晴れ。意を決してコタツを片付けた。5月になったから、という理由がなければもう少しそのままにしておきたかった。一階は日が入らないからちょっと寒いのだ。
午後、府庁でダンスを見て清川さんのスカートを1着オーダーして、北山で珈琲。ブルーマウンテン。濃い。珈琲の酸味が苦手かも知れない。
夜、「海にかかる霧」を見た。今年見る映画でベスト3に入る気がする。
冒頭漁船で漁をする様子や船の上で食事をする漁師の生活が映されて、その時点でもうこの映画良いだろうなと思った。その部分だけで船長や船員がどういう人たちであるかがわかる。皆素朴に働き暮らしている。けれど、不景気に困窮した漁船の船長は、船と船員のために密航者を運ぶ仕事を請け負うという実話を元にした話し。
最初から悪人がいるのではなくて、状況から悪が醸造されてしまうこと、甘いロマンスではなくて事情のなかで男や女を必要とすること。本意ではなかったことが実像になって現実をめくり上げていくことを象徴的に見ていくようだった。漁船の生臭さと人間のありようの血なまぐささ。密航者は古い漁船に染み付いた魚艙のにおいと暗闇で揺られて船酔し嘔吐する。密航というのはあまり想像したことがなかったけれど、汚物と異臭にまみれることなのだと思った。息をしものを食べ排泄する実体のある体を、それも一人や二人じゃない数十人を、隠しそこになきものとして扱うとはそういうことになる。ひとりひとりは臓物を携えている。呼吸器、循環器、消化器、生殖器。その重たさ。甲板のいろんな太さのロープや網は腸だとかの臓器を想起させ、途切れない生臭さも相俟ってずっと腹の中のような、腹の中を見せられるような映画だった。
午後、府庁でダンスを見て清川さんのスカートを1着オーダーして、北山で珈琲。ブルーマウンテン。濃い。珈琲の酸味が苦手かも知れない。
夜、「海にかかる霧」を見た。今年見る映画でベスト3に入る気がする。
冒頭漁船で漁をする様子や船の上で食事をする漁師の生活が映されて、その時点でもうこの映画良いだろうなと思った。その部分だけで船長や船員がどういう人たちであるかがわかる。皆素朴に働き暮らしている。けれど、不景気に困窮した漁船の船長は、船と船員のために密航者を運ぶ仕事を請け負うという実話を元にした話し。
最初から悪人がいるのではなくて、状況から悪が醸造されてしまうこと、甘いロマンスではなくて事情のなかで男や女を必要とすること。本意ではなかったことが実像になって現実をめくり上げていくことを象徴的に見ていくようだった。漁船の生臭さと人間のありようの血なまぐささ。密航者は古い漁船に染み付いた魚艙のにおいと暗闇で揺られて船酔し嘔吐する。密航というのはあまり想像したことがなかったけれど、汚物と異臭にまみれることなのだと思った。息をしものを食べ排泄する実体のある体を、それも一人や二人じゃない数十人を、隠しそこになきものとして扱うとはそういうことになる。ひとりひとりは臓物を携えている。呼吸器、循環器、消化器、生殖器。その重たさ。甲板のいろんな太さのロープや網は腸だとかの臓器を想起させ、途切れない生臭さも相俟ってずっと腹の中のような、腹の中を見せられるような映画だった。