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流出雑記 

2016/5/1

2016年04月30日 | Weblog
晴れ。意を決してコタツを片付けた。5月になったから、という理由がなければもう少しそのままにしておきたかった。一階は日が入らないからちょっと寒いのだ。

午後、府庁でダンスを見て清川さんのスカートを1着オーダーして、北山で珈琲。ブルーマウンテン。濃い。珈琲の酸味が苦手かも知れない。

夜、「海にかかる霧」を見た。今年見る映画でベスト3に入る気がする。
冒頭漁船で漁をする様子や船の上で食事をする漁師の生活が映されて、その時点でもうこの映画良いだろうなと思った。その部分だけで船長や船員がどういう人たちであるかがわかる。皆素朴に働き暮らしている。けれど、不景気に困窮した漁船の船長は、船と船員のために密航者を運ぶ仕事を請け負うという実話を元にした話し。
最初から悪人がいるのではなくて、状況から悪が醸造されてしまうこと、甘いロマンスではなくて事情のなかで男や女を必要とすること。本意ではなかったことが実像になって現実をめくり上げていくことを象徴的に見ていくようだった。漁船の生臭さと人間のありようの血なまぐささ。密航者は古い漁船に染み付いた魚艙のにおいと暗闇で揺られて船酔し嘔吐する。密航というのはあまり想像したことがなかったけれど、汚物と異臭にまみれることなのだと思った。息をしものを食べ排泄する実体のある体を、それも一人や二人じゃない数十人を、隠しそこになきものとして扱うとはそういうことになる。ひとりひとりは臓物を携えている。呼吸器、循環器、消化器、生殖器。その重たさ。甲板のいろんな太さのロープや網は腸だとかの臓器を想起させ、途切れない生臭さも相俟ってずっと腹の中のような、腹の中を見せられるような映画だった。

2016/4/28

2016年04月28日 | Weblog
雨降ったり止んだり。
昨夜、去年の今くらいに公開していた「バードマン」を見た。副題が「無知がもたらす予期せぬ奇跡」宙吊りのまま感想がまとまらない。
星野珈琲みたいなホットケーキを焼こうとメレンゲを泡立て18センチの型で焼いてみた。惜しい。卵をもう一個増やせばたぶん理想の感じになる。

午後本を返して籠ろうと大学の図書館に行くが休館。仕方ないのでカフェのところで読み切れなかった分を読む。九鬼周造の何にひかれているのかというと、論理と叙情性のあいだで熟された思想であるところ。それで私にも手に取る余地があったのだと思う。常に浸透してくる偶然性に対して身を開いた生き方をする、ということが私にとっての主題であると再確認した。

帰りに長いフキを買って帰る。フキを料理したことがなかった。昼にキューピー3分クッキングでフキの下ごしらえを見てやってみたくなった。鍋の幅に切って板ずりして茹でて皮を剥く。青い、生臭いにおいがする。すごく生きもの臭い。風味に勢いがある。和えものにはごまや味噌のような風味の強いものと合う。
軸に近い太いところは含め煮にした。

2016/4/26

2016年04月27日 | Weblog
晴れ。朝、ディオレサンスの花が開いた。

午後街の方へ行って、関東に引っ越した友達に贈るものを探して高級紅茶などを見てまわるがしっくり来ず。結局ふわふわのパンケーキを食べて銘仙のような布地のワンピースを古着屋で見つけて買って帰ってきた。

ディクロアと一重のニオイスミレを植え替える。山アジサイをだめにしてしまった。

3日前くらいに塩漬にした山桜の葉からジップロックの袋越しにもはっきりと桜餅のあのかおりがしてくるようになった。香り成分ではクマリンという。甘さはあるけれど、重くはなくパウダリー。清閑で品がある。
ばらは気温が上がってくるとどうしても病気と虫にやられる。ばらはコーディアルやジャムにして食べたかったので、野菜用の薬や化学薬品不使用の薬を使っていたこともあるけれど、やっぱり効きが弱い。何よりきれいに咲かせて嗅ぎたいのでちゃんと効くのを使っている。ただ花びらを捨てることには悲しみが伴うので、今年は咲いた花をモイストポプリにしてみようと思う。ポプリは花を乾燥させて作るのが一般的だけれど、乾燥させないで生の花をガラス瓶に入れて大量の塩で覆い、それが防腐剤になるので、香りをそのまま保存できる。桜の葉のおかげでいいことを思いついた。

