言われていた。
私の持っている中で一番派手なのはポーランドで買った赤いワンピース。

教室には制服のおとなしそうな女の子たち。
白い靴下とスニーカーで、やや緊張した面持ちで先生の説明を聞いている。

私の中学時代。
水色のカッターシャツ、細かい千鳥格子のスカートとベスト、紺のブレザー。
ベストはダサいので一年生しか着ない。
休み時間ベストを脱いで遊んでいると上級生から「一年!ベスト着いや!」と意味なく怒られる。
靴下は色柄は自由、ものすごいルーズソックスは禁止。
靴も紐の運動靴なら白でなくてもよかった。
スカイブルーのハイカットのコンバースに自分で染めた青い靴下を履いた。
ばれないように髪を染めたりばれないようにピアスをあけたりとにかくお洒落がしたくてしょうがなかった。
326が流行った時代。
ヴィヴィアン、ビューティビースト、20471120、MILK…

ポーズ中そんな回想に耽る。在学中お世話になった先生が何人か覗きに来ていた。
夕方ポーズを終える。
自転車に乗るといつもと何か違う。
後輪に思いっきり画鋲が刺さっていた。
乗れないこともないが、がったんがったんするので諦めて押しながら自転車屋まで歩く。
持っていくと修理に15分ほどかかると言う。喫茶店に入るほどでもないのでコンビニで立ち読み。
海外セレブのゴシップしか載ってない雑誌を読む。ニコール・リッチー。

自転車はチューブ交換2600円。

晩ご飯は和食献立にする。
塩鯖を焼き、きんぴらごぼう、紅白なます、えのきのごま油炒め、錦で買ったキクラゲの佃煮類、トマトとキャベツのかき玉汁。

食後、皿を洗っている時、台所の天井を見て小梅が鳴くので何かいるのかと思ったらムカデ。
危険物処理班が剣道の腕前を発揮。

ラピュタを見た。
紅の豚ともののけ姫も見たくなった。

彼女はリスに似ている

2008年07月30日 | Weblog
高校時代の友人と会う。
私の知る人の中でも1、2を争う器用な手の持ち主。
アクセサリーを作るのがとても上手。
今はテキスタイルが素敵な服の店で販売をしている。
昼に三条で会い、タイ料理屋でタイ風焼きそばを食べながらお互いの近況を話す。
やはり話題はこれからの生き方 になる。
今月から遠距離恋愛をはじめるらしい。

アクセサリーパーツが安い店を教えてもらう。
ピアスのデザインを考えながら夢中になり金具やビーズを買い込む。

その後、高島屋でやっている「ガレ・ドーム・ラリック」ガラス工芸展の招待券があったので見に行く。
アールヌーボーからアールデコにかけての優美で繊細な花瓶、グラス、また銀製の化粧道具や香水瓶、アクセサリーなども展示されていた。
思ったより展示数が多く見応えがある。
ロココ、アールヌーボー、アールデコ 3つの時代をイメージした香りが展示されていた。
ロココはローズ調フローラル、アールヌーボーはフローラルブーケ、アールデコはアルデハイドフローラル。
思わぬ香りの展示に喜んだ。

ついでに一階の化粧品売り場でゲランの香水を嗅ぐ。
シャリマーとずっと嗅いでみたかった夜間飛行。シャリマーは豪華だがバニラが結構鼻に引っかかる。
バニラの香りがあまり得意ではないからかも知れないが、調香するときもうまく使えない。酔いそうになる。
夜間飛行はサン・テグジュペリの小説からインスピレーションを得て作られた香りで、黄水仙の香りを中心にきりっとした個性的な印象。
どちらもしっかりとした天然のアニマルがラストに近づくほど豪華にうつろい残る。

ただ自分には使えないような香りだ。
名香ではあるけれど、今の世にあうものではない。
天然の香料はどんどん値段が上がり稀少になっている。この先本当に入手困難になるものもあるそうだ。
しかし今の世に合うものを作ろうとするなら合成香料の方が作りやすいと言える。
時代とともに材料も変化していると無くなっていく天然香料に執着せず前向きに捉えようと思う。