2016/4/25

2016年04月26日 | Weblog
晴れ。午前中仕事。
帰って茄子とエリンギのココナッツカレーを作る。またカレー。カレーがまだある上にカレーを作ってしまうので、3種のカレーが並び、期せずしてカレーパーティーの夕飯になる。
ディオレサンスの今年最初の花が咲いた。ばらの季節が始まる。

夜「ジャージー ボーイズ」を見た。万人に勧めたいような映画。
イーストウッドの映画はわりと最近「アメリカンスナイパー」を見た。監督の方法やスタイルじゃなく1本の映画のために最適な方法を採択しているような、映画に対する愛情を感じる。
もしマフィアに殺されることがあるとすればこのような人がいいと思ったクリストファー ウォーケン。昔ダンスをしていたらしいし、大の猫好きらしい。たぶん仲良くなれる。

2016/4/24

2016年04月24日 | Weblog
昨日神戸に仕事のついでに三ノ宮にあるスパイス専門店に寄る。新長田にも同じ店がある。スパイス、ハーブとも品揃えがよくて安い。ちょっと重くなると思ったけれどココナッツミルクパウダー1キロとひよこ豆500g、スパイス、ハーブをいくつか買う。ココナッツミルクパウダー1キロはとち狂った量に思われるかも知れないが、たぶん夏の終わりにはほとんどなくなる。

昨夜のうちに水に浸けておいたひよこ豆を圧力鍋で煮て、またカレー。水煮のひよこ豆缶はあまり好きじゃなかったけど、茹でるとひよこ豆はすごくおいしい。
ここしばらくアイスクリーム作る以外の料理に熱が入らなかったけれど、カレーの波が来た。もうバスマティライスを検索してしまっているし、パニールを作ってほうれん草カレーに入れてみたい。

最近読んでいる「偶然性の問題」は読みながら気になったところを書き写しているので進みが遅い。書き写しているけれど、書いたことを事細かに覚えていない。ただそのときにこれはと思ったことを手で書いた字にしておきたいだけ。あとから字の溜まったノートを見て、書いてある内容よりそれを書いていた時間やそのとき、大抵そういうことに集中力を注ぎ込める時期の、何か圧倒的不足を感じる焦りの最中の痕跡を眺めて、あの時期そうだったなぁと思う。

夕方歩いて買い物へ。帰り道で花を摘んだ。紫の捻れたように咲く名前を知らないガレージにあった花は、今日ついに調べたら松葉海蘭という、雑草と思えないなんか荘厳なかんじの名前だった。

2016/4/23

2016年04月23日 | Weblog
変な時間に寝て3時くらいに目が覚めたあと風呂に入り、猫がお腹をすかせていたのでかりかりをやり、6時前にまた寝る。その間人に怒鳴る夢を見て、9時に起きて今度は自分のお腹がすいて、猫のかりかりと見た目にさほど変わらないシリアルを食べ、また眠くなって寝る。その間別の人のことを話している夢を見て、12時くらいにちゃんと目が覚めた。コタツで寝ていた体が熱くてアイスクリームを食べて冷ます。夜に干した洗濯物はもう乾いている。猫はまたお腹をすかせている。夕方から仕事で神戸。阪急乗り継ぐ。今夜帰ってくるのだと思っていた夫の帰りは明日で、家を出る前にセットしてきた米3合だけが帰ったらただ炊飯器のなかで、炊けているだろう。

2016/4/22

2016年04月23日 | Weblog
晴れ。
ディオレサンスが近々咲きそう。毎年最初に咲く1輪。後から咲くのより大きな花を咲かせる。今年も同じ。

午後高の原で仕事。いつも描きに来ている方の手作り和菓子のおやつ付きで、今日はこし餡を包んでケシの実をまぶしたお団子だった。こないだ2月くらいに来たときは干し柿の中にこし餡を詰めたものだった。
丁寧でそれを作ってくる方の控えめで品のある感じも和菓子も好き。

咲夜からマイケル ナイマンを改めて聞いている。やっぱりピーター グリーナウェイの映画音楽がいい。

夜マッシュルームしか入っていないカレーを作った。マッシュルーム、トマト缶、玉ねぎ、にんにく、しょうが、カレー粉、塩だけで出来る。

チャイを飲んで書きかけていた文章に手を入れようと数十文字打ったら眠くなり、ちょっとだけと思ってそのままコタツに沈んで浮上したら3時過ぎていた。両サイドに猫がいる。寝転がったまま左手で小梅、右手で小麦を触ると手触りは、うめは絹、むぎは木綿。

2016/4/21

2016年04月22日 | Weblog
1日雨の予報で、午後は強雨だったので、午前中のうちに買い物へ。どうしてもスティックのりがほしかった。ついでに近所の空き地の山桜の葉っぱを少しもらってくる。塩漬けにすると桜餅の葉っぱの、あの香りがする。それを嗅ぎたかった。
小雨。歩いて下りスーパーで豆腐と生クリームを買う。はからずも白いものばかり。

先日摘んで干していたスギナを刻んでお茶に。干し草みたいなにおいがする。

生クリームはアイスクリーム用。カラメルりんごジャムもココアもうまくいったので、次はバニラ。なくなったら作りたくなるので、冷凍庫に常に何かしらのアイスがある。バニラは、生クリーム1パック、卵2個、砂糖70g、ボウルを3つ用意し、1番大きいのに生クリームと砂糖半分、その次に大きいのに卵白と砂糖半分、小さいのに卵黄。最初に卵白をしっかり泡立て、次に生クリームも8分立て、バニラエッセンスと卵黄を加えて混ぜ、最後に卵白を合わせて冷やすだけ。

久々絵を描いた。油絵とかいろいろやってみたけれど、やっぱりペンで描くのがいい。

夜、huluに入ってた「天城越え」という映画、田中裕子が出ていたのでなんとなく見る。制作年が1983年で私の生まれ年だなと思っていたら、劇中に天城峠で起こる事件の調書に6月29日午前10時とあって、それは私の生まれた日と時間で、なんだこれと思った。田中裕子は「嵐が丘」を見て好きになった。天城越えでは足抜けしてきた遊女役。真っ赤な襦袢と口紅にゆるい結い髪、薄藤色の着物が似合う。やはり目が離せない色気を宿している人だと思う。成熟に幼さと冷たさが混ざっているあの感じ。

2016/4/20

2016年04月21日 | Weblog
晴れ。仕事の前に一件打合せ。行ったカフェのハンバーガーは美味しいけれどとてつもなく食べ辛い。
打合せと仕事のあいだに30分時間に隙間があって、鴨川の土手。春霞。

仕事帰りに一重のニオイスミレを買う。
夕飯をハヤシライスにしたのはマッシュルームが食べたかったからで、今まで気付かなかったけれど、マッシュルームが思うより好きだった。

夜、紙を細かく短冊に切って平織りにして
偶然できる編み模様を見ながら偶然について思い巡らす。今日から3日ほど1人暮らし。部屋が静かなので久々tetes raidesのCDを流してみた。人生のなかでいちばん聞いた曲。高校生のときにたまたま試聴したのだった。偶然の要素を除いてこの場に集っているものは何ひとつない。私の発生にも大きく関わっている。偶然を生け捕りにするということを考えている。

2016/4/19

2016年04月20日 | Weblog
晴れ。玄関先のレモンバームとスペアミント摘芯ついでに、八重のニオイスミレも摘んでハーブティーにしてみたら、風味の強いレモンバームとミントのなかで案外スミレが強く出て感動した。こないだ花屋の店先で見た一重の濃い紫のニオイスミレも欲しくなった。

炭酸のカートリッジが届いたので、近所のアップルミントの群生地へ行き、いっぱい摘んでミントシロップを作る。薄荷よりりんごの甘い風味がする。
晩ご飯の買い物に行くついでに郵便局に寄って義援金送る。微々たる額。でも私はこういうことを単に自分の落ち着きのためにやってるんじゃないかという疑念もある。

夜『トム アット ザ ファーム 』を見る。
とても微妙な心理描写、解決のしないものを各々抱えたまま終わる。宙吊りにする以外にないような心境を映画のために無理やり着地させないで浮かせたままに触れている。監督はきっとゲイなのだろうと思っていたらやっぱりそうで、主演も本人だった。けれどあわいに身を据える人の繊細で白でも黒でもない仄暗さと親和する感性が捉え得る映画の時間と、昨夜見た『トゥルーロマンス』はまるで対称的で、けれどどちらも映画でしか作れない時間だったと思い返す。