夕方別れてダーリンと夕食。
大きな仕事のきりがついたので外食する。
リクエストにより焼き肉。
マッコリを飲む。
こりこりしたコリコリというのがおいしかった。


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2008年07月29日 | Weblog
曇りがち。
北野天満宮のあたりで午後から仕事。
結構遠いが自転車で向かう。

固定3ポーズと10分から5分の短いクロッキーを9ポーズ。
個人宅の一室で描き手は4人。
オリエンタルな雰囲気のソファーやランプ、カーペットなどのある場所だったので、公民館などの固い空間では出てこないポーズができた。
ずっとバロック音楽が流れていた。
終わってからケーキをいただきしばらく談笑。
和菓子の老舗「老松」の洋菓子部門のあっさり上品なアップルパイ。

帰り道、父が一人で住んでいる実家が近くなので寄る。
勤務表は休だが父は不在だった。
仏壇に参り、庭の様子を見に行くと昨日の雨のおかげで緑は潤った色。

部屋の隅に黒い塊があった。何かと思ってよく見るとクリーニング屋の黒いハンガーの山だった。
いらないなら返せばいいのにこんなに溜めてどうするのか、なんか作るのかと思う量。

毎年、父の会社の関係先から送られてくるお中元のスモークサーモンを発見。
いつも父ひとりでは食べきれず賞味期限が切れて冷蔵庫に放置されるので、持って帰ることにする。
既に賞味期限は2日過ぎていた。
スモークサーモンの旨を置き手紙に書いておく。

京都新聞の夕刊の一面に「美術ヌードモデル脚光」というわりと大きな記事が載っていた。
内容は近年、学生や主婦のモデルが増えている、ヌードということへの抵抗感が薄れてきている、といったこと。
モデル歴5年の主婦のコメントに「別人になりきり、非日常を楽しめる。ストレス発散にもなります。」
生活は旦那の稼ぎで安定しているのであろう。
腹さえ決めれば非日常への欲望と自己顕示欲を比較的簡単に満たせる。
このコメントを読むとそんなふうにも思えてくる。

それにしてもどうかと思うのは見出しの横に大きく「ありのままの私、見て」と書かれていることだ。
私はこの仕事をしていてそんなふうに思ったことはない。
ありのままという言葉は何より疑わしい。

人前に体をさらし見られることが私にとってあるバランスをとる要素であることは確かだ。
舞台に立つという経験。そのときのからだ、血流にはきっと後々まで中毒するものがある。
日常を生きているだけでは踏み込めない場所を自分の中に見つけてしまい、どこか物足りなさを感じてしまう。
しかし今、私の生活の主軸は舞台ではない。
積極的に役者やダンサーになろうとするでもない。
演技にも振付けにも興味がない。
ただ舞台のあからさまな虚構の中に生身、その摩擦の中の皮膚感覚、光の混色のように重なって透明になる人称性
そういうものには惹れる。

私はこれからからだをどこに持っていけばいいのかしらと考えながら長い帰路を自転車で走る。


清水のち宇治

2008年07月28日 | Weblog
昨日、酷暑の中、東京からやってきた友人と祇園から清水寺まで歩いた。
遠いと思っていたが気づくと歩いてしまっていた。
途中のカフェでデリプレートランチ。デリはちょっと個性派でおもしろいが、米の炊き加減が固い。

しかし京都観光案内人として季節のスポット選びを誤ったと思う。
暑すぎて申し訳なかった。

清水坂を登りきって拝観料を払い清水の舞台のところに出る。
風景は思っていたより山深く、風が通って下界の蒸し暑さはない。
清々しさに若干救われる。

先日ニュースでやっていたが、世界遺産である清水の舞台の木の床面にピンヒールの穴が残ってしまうことが問題になっているらしい。
確かにそんな跡が無数にあった。

縁結びの地主神社も覗いた。
恋心に付け込んでお守りはひとつ千円。

帰りは二寧坂から下る。
お土産物屋ではソフトクリームやかき氷などがよく売れている様子。
いろんな柄の手拭いや浴衣などを見る。

夕方彼女は大阪で友人に会うために京阪で移動。
私は今夜は宇治に帰るので途中まで一緒に特急に乗った。
中書島で乗り換えなので、そこで別れた。
今度は東京を訪ねてみたい。

宇治線に乗り換え、木幡で降りる。
改札のあたりに来月10日の宇治川花火大会の告知。

駅から家へ歩いているとバイクが追いかけてきた。
妹だった。
大学がテスト期間に入り時間に余裕ができたので2日間だけこっちに帰っていると昨夜連絡をくれたので私も帰ることにしたのだ。

家に着き、冷たい番茶を飲みながら話す。

妹は今2回生。教職も取っているので授業も多いしサッカー部は毎日練習なのに居酒屋でバイトもはじめて忙しい日々を送っている。
一通り話すと提出日が迫っているいくつかのレポートをやりはじめた。

レポートを書くのは好きなのでなんか手伝おうかと体育大学のレポート課題とはどんなものか、テーマを見ると
「あなたはあるバスケットチームの顧問となる。怪我が多く、チームとしてのまとまりも欠いている。このチームを立て直すために必要かつ有効なフィジカル、メンタル面におけるトレーニング法をメニューや時間帯まで具体的に提案せよ。」


皆でスラムダンクを読んで士気を高めると提案したが却下された。


夕飯時になる。
母が作りおきしていった野菜の肉巻き、茄子と長芋の揚げだし、小松菜とおあげの煮びたしをふたりで食べる。
母ともうひとりの妹はそれぞれ外で食べてくる予定があったらしい。

最近アクオスになったテレビの画像と音のクリアさ。映画を見るにはいいだろうと思う。

食後、バガボンドを読み返したり帰宅した母のお土産のアイスクリームに冷やしぜんざいをかけ抹茶を振り和スイーツを創作してたのしむ。

真ん中の妹も帰ってきた。
ポニョに似ている。
それは本人も自覚しているところで、2歳くらいの頃なんてそのものだ。

それで母はいたくポニョが気に入り、映画館に行って買ってきたうちわが置いてある。
観に行く事を強く勧められる。

翌朝、目覚めると母とポニョ妹はもう仕事に出ていた。

私の好きな胡桃とレーズン、玄米のパンが買ってあった。
それにサラダとカフェオレ、ヨーグルトの朝ごはんをふたりで食べ、抹茶のロールケーキもデザートに。
9時前に妹は下宿先へ帰っていった。

それで誰もいなくなり、今日も外は暑そう。
私は休み。
いつ帰ろうか日差しがましになるまで待つかと考える。
とりあえず掃除機をかけ雑巾がけをすることにする。

ところが朝は晴れていたのに正午頃から重い雲があらわれ豪雨と空襲のような雷。
マンションは山の斜面に建つ3階なので見晴らしが良い。
ずっと窓から外を見ていた。
雨粒でかすんだ街と空の間を稲妻が何本も何本もはしる。
雷神御乱心といった様子で1時間経っても収まらず、こんなに鳴り止まない雷は今までの私の記憶にはない。
風景がひび割れそうに思うほど。
私たちの日々を簡単にひっくりかえすような人間の制御できないものの力を誇示されているようだった。






女子の会とトカゲの受難

2008年07月27日 | Weblog
昨夜、大学時代の友人と会う。

卒業制作の舞台を1年がかりで一緒に作った戦友で、今は東京で恋人と暮らしている。

四条で落ち合うことに。

変わらない雰囲気がやってきた。相変わらず重ね着がうまい。

しばらく歩きまわり、彼女が東京で働いている下着の店と同じブランドの店舗を覗く。
かわいいデザインのものがたくさんある。
私はワイヤー入りのブラジャーが苦手でほとんど使っていないのだが、ブラのワイヤーの重要性について説かれる。

喫茶店ソワレで休憩。
ブルー照明、東郷青児、ノスタルジックな店内。海の中に居る心地。
私はアイスレモンティー彼女はミルキセーキを頼む。

後、木屋町で食事。
メニューがおもしろそうな店を選んだ。

生麩と胡桃パンのチーズフォンデュが特に気になった。
チーズに白味噌が入っているようで和風の甘みが生麩とパンとも意外と合う。
応用を思いついた。
生麩を湯通しする、クリームチーズと白味噌で和える、三つ葉を添えるとよいと思う。

店に入ってしばらくして仕事終わりでもうひとりの友人も到着。
彼女は素敵なキッチン用品などを置いている店で店長をしている。
機転がきくし、店長をまかせたくなるような慕われる人柄。

そして女子の会、開催。

それぞれのつれあいとの生活、共通の悩み、個々の悩み、冷蔵庫のこと、他の卒業生の行方など 時間があっという間に過ぎる。

 

今日は京都観光、清水寺に行く予定。
昼前に会うことになっている。

7時頃目が覚めた。
昨日水やりをしていなかったのを思い出し、起きてまず水やり。
それから洗濯機をまわす。ドライでもう一回。

小梅が朝から妙にハイテンションだと思っていたら、何かを追い回している。
虫かなと思ったが、廊下に切れたしっぽが落ちていたことからトカゲであると判明。
しっぽはおろか本体を捕まえるのも勇気が出ず為す術無し。
ダーリンを起こしに行ってみたが夢うつつ。

今私のすぐ後ろに飽き始めた小梅と瀕死のトカゲがいる。
どうしたらいいですか。


北側の塔の天辺よ

2008年07月26日 | Weblog
「土」がテーマの調香に悩む。
行き詰まっているとダーリンが帰って来てお土産がありますとトリコロールカラーのレトロなボールペンと山口百恵のシングルレコードを5枚くれた。
私は山口百恵が好きだ。
イミテーションゴールド、プレイバックパート2、夢先案内人、赤い衝撃、赤い絆、1枚80円だったらしい。
B面には聞いたことの無い曲が入っていてうれしい。

レコードをかけると小梅が寄って来て、ターンテーブルの回転を見ている。
蓋を閉めずにしばらく見ていたらちょんちょん手を出し、猫DJ。

それと読みたかった武田百合子の「富士日記」上中下と「言葉の食卓」が届く。
そう頻繁にネットで買い物はしないけれど、中古で安く手に入った。

日が陰った頃に買い物に出る。
献立はノープラン。昨日は土用でウナギだったしリーズナブルにいきたい。
豚ヒレ肉が半額になっていた。
これはもうヒレかつだな。
ということはキャベツ、トマトを添えて、あとは残ってる野菜でみそ汁。

もらいもののおいしいかつソースで。
ダーリン大喜び。
フライものは後片付けのことを考えると億劫になるが、揚げたてはやっぱりうまい。

食後ゆっくりして皿洗いを終えた頃、金曜ロードショウでルパンが始まった。
最新作らしい。
それにしてもなんかキャラクターの線に色気がないと話していたら名作「カリオストロの城」が観たくなり、ダーリンビデオ屋に直行。
何度観てもカリオストロはおもしろい。
テーマソングもいい。

ポニョもいいけど次回作はアダルトなの撮ってほしい駿先生。




むなしい水着

2008年07月23日 | Weblog
午前中、滋賀県で仕事。京都駅からJR湖西線で雄琴へ。
ショートパンツにTシャツ、ビーチサンダルの若い女の子たち。琵琶湖に泳ぎに行く方々。

実は私のカバンの中にも水着が入っている。
しかし残念ながら仕事用である。
2年前に買って一度しか着ていない水着。
小さい頃によく家族で行ったプールに行きたくなって買ったのだ。

父は市民プールが嫌いでいつもホテルや式場のあるちょっと高いプールに行った。
まだ客がほとんどいない開いてすぐのプールは日焼け止めやサンオイルで水が濁っておらず、コバルトブルーに塗られたプールの透き通った水の中を泳ぐと、それはもうイルカだった。
午後になりプールが混んでくると私はアカハラになる。
もぐって肺の空気をすべて吐きプールの底にへばりついたり、水中の水音や泡や絡み合うオトナの恋人たちの足を見ていた。

電車の中で眠気におそわれる。乗り過ごしそうなので携帯のアラームを到着時間5分前にセットし握りしめて半目。

おごと温泉という駅で降りる。
温泉地らしらのかけらもない所。

目覚ましに缶コーヒーを買う。
缶コーヒーにはカフェイン以外に目が冴える何かしらの特効成分が入っているのではないかと思うほど私には効く。一番好きなのはジョージアでもボスでもなく伊藤園のシナモンカプチーノ。

全然表情筋の動かないおばさんが駅まで車で迎えに着てくれた。
8人くらいの洋画サークル。車椅子の男性がいて、その人の奥さんは絵を描かないのに3時間付き添っている。
なんの背景もないただの白い壁の部屋で公民館の椅子に座った水着姿のどこがいいのか、私にはわからない。

休憩中にいただいたクッキーの上に乗ったチョコレートは溶けてドロドロしていた。

仕事を終えて京都に戻る。無性にかぼちゃスープが飲みたくなりかぼちゃスープのあるスープの店とジュースの店をのぞいたが、両方品切れ。どちらも北海道かぼちゃのスープだったが、そんなに人気なのか。それとも北海道かぼちゃに何か一大事があったのだろうか。
結局ありつけず。
レトルトの資生堂パーラーの冷製かぼちゃスープを飲んでみたいなあと伊勢丹の食料品売り場に行ってみたが一人前460円。勇気が出ず。

塩に凝りたくなったので塩を買った。


ピアスの穴をあけたのに付けたいものがなかなか見つからない。

京都タワーの地下に手芸用品店、一見ぱっとしないようで品揃えは豊富で面白い。
ピアスのパーツをいくつか買う。
作るのだ。

帰宅するとダーリンはろくに食事もとらず仕事の鬼と化している。
小梅が側で猫の手を貸している。
小梅はうちでは重要な「可愛い係」を務めており、最近は暑さでのびているが可愛さは少したりとも損なわない。
えらいので今夜は「金缶」。
人間の晩ご飯はホタテとゴーヤをかき揚げにしようとした。
天ぷらやかき揚げは初心者。
どうやら小麦粉と水の割合がまずかったらしく揚げたてなのにもっちりしている。
食べられなくはなかったが、悔しい結果となった。

でもコツのいらない天ぷら粉は使わずコツをつかんでやる。

土の調香

2008年07月22日 | Weblog
学校が休みに入ると同時に仕事が少ない時期に入る。
今月の初めまでは朝から奈良芸短でポーズだったので5時起きの日々だったが、終わった途端夜行性の生活に戻り4時過ぎに寝て10時起き。
目覚める頃には日はすっかり登っている。
外に出る用事は夕方にして、日中は調香に励む。

「土」をテーマにした香りを作っている。
土を思わせるベチバー、パチュリーなどの香料はあるのだが、それらはウッディ、木の香りで、トップノート、ミドルノート、ベースノートの内のベースにあたる。
香水は普通真ん中のミドルノートから作る。
中心部が香りのイメージの核となるのでこの部分が不安定だとバランスがうまくとれない。
このミドルの部分のイメージがぼやけてしまう。
みずみずしさもほしいがさわやかすぎず重さも乾いた感じもほしいと欲張るのがきっと良くないのだが、そもそも土というものは朽ちた植物、死骸、砕けた鉱物、糞尿、微生物、様々な物が混ざり合って出来ているし、テーマに選んだのは、混沌とした豊かさにひかれたからだ。

しかし複雑になるほど、香料の数が増えるほどまとまらなくなる。

香水にも花や草木の香りだけでなく動物からとった香料も使う。
ムスクはジャコウ鹿の生殖腺分泌物、アンバーはマッコウ鯨の胆石から採られる。
ただし現在は動物保護などの理由から天然の香料を使うことはほとんどなく、値段も非常に高いので合成のものが主流。

「土」からこんなテーマが浮かんだ


様々な物が混ざり合った生の痕跡
芽吹く場所
還る場所


からだ
様々なものが混ざり合った生の痕跡
からだという混沌
からだという芳醇
何かを
生み 育てることのできる場所

                      Hysterial ヒステリアル

・hystera(ヒステリア)…ギリシア語で子宮の意


香水は直接肌につける、うつろう、同じ香水でもつける人のによって香りが違う。
肌につけ体温で香る、自分のにおいと混ざる。

そうやって肌の上にまとわれた時に、漂ってくるものが単にいい香りというのでなく、混ざり合って揺り動かされ、考える、表面の接触よりもっと深くからだに入り込むものを作りたいと思った。
からだを広げる
からだを砕く
からだが消えていく

壮大な計画です…。


今日は嗅ぎすぎてもう鼻が利かない。

夕方、そろそろ日が落ちる。
水やり。
メタリックなトカゲ。
シャワシャワ蝉が鳴いている。山手の蝉は涼しい声で鳴く。

晩ご飯はなんかお惣菜をこまごま作りたくなった。
きんぴらごぼう、ポテトサラダ、キャベツとシソときゃら蕗の和え物、鶏団子と三色ピーマンの中華風炒め。
ダーリンはここ数日一日中パソコンに向かい仕事仕事。
栄養係も手は抜けません。
それにしても冷蔵庫が小さい!







謎の脱脂綿

2008年07月18日 | Weblog
一昨日、妹が泊りに来ていた。
以前書いたがバイクで事故って首を痛めた。念の為医者から二週間安静を言い渡されて仕事を休んでいるのだが、殆ど健康体なのでそろそろ家にいるのに飽きた頃だろうと電話してみると、案の定暇を持て余していた。
夕方に来ることになり、その日私は朝から買い物に出て食材を買い込み、午後から料理に取りかかる。
大根と豚の角煮
鶏南蛮ライムドレッシング風
茄子と生麸の揚げだし
胡瓜とトマトの和風サラダ

車においしいバームクーヘンと西瓜を積んで妹はやってきた。
3人でご飯を食べてしゃべったり最近読んではまったマンガ「ホムンクルス」の道連れにしたり数年ぶりに桃鉄をしたりしてちょっと早い夏休みの日を過ごした。


今日は午後から大阪のカルチャーセンターで仕事。 はじめて行く場所だったので早めに着くように家を出る。
阪急に乗り梅田へ。
ビルの24階に受付があると聞いていたが着いて探しても見当たらない。不慣れな高所をしばらくさまよって問い合わせると隣のビルだった。

講座には50代~の女性と男性がひとり全員で10人足らず。先生はあまり熱心でなくテキトーだが嫌な感じはしない人だった。
休憩時間にうなぎパイをもらう。

帰りのエレベーターで小柄でおとなしそうなおばさんと乗り合わせた。両耳に脱脂綿を詰めている。
15人くらい乗れそうなエレベーターの中、おばさんは左端に立っており私はその人の真後ろにいて脱脂綿の詰まった耳を見ていた。
逆側に他ふたりのおばさんが乗っており、ふたりは会話をはじめた。
そんなに大声ではなかったが、脱脂綿のおばさんは第一声が耳に届くとビクッとして「すみません、エレベーターの中ですので少し静かに…」と言った。
24階から1階まで降りるには結構時間がかかるが、私にはさほど気になるボリュームの話し声ではない。
20階19階18階と人が乗ってきて私と脱脂綿のおばさん、会話をしていたふたりのおばさんの間に人が埋まった。
おばさんたちは会話を再開した。さっきより気を遣った声に思われたが、脱脂綿おばさんはまたもやビクッとなり、小声で声のする方を向き「ちょっと…」と言った。

おばさんの耳には声がトゲのように刺さるのだろうかと思われるような反応。
脱脂綿は緩衝材だろうか。
1階に着いた。

脱脂綿おばさんは中くらいの声で「うるさい!」と言って降りていった。


今日の仕事は一件だけの予定だったが、朝突然事務所から電話が入り、風邪で仕事をキャンセルしたモデルの代打を頼まれた。大阪で夕方から、ちょうど一件目の場所から地下鉄ですぐの距離だったので引き受けた。
帰宅するのが10時半過ぎるので一件目の仕事を終えたあと軽く何か食べようと思う。フレッシュネスバーガーを見つけた。
昨日おいしいハンバーガー屋さんの話題が出たのを思い出したら食べたくなった。
チーズバーガーとアイスチャイ。
おいしいが、スピークイージーのハンバーガーが食べたいと思った。

二件目の代打も終え、くたっと電車に揺られて帰る。

行きしなに買った「食べる女」という短編小説を読む。
食べ物の描写がでてくる文章が好きだ。
川上弘美もエッセイで同じことを言っていた。

自分が書く場合も食べ物が結構出てくる。
いま口の中にソルダムの種がある。

7月13日

2008年07月14日 | Weblog
玄関先の植物がしおしおになっていた。
2日ほど水やりを怠ったせいだ。ここ数日の私余裕のなさと毛羽立ちが目に見えるようになっている。
急いで水をあげた。

それからひたすら掃除する。
雑巾がけ、どこに何があるのかわからなくなっていた二人分のCDの棚を整理し、ラグを干しカーペットを拭き掃除し、仕事で1ヶ月間着続けて特別感のなくなった浴衣を洗い、毛布を洗い…。

気付けば2時過ぎ。
植物を見にいくと、しおれていた葉の一枚一枚に水が行き渡り朝とは表情が全然違う。しばらく眺めた。

一息入れようと冷蔵庫を開けるが閑散としている。
佃煮系、ドレッシング類、牛乳、卵、目薬
お中元のローストビーフの切れ端をつまむ。

母からもらったジンジャーシロップを氷と水で割って飲む。酸味がほしいのでバルサミコ酢を足したらコーラに近づいた。

その後細々したことを片付けていたら眠気がやってきたのでちょっと寝る。
目覚めると6時前。
とりあえず米を研ぐ。
最近の米は精米技術の向上で無洗米でなくてもほとんど研がなくてよいと聞いた。
水は白濁するが、ぬかではなくでんぷん質なのだそうでそれを洗い流すと米の甘みも流れてしまう。
米をはかり水をいれ軽く表面のゴミを落とすくらいの気持ちでかき混ぜて水を捨てればもう十分らしい。
我が家ではその方法を採用しているが、それでぬか臭さが気になったことはなく、今まで3、4回研いでいたのは何だったのか、もったいないと思う。

たまねぎとじゃがいもがある。
切って炒めて煮る。それでどうしようかと考えて、流しの下をごそごそ探していると、冬にダーリンが風邪をひいた時に買ったカロリーメイトのコーンスープが出て来た。
6缶セットなのにあんまりおいしくないので処理に困っていたのだが、思い立ってコンソメをひとつとローズマリーひとつまみ、カロリーメイトを1缶入れて煮てみた。

コーンスープ煮になりました。

食後、ホームセンターにすだれと布団圧縮袋を買いに行こうと思っていたが片付けなどしていると閉店時間までに着けそうになかったので見送る。
家からでないまま一日が終わる。


今日は太田省吾さんの命日だ。

1年前の夕方、ほとんど全員太田さんの教え子だった同じ学科の卒業生と京都芸術センターで舞台の稽古中だった。
休憩に入って携帯を見ると訃報を知らせるメールが届いていた。

その日は外に出ると雨音で会話がしにくいほど大雨だった。

誰かに連絡を回すでもなく、まともに受け止めると事実になってしまうがどうしたらいいかと雨を見ていた。
劇作家の死はフィクションだ。ちょっと旅に出た。だからまた帰ってくる。と思ってその場は持ちこたえた。

2、3日経って、混んでる地下鉄で、人はたくさんいるけど太田さんはどこにもいないと思うと、どうしようもなく嫌で寝た振りしてを泣いた。
1年前。

思い出と太田さんが残した本。
思い起こしたり、読んだりすると出会えたことに支えられる。

数年前の夏、必死で覚えた太田さんの戯曲の大量の台詞は、言葉から感覚、感情の流れになって残っている。
死ぬまで私の循環から流出しないように、骨の中に留めてある